◆月の籠◆ 参 「…それでは、お休みなさいませ」 満剣が部屋を出ていくと、静寂に包まれる。 ふと昼間透夜に貰った小瓶を思い出し、雛は奥に置いてある机に向かった。 机に備え付けられた引き出しを静かに引くと、カタン…と小さな音が静かな部屋に響き渡る。 「……馬鹿、だよ…。お前等は…」 引き出しの中一杯には、今まで透夜達がくれた物が所狭しと並んでいた。 どれもこれも綺麗な箱や小瓶…。 中身は飴だったり、クッキーだったり。 甘い物が好きだと零したその日から、毎日のように渡される物たち。 今日貰った小瓶の中には色とりどりの金平糖。 純粋に綺麗だと思う。 雛はそれらを大切にしていた。 自分の宝のように…。 『雛、綺麗』 「俺は…お前達が思ってるほど…綺麗じゃない……っ 寧ろ、不浄な存在だ…っ」 パタ…と床に水滴が落ちた…。 . [*前へ] [戻る] |