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◆月の籠◆



飲み物の用意を寧に手伝ってもらい、五人での昼食が始まる。

場所は違うがいつもの馴染んだ空気に雛は無意識に口元に笑みを浮かべた。


四人に囲まれるとこうも穏やかな気持ちになれる。

まるで真綿に包まれる様な暖かな空気。

いつか無くなると解ってはいても、依存しそうで怖い─。




「雛は少食過ぎるんだよ」

「…ぁ、うん…」


食べる手が止まっていた雛に、梓はもっと食べろと促す。

別に満腹になっていた訳ではなく考え事をしていたため手が止まっていたのだが、どうやら四人にはそうは見えなかったらしい。


「…お前達が食べ過ぎるんだ…」

幾ら育ち盛りとはいえ、四人と雛では体格に差があり過ぎる。
雛を除く全員が190近くも有るのだ。一体何を食べたらそこまで伸びるんだ、と雛はむくれた。
決して高くはない自分の身長が少々恨めしい。


「そう言えば中庭の桜、散っちゃったね。折角綺麗だったのに」
「桜は咲いている時よりも散り際が美しいと言うからな」


突然の梓の話題変更に慣れているのか、悠真はさらりと返す。


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