◇夜空に謳う◇
4
「─『1日50万』、…それが『恋人契約』や」
「どう云う事だ…」
1日50万、だと?
「まる1日、恋人になる。姫さんのタブーに触れん限り、何をしてもええ」
一瞬目を細めた侑李は『sexも込みや』と続けた。
鈍器で頭を殴られる気分、てのはこう云う意味なんだな…と、初めて理解した。
信じたくない─。
「…タブー…って、何だ」
それでもどこか冷静な部分が働く。
「…何も聞かん事。連絡先を聞かん事。とにかく、姫さんのプライベートは絶対に触れたらアカン」
もしタブーを犯せばどうなるのか、と口を開こうとするのと同時に侑李はどこか辛そうに表情を歪めた。
「…俺は、姫さんが好きや。せやから、あんな事は止めてほしい…。
けど、姫さんには解らんのや。
どんだけ『好きや』言うても、『愛してる』言うても、姫さんには届かへん…」
独り言の様に話す侑李を見て、こいつも佐野と寝た事が有るんだとわかった。
「……、ほんで?
時雨と姫さんの関係は?」
パッと顔を上げた侑李はさっきまでの表情が嘘の様に笑っている。
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