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◇夜空に謳う◇
side:S
◇side:S◇


「なぁ、聞いたか?」

「は?…何がだよ?」




中3になった頃、変な噂が流れた。



「佐野の奴、ウリ…やってるらしいぜ?」

「ハァ?」



何言ってんだコイツ。



「ンな訳ねぇだろ。アレで売れるとでも思ってんのかよ」

「分かんねーだろ。マニアとか居るかもよ?」


けたけた下品に笑いながらソイツは窓際に一人座っている彼奴に一瞥くれた。


…平均身長を遥かに下回る背丈にガリガリの肢体。

何より目を惹くのはあの頭だ。

地毛らしいが胡散臭ぇ。
あんな色、おかしいだろ。

顔を隠すように伸びっぱなしの髪。

いつも俯いていて何考えてんのかも解んねぇ。

彼奴を見てるとイライラした。


「彼奴、マジつまんねぇよな。何しても反応しねぇし」

「……」


…そうだ。何よりムカつくのはこの3年間あらゆるイジメを繰り返してきたにも拘わらず、彼奴は泣くでもなく許しを請うでもなく、何の反応もない事だ。


「なぁ…賭しようぜ」


突然の俺の提案に周りに居た奴らは愉しそうに口角を上げた。



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あきゅろす。
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