◇夜空に謳う◇
side:S
◇side:S◇
翌日─。
目覚めの気分はマジで最悪だった。
あの後…佐野が姿を消した直ぐ後、その場に居た十数人の男の中に見知った顔を見つけた。
向こうはさして驚きはしなかったが、俺は兎に角彼奴の事が知りたくて近付いた。
「何で…あんたがこんなトコに居ンだよ」
「そりゃコッチの台詞だ…」
……美波 冬護。
俺の通う高校の生徒会会長。
チーム名は忘れたが確か族の総長。
人の事言えねぇけど、あんま素行は良くない。
「…お前。神夜を知ってンのか?」
「ッ、…」
窺う様に問われて言葉に詰まる。
どう答えれば良いのかわからない。
それよりも、
「…聞きだい事がある。
『神夜』って、彼奴の事なのか…?」
神夜、神夜。
周りの奴等は佐野をそう呼んでる。
「お前に教える義理はねぇよ」
嘲りを含んだ表情で美波は俺に背を向けた。
「あぁ〜あ。冬護怒らしてもぉたな」
「ンだよテメェ…」
背後から聴こえたふざけた口調が癪に障った。
振り返ると如何にもチャラそうな長身の男が1人。
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