NARUTO 長編小説 三 世界が鮮やかに色付いてく。 そんな気がした。 「ヨルは昼何してんだ?」 それは他愛もない質問だった。 「……?」 その問いにヨルはまたもや首を傾げた。 「…なに?『ひる』わから、ない」 「は?何言ってんだよ。昼。今の逆の時間だよ」 「…?」 大きな空色の瞳に偽りの影はなく、本当に理解していない事を映していた。 「昼だよ、昼!外が明るい時だよ」 「…あかるい、なるの?ヨル、あかるい、しらない」 明るい事が解らないと言ったヨルに、今度はシカマルは首を捻る。 「な…に言ってんだよ。昼間は外明るいだろ?太陽が出てるから」 何故か胸がざわつく。 自分は『ヨル』と言う少女を知らなさすぎるのではないか…と。 「『たいよう』…て、なに?」 刹那、理解した。 彼女は『夜』しか知らないのだと。 それからシカマルはヨルに根気良く色々な事を教えた。 世界には『昼』と『夜』が有ること。 見たことのない物や動物。 言葉や気持ち。 ヨルに出会う事によって色付いた世界。 それを今度はヨルに教えてゆく。 [*前へ][次へ#] [戻る] |