◇夜空に謳う◇
3
女みてーな名前だと言えば「漢字は格好えぇで?」と、紙に『侑李』と書いた。
…普通だ。
「で、姫さんとはどーゆー関係?…の前に時雨の質問に答えたらなアカンな。
何が知りたいんや?」
「……彼奴の…、『神夜』って呼ばれてる奴の事が…知りたい」
「へぇ…。もしかして知らんとアソコに来たん?」
正直興味本位であの場所に行った。
…噂を聞いて─。
─『銀髪の美人がウリをやってる』─
驚きと同時に興味が湧き上がった。
─彼奴以外にも銀髪の奴が存在する事に。
まさかそれが…佐野神楽だなんて、思いもしなかった。
「…噂を…聞いたんだ。─…『銀髪の美人がウリをやってる』…って」
ただ確かめたかったのかもしれない。
もし…
もし彼奴なら合って伝えたい事がある─。
だから『銀髪』と云う単語に反応した。
「は〜。んな噂流れとるんや?」
「…噂、じゃなかったけどな」
「あ〜ちゃうちゃう!『ウリ』やない。『恋人契約』や!」
恋人…契約?
「なんだ、それ」
「ホンマになんも知らんとアソコに来たんや…」
呆れた様に侑李は肩を落とした。
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