◇夜空に謳う◇
side:K
◇side:K◇
愛を無くしたのは何年前だっけ?
気が付けば俺はこの世界で独りだった。
「あ〜あんたまだ居んの?さっさと出てってくんない?邪・魔ッ」
汚いものでも見るみたいに辛辣に言葉を放つこのヒトは、世間一般では『母親』と言う生き物らしい。
「ほらっ、さっさと出てけったら!」
ガキが居るなんて知れたら…とか何とかブツブツと呟きながら背中を向ける。
仕方なくランドセルを背負ったままアパートを出た。
小学6年生になったばかりで大人の事情ってのも解らなかったし、只自分はあの人にとって『イラナイモノ』だと云う事は理解していた。
ご飯、どうしよう…。
最後に家でご飯食べたの何時だっけ…?
空腹の限界を超えた胃はもう音すらしない。
只時々吐くものも無いのに吐き気が込み上げる。
学校で出される給食で辛うじて生きてる様なものだった。
給食なかったら確実に餓死してるんだろうな…。
自分事なのに嘲笑が零れる。
見上げた空は俺の気分とは裏腹に満天の星空。
「俺、いつまで生きてられるかな…」
今日はきっと家には帰れない。
野宿決定だ…。
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