◇夜空に謳う◇
7
「──お前の言葉なら姫さんに届くかもしれん…て、俺は直感した。
悔しいけど、俺等ではアカンのや…」
買い被りすぎだ。
俺は…アイツを…。
「…、ちゅー訳で。頼んだでぇ〜」
軽そうにヒラヒラと手を振る侑李の眼に冗談は含まれて居ない。
本気でアイツを想ってるんだな…。
「ホンマ、頼むわ。
──…神夜を、助けてくれ」
「───っ」
何かが突き刺さった様な気がした。
救える、だなんて思えない…。
俺が彼奴にしてきた事は…一生消えないんだ。
けど、ほんの僅かな可能性でも俺にあるなら…
今度は間違わない─。
絶対に
もう傷つけたりしない。
*****
「……」
「……」
朝っぱらから会いたくねぇ野郎にバッタリと出くわした。
うろ覚えだけど、昨日の夜と服装が変わってねぇ所を見ると朝帰りか。
「…彼奴と、何を話した」
意外にも先に沈黙を破ったのは美波だった。
「は?彼奴?」
「侑李だ」
どうやら俺が侑李と消えた事を知ってるらしい。
「…別に、」
「…チッ」
何で俺が舌打ちされなきゃなんねぇんだよ。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
無料HPエムペ!