◇夜空に謳う◇
5
「俺は…、彼奴と同級生…で、…2年前から彼奴を探してた」
まだ…こいつを信用した訳じゃねぇ。
重要な部分を伏せて掻い摘んで話した。
「2年前…て、確か姫さんが入院してた頃やな」
「っ、何で知って…」
「俺、姫さんとは中2からの付き合いやもん」
て事は彼奴が中1の頃から知ってるって事か…。
「あの時の事はよぅ覚えてる…」
どこか虚ろに話す侑李に、俺は拳を握り締めた。
入院していた事は知ってる。
─あれは、あの事件は俺のせいだ…。
「俺等も…夏樹さんもみんなが泣いとった…」
─夏樹?
初めて聞く名前に無意識に苛立つ。
「あんなちっちゃい体で、ホンマなら死んでもおかしぃない怪我で…ずっと意識が戻らんで。
姫さんが目を覚ました時初めて神様っちゅーのを信じたわ」
ははっ、と苦笑する侑李に無意識に眉を顰めた。
俺が…彼奴を追い詰めた。
だから彼奴は…ッ。
「…ホンマ言うたら、俺お前が現れた時、ボコったろ思たんや」
笑顔で恐ろしい事を言うなよ。
「けど、やめた」
「どうして」
「お前、もしかして気付いてないん?」
「?」
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