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せめて、朝までは、 4
勝手知ったるサツキの家、灯りをつけないままで、冷蔵庫に買って来たものを投げ込み、ペットボトルの飲み物と煙草だけを取り出す。黒色の分厚い上着を脱ぎ、上半身裸のままで飲み物の口を開け、飲み下した。煙草の火をつけ、サツキが寝ているソファの前にしゃがみこんだ。ソファから少し離れたガラス製のテーブルに置かれた灰皿に、灰を落とす。もとよりサツキは煙草を吸わない。この灰皿が自分のためのものだということを、ユエは少しだけ、ほんの少しだけ、嬉しい、と思う。
僅かに与えられた自分の居場所を守るために、ユエは今、ひとり、人の命を消そうとした。けれどそうしてしか生きられない自分達が、そっと身を寄せ合うことは、罪だろうか。
いつか、罰が、くだるだろうか。