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◆月の籠◆



「……意外…」


現在、向かい合わせのソファーで雛を挟むように梓と寧が、そして向かいに透夜と悠真が座っている。

小さく呟いた雛に梓を除いた三人は「そうだろう」と首を縦に振った。


「確かにこいつの外見からは想像も出来ないだろうな」


190もある大の男が趣味が料理などと誰が思うだろう。
悠真がそう零すとその向かいで梓は口を尖らせ「それどういう意味?」と拗ねてしまった。


「梓の外見はどうあれ、美味しいですよ?ね、雛」

寧に同意を求められ雛は頷いた。


「…美味しい、よ…?」

ぶすくれている梓に向かって告げると、梓はあっさりと機嫌を直しはにかんだ。


「そーいや、今更なんだけど満剣は?」


不意に満剣の不在が気になったのか、透夜が問う。


「心は…急用で、今は校外に出てる」
「そっか」


それきり透夜は満剣の事を聞かなくなり、梓の弁当を摘み出す。


「雛、雛っ」
「…?」


横から梓に呼ばれ彼を見ると、ゴソゴソと重箱が入っていた風呂敷包みから何やら取り出した。


それは重箱とは違い紙で出来た箱で、梓はそれを雛の膝の上に「どうぞ」と置いた。




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あきゅろす。
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