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お大事にどうぞ





いつもと変わらない朝。



一昨日から停泊している冬島は真っ白にコーティングされて、朝日を反射して眩しいくらいだった




「寒ィな…」



甲板に出て冷たい空気を肺に送りこむ。



「おはようございますキャプテン」


「おう」



挨拶をしてきた船員に顔を向けて応える

、とそこでいつもとは違う事に気付いた


「…なまえはまだ起きてねェのか」


いつもなら誰よりも早く起きて船内を掃除しているはずのなまえがどうした事か今朝は姿を見せていなかった。「おはようキッド!」と明るく笑うなまえに「掃除なんざ雑用にやらせときゃいいだろ」と返すのはお決まりのやりとりになっていたのだ。




「キッド、」


船内からキラーがやってきた


「なまえが…体調崩したみたいだ」



めずらしくどこか慌てた様子のキラー。行って様子をみてきてやれキッド、と船内を指差す。








「入るぞ、なまえ」


ノックもせずにドアを開け、中へと入る。


「キ、キッド!入っちゃだめっ」


部屋に入ると同時に拒絶の声。
ベッドに横たわるなまえはなんだか辛そうで、声もいつもと少しちがって掠れ気味だ。
マスクもしている為か、いつもとは別人のようだ。




「俺に命令たァどういう事だ?」


「移るから出てけって言ってんの!」


「嫌だね」




「………後で後悔しても知らないんだから」




こうなったキッドに言うことを聞かせるのは不可能だと悟ったのか、なまえはため息と同時に入室を許可してしまった。




「具合悪いのか」



ギィ、とベッドの傍の椅子に腰掛けてなまえのおでこに手を当ててやる。その小さな頭は健康体の持つ熱とは桁違いに熱かった。



「風邪ひいちゃったみたい」


「いつも無理してっからだ」


「無理なんてしてないもん!」


なまえはそう言うと咳こんでうずくまってしまった。


「バカ野郎…もう黙ってろ」


キッドはなまえの華奢な背中をさすってやる。


「…ははっ!柄でもないね、キッド」


「…うるせェよ」


「でもありがと。きっとすぐ治るよ」


「あァ、そうしろ」



なまえはやっぱり少し辛いのか、息も上がっていた。



「ねぇキッド、もう一回おでこに手を乗せて?」


「あ、あぁ…」


言われた通りにしてやれば、冷たくて気持ちいい、と笑うなまえに「そりゃよかったな」と返す。


しかしキッドはそれどころではなかった。

熱のせいで赤くほてった頬、潤んだ瞳、少しハスキーがかった声。いつもと違って結われていない長い髪。今のなまえは妙に色っぽくて



(誘ってんのかコイツは…)



「キッド?」


「なんでもねェよ」


そう言って椅子から立ち上がる。このままだと熱で倒れそうなコイツを襲っちまいかねない。



「まあ今日は一日大人しく寝てるんだな」


「うん、ありがとうキッド」


弱々しく笑った彼女に、マスク越しに、キスを落とす





「なっ……!」


「薬がわりだ」




ニヤリと笑って部屋を後にする




船医がなまえの部屋につくまであと少し





お大事にどうぞ


(今日の所はこれで我慢しといてやる)




(オイ大変だ!なまえがすげぇ熱出して倒れてるー!)








−−−−−
マスク越しのキスが
書きたかっただけです(^q^)←
なんかキスネタばっかだな最近!






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