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ターコ。それは看病




「……暇、すぎる」




リモコンを手にとって電源を押せば音楽が流れ始める。


曲はまだシカマルと仲良かったころ、いつしかシカマルが好きだって言っていたバンドのものだ。


一度聴かされて私も好きになった。


目を閉じていればそのまま眠っていた。





ガチャっとドアの開く音が聞こえた。


兄貴が帰って来たんだと目をつむったまま小さな声でお帰り、と言った。




「お、おう」




私の言葉に返されたのは曖昧なもので、聞こえた声は兄貴のものじゃなかった。


びっくりして目を開ければドアの前には苦笑気味のシカマルが立っていた。




「え、あ、なに。なんでシカマル、が…?」




頭の中はパニック状態でそれしか声が出なかった。


シカマルは私が寝ているベッドの横に腰を下ろすと胡座をかいた。




「お前が誰もいない中、熱出して寝てるって聞いて来た。兄貴さん帰るの遅くなるってさっき連絡あった。ここの鍵は朝、兄貴さんから預かった。他に聞きたいことは?」

「……沢山ある」

「後々な。熱は?」

「まだ計ってない」

「さっさと計れよ。で、寝てろ」

「分かってる」




体温計を渡されて脇に挟んだ。


計り終えるまでシカマルが喉渇いてないかとか、腹減ってないかとか聞いてくれた。


喉渇いたと言えば待ってろと言って部屋を出て行った。


計り終えたと同時にシカマルが片手にコップ、片手に熱さまシートを持って戻って来た。




「何度だった?」

「6度8分」

「嘘つくなよ?何度だったんだ」

「……38度」

「おまっ、上がってんじゃねーか!朝の体温は兄貴さんに聞いたぞ。ちゃんと寝てたよな?」

「寝てたよ」




自分でもまさか熱が上がっていたなんて思わなかった。


寝過ぎたせいで頭が重たくなったんだと思っていたけと違うみたいだ。




「早く寝ろ。オレここにいっから」

「間違いのないように」

「病人相手にんなことあるかよ」




シカマルによっておでこに貼ってある熱さまシートを剥がされ、おでこが空気に触れて少し気持ち悪く感じた。


直ぐにペリペリっと音がしておでこにまた冷たい感覚が戻った。




「いつまでいるつもり?」

「兄貴さんが帰るまでだ。今日はおじさんもおばさんも帰るの遅いんだろ?嫌かもしれねぇけどオレが着いてる」




嫌じゃないよ。


直接言えなくてシカマルの言葉に、にやける自分がいるのが分かってシカマルに背を向けた。


リピートが掛かって流れたままの曲に、シカマルの小さな声が重なって聴こえてきた。






ターコ。それは看病
((やっぱり素直になれない))


嬉しいのに、ありがとうも言えない











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あきゅろす。
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