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◆月の籠◆












「お疲れ様です。雛様」

「…」


御簾から出て来た人物に青年は跪いたまま頭を下げた。


雛様と呼ばれた人物は現綾神家当主、綾神雛。


見目麗しいその姿に、その場に居た数人の使用人の女達は頭を下げる事も忘れ見惚れる。

それ程に雛は美しく妖艶だった。


紅く美しい着物を纏い、綺麗に結われた長い青銀の髪。

それだけ見ると女性の様だが、彼はれっきとした男だった。



「…このままお休みになられますか…?」

「……いや、…」

雛の意を汲み取った青年は使用人達に出ていくよう指示をだす。



「…では、用意をして参ります」


静かに立ち上がり 出て行く青年の背を見つめ、雛はひっそりと息を吐いた。




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あきゅろす。
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