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◆月の籠◆



「え〜そうかなぁ?僕はやっぱり満開が好き!雛もお気に入りだったでしょ?」

「ぇ…、うん」


どうして解ったのだろうかと雛は内心首を捻る。


「お前、よく桜見てたからな。ここからもよく見てただろ?」


透夜が茶を飲みながら視線を窓に移す。

何故生徒会室から見ていた事まで知っているのかと疑問に思ったが、考えてみれば自分も此処からこの四人を見ていたのだから、中庭から此処が見えるのは当然だ。


ふと中庭に視線を移す。此処から見える桜の木は花が散り黄緑の新芽が除いていた。
花を見るのは嫌いじゃない。寧ろ好きだ。
だが、散ってゆく花を見ると胸がざわつく。

暖かい春の空気に締め付けられるような…、


「淡い、気持ち…になるよな。
桜が散るのを見んのは」


───え…?


顔を上げると透夜は照れたように視線を逸らした。


「何柄にもない事言ってるんですか」
「るっせぇ」


クスクスと笑う寧に透夜はへそを曲げたのか余所を向いてしまう。


「もう直ぐ春も終わってしまうな」

「…そうだな」


悠真の問に雛は小さく頷いた。


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あきゅろす。
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