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花という名の無法地帯
二律背反の君を説く(花井と田島)


おお振り異世界パラレル
(前説ですら無いのに既に血生臭い感じです。西浦ーぜは生臭いことなんてしないよ!野球少年だもの!という方は閲覧をお止め下さい。おそらく田花寄りのシリーズになります)
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二律背反の君を説く


つまるところ、『タジマ』という人間は単純なようで、全く以って掴みどころのない奴だと思っていたのだ。
小さい身の丈、くりくりと大きな瞳と小動物を思わせる活発さ。どれを取ったって強そうな印象はまるで受けない。
けれど、ひとたび小刀を握れば阿修羅も嫉妬するような烈しさで敵を屠っていくのだ。(初めて奴の戦闘を見た日の夜はその衝撃で飯が食えなかったほどだ)
田島は西浦に来る前まで最も厳しいと言われていた激戦区『荒川』の第一線に居たらしいから、その闘い振りも頷けるのだが、どうしたってその二面性に付いていくには俺は頭が硬すぎた。
だから少し前に『お前はなんでそんなにヒトを殺せるんだ』と聞いたことがあった。(この場には泉と阿部も居たのだが、こいつらに睨まれると胃の辺りが痛いくらいに縮む。無神経さは自分でも重々承知だ)
田島は食べていた肉まんを一息に飲み込んで俺を見た。その瞳の色は秋が深まったような鮮やかな赤銅色をしていた。

「だって俺、仲間が死ぬのやだもん」

田島はなぜそんなことを問われるのかわからない様子で、あっけらかんとそう言った。

「それに花井だって俺がやばくなったら助けてくれんだろ?」

無邪気に笑う田島の言葉は俺に対する助け船に違いなかった。俺は唇を噛んだのだった。

つまるところ、『タジマ』という人間は掴みどころがないようで、全く以って高潔な奴だった。仲間を護るためだったら自分の手を真っ赤に汚すことさえ厭わない。
そんなんで壊れてしまわないのだろうか、パンクしてしまわないのだろうかと時にそう思うのだけれど、やはり笑うばかりの田島を見ていると考えている自分が馬鹿らしく思えてくるのだ。
それにいっそ壊れてしまえばいいとも思う。強い強い田島。俺はお前を認めたくないのだろうか。

結局、俺は俺自身の真っ黒さに目も当てられないということで、田島はきっと強いままなのだ。


(この頃の俺は微かな叫び声さえ聞き落とすほど、自分のことで精一杯だった)


Fin
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おお振りを書くとパロディとかパラレルになってしまうのはどうしてだろう。難しい質問です。
田花(逆も可)をイメージしたのですが、CPの匂いはしませんね。残念。

花井が田島を妬ましく思うのは、ちゃんと田島の強さを認めているからなのです。そしてなんだかんだで好きになってしまえば良いと思います。
設定は昔、おお振り(主に西浦)にはまっていた頃に作ったものから持ってきました。3年くらい前のデータが残っていた奇跡にびっくりです。
イメージ的には荒廃した世界でチーム戦で行われるバトルロワイヤル、魔物もいるよ!みたいな感じです。在り来りですが、そういうのがとても好きなんです。
皆の立ち位置とか武器とかも考えてはいるのですが、取り敢えず割愛します。
当時は女体化で考えていたみたいですが(昔から思考が斜めだったようで残念です)、どちらでもいいと思います。
箸休めのような感じでオムニバス形式で書けていけたら良いと思います。

原稿中の気分転換に書きましたので、なかなかに突っ込み所が満載だと思います。感想等、頂けたら嬉しいです!



2010*0511 玖瑠璃

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