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ターコ。それは母




次に目が覚めたのは翌日の朝九時前で、あんなに怠かった身体も今は軽く感じる。


身体を起こしてベッドから出る。


視界に入った勉強机には紙が置いてあった。


誰が書いたかなんて直ぐに分かってしまった。兄貴の書く雑な字じゃない。


ペン立てに刺さっているアイビーグリーン色のボールペンを使って書いたんだと思われる。


硬筆を習っているのかと思わせるような綺麗な字が並んでいる。




兄貴さん帰って来たから帰る

無理せずに様子見として明日も休め

何かあったら連絡しろ





短文、且つ伝えたいことしか書いていないのがシカマルらしい。


こんなに小さなことでもすごく嬉しくて、不覚にも泣きそうになった。


そしてにやける自分がいた。


部屋を出てリビングに行けばノートパソコンに向かって仕事をしている母さんがいた。




「あら、おはよう」

「おはよう」

「調子はどう?まだ気分悪かったりする?」

「治ったんじゃない?気分悪くないし」

「ちゃんと体温計りなさい。昨日は遅くなってごめんね」

「いや、別に」




引き出しから体温計を出してソファーに寝転がって計った。




「兄貴がしっかりしてくれててよかったわ。聞いた話によればシカマルくんがいてくれたんだって?」

「うん。学校帰りだった」

「優しいわよねー。よかったじゃない」

「…は?」

「兄貴に聞いたって言ったでしょ」




あぁ、そうか。


私がシカマルを好きなことまで話したのか。


ニコニコしたままの母さんと兄貴の顔が重なって見えた。




「奈良さんにはお世話になってるから今度お礼に行かないといけないわね」

「そうだね」

「あ、父さんには黙っておいてあげるから。兄貴にも言っておいたからね」




父さんは過保護と言うやつだ。


小さい時、公園でナルトとキバと3人で遊んでいると帰る時間にはまだ全然早いのにずんずん歩いてきて担がれて家に強制連行された。


ちょっと前までそのことがトラウマになっていたのはここだけの話しだ。




「平熱に戻った」

「よかった。水分補給して寝てなさいよ」

「御意」




寝る前に風呂に入りたい。


そんなこと許されないだろうな。


髪を自然乾燥させてしまう私には風邪が振り返してまたベッドと仲良しするのが目に見えている。


風呂には明日の朝早く起きて入ろう、と決めて水を飲んで朝食を食べずに再びベッドに潜り込んだ。


長い時間眠っていたねにまた眠たくなった。


私の身体は一体どうなっているのだろうか。






昼に目が覚めると流石にそれからは眠たくなることがなかった。


テレビを見たり、音楽を聴いたり部屋でぼーっとして過ごしていると部屋の扉がノックされた。




「何?」

「私、いのだけど。入ってもいい?」

「いの?入ってもいいよ」




カチャっと開けば金髪が見えていのがおじゃましますと入って来た。




「あんた大丈夫なの?」

「ありがとう、大丈夫だよ。明日から学校行くし」

「そっかぁ、よかった!皆心配してたんだからね」

「皆優しいね。私愛されてる」




そう言えばいのは笑いながら私の座っている横、ベッドに腰掛けた。


ニヤニヤしながら話すいのは私に絶対恋バナだと予想させた。




「呑気にそんなこと言ってる場合じゃないでしょ。昨日シカマル来たんだって?」

「……なんで、知ってんの?」

「あんたのおばさん、シカマルくんの次はいのちゃんが来てくれるなんてあの子も幸せね、って」

「あー…、もう」

「で、何があったの?!」




何もない。ただそこに座ってただけ、と言って昨日シカマルが座っていた所を指差した。




「あのシカマルが歌ってたんだよ」




小さい声でだけどね。そう言えばいのは笑った。


シカマルが歌うとこなんて聞いたことないってそう言いながら笑った。




「そっか。アイツも頑張ってんのね」

「ん?」

「こっちの話し。で、どんな風に看病してもらったのよ?」




それをきっかけにいのとはいつもみたいにくだらないことばかり話してばいばいした。


明日は必ず学校に行くと約束をして……






ターコ。それは母
(看病いいな…サスケくんしてもらいたい)
(絶対にありえない)
(何か言った?)
(………別に)











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あきゅろす。
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