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ターコ。それは熱




重たい。


足が動かない。


手を伸ばしても、どんどん離れて行く。


待って、待ってよ!


あれ、隣にいるのは誰?


ねぇ、ちょっと…


腕、絡ませないでよ。


ほほ笑み掛けないで。


楽しそうにしないで。


私を見てよ!!


誰よりも、誰よりも好きだから。


今すぐ伝えるから。


だから、戻って来て。


今までみたいに一緒にいようよ。


私、苦しいよ……。


シカマル、シカマルシカマル


振り返って、お願いだから。





「――っ、名前、名前!」

「ぁ、……兄貴」




目を開ければ兄貴が眉間に皺を寄せていた。


掠れた声が出て喉が痛いし頭も重たい気がする。




「大丈夫か?すげぇうなされてたぞ」

「うん、夢見た。何だったっけ…」

「思い出さなくていい。大人しく寝とけ」

「学校行かなきゃ」

「ばーか、お前7度8分もあるんだぞ。しんどいだけだ。連絡しとくから」

「うん、ごめんね」




兄貴は連絡先どこだっけ、とか言いながら部屋を出て行った。


やっぱり熱があるんだ。


平熱が低い私にとって7度を越すなんて辛すぎる。


6度9分くらいでも倒れそうなのに、7度8分なんて……。


あー鼻水流れてきたよ。


背中も熱いし、ベッドに触れている部分全てが熱い。


あまり熱を出さないから更に辛く感じる。




目を閉じていればおでこに冷たいものが乗った。


うっすらと目を開けば兄貴が薬を持っていた。




「ごめんな、名前。俺今からどうしても外せねー用事あるんだわ。すぐに終わると思うけど。父さんも母さんもいねーし何かあったら電話してくれて良いから」

「分かった。気をつけてね」

「お前が気をつけろって。後でここにお粥置いとく。少しで良い、食えよ。んで薬飲んで寝てろ」

「りょーかい」

「ピンポン鳴ってもシカトこけよ」




そう言って兄貴は部屋を出て行った。


それから数分経ってドアが開いた、と意識が遠くなる中思っていたらゴトっと机に物を置く音がして行ってくると声がした。


ドアが閉められる頃にはすでに意識はなかった。






目が覚めれば昼を過ぎていた。


食欲はあまり無いが兄貴が作ってくれたものを粗末に出来ない。


時間が経ちすぎて冷たくなっていたが今の私には温めて食べるということが出来なかった。


完食して薬を飲んだ。


学校を休めるのはラッキーだと思うが実際は熱が出て辛いだけで楽しいものではない。


いのやサクラとおしゃべりしたりナルトやキバとゲームしたり、そっちの方が何倍も有意義に過ごせる。


ノートを取ることだってだるくなるし、テストに関するポイントだって言われるかもしれない。


家で寝てるより学校に行く方が良い。


私って案外優等生かも。


サスケには負けるけど。こんな時思ってしまう。


皆に会いたい。






ターコ。それは熱
(シカマルにも会いたい)











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