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◆月の籠◆




「あ、雛今笑った!」


「ぇ…?」



滅多に笑わない雛が笑うと、とても嬉しそうに言う。


その後決まって透夜が続けて言う言葉が……



「雛、綺麗」



雛を奈落に突き落とす──。




他意のない思ったままの事を告げる透夜に、悪気がある訳ではない。



けれど…。



「俺が…綺麗なわけないだろ…」





返す言葉は震えていないだろうか…。
いつもの様に、自分は喋れているだろうか…。




「雛」

突然、四人とは違う声で呼びかけられ、雛は振り返った。


「げっ、もう来やがったか」


透夜が忌々し気に吐き捨てた先には、この明訪学園の生徒会長である満剣心が立って居た。


「…ここ、ろ…」

「顔色が良くないな…。今日は早退するか?」


雛の頬を撫でる満剣に、透夜達は焦燥感を煽られる。


生徒会長の満剣心と副会長を務める雛が、誰もが羨む程の恋仲だと彼等が知ったのは、既に雛に一目惚れをした後だった。


「大丈夫…だから…」

「……わかった。だか無理はするな」

「ん…」



こくりと頷いた雛は、誰から見ても『満剣心の恋人』だった。


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あきゅろす。
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