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凍えた私を温めて!





「ぶぇっくし!!」



うあ〜さぶい。
何?くしゃみが親父くさいって?
すいませんね、だって寒いんだもの。


それもそのはず
なまえのいる白髭海賊団の船は真っ白にコーティングされた冬島に停泊していた。
今クルーの皆は上陸して買い物中。なまえはというと、ジャンケンで負けて船番をしているのだ


「かわいくねーな、全く」

「えっエエエース!?」


気付けば目の前にエースが立って笑っていた。急に顔が熱くなる。


「ははっ、お前動揺しすぎだろ」

「な、何でここにいるの?買い物もう済んだの?」

「いや、抜けて来た」

「なんでっ?」

「なまえが寂しがってねェかなと思ってよ」


そう言って笑い、私の隣に腰をおろすエース。
途端にうるさくなる私の心臓。
なんて単純なの、私の体は。

でも口先だけは素直になれない。ほんと、可愛くないね



「…寂しがってなんかないし」

「へェ、この前の夏島で迷子になって泣きそうに」

「あれはエースが歩くのが速すぎたのが悪い!」


ムキになって叫んだ後の小さな沈黙。で、少し後悔。可愛くないなぁ、私(今日何回目?)




「………」

「…さむいな」

「嘘つけ、万年発汗男」

「発汗てお前…そんなんだからモテねェんだぞ」

「余計なおぜわでふ」



何でエースにそんな事まで言われなきゃいけないの。
ああ〜寒い。ぶえっくし。

赤くかじかんだ指先に吐息をかける。



「お前見てるとこっちまで寒くなるっつーの…手かしてみ」


そして彼の大きな温かい手に包まれた私のかじかんだ手。


え!なにこれやばい。どきどきが止まらない!顔は真っ赤、包まれた右手は汗をかきそうなくらい熱い。
体は凍えそうなままだから、何か変な感じだ


「お前ェ、顔赤いぞ?熱でもあんじゃねェか?」

「や、全然平気!元気!」

「そーか?」



何でこんな緊張してんだ私!

なんて考えていると、今度は全身に、温もり



「お、ジャストサイズ」

「え、ちょ、何してんの!」

「何って、なまえが寒そうだから」

「は、離してよっ」

「おい暴れんな」


なまえはエースの腕の中にすっぽり収まり、後ろから抱きしめられていた。
更にエースはなまえの肩に顎を置いて話すもんだから、耳もとにエースの白い吐息がかかってくすぐったい。
エースの体温が伝わってくる。
静まれ、私の心臓。





「……あの〜、」

「ん?」

「いつまでこのままなの?皆帰ってきちゃうよ?」

「あァ、そうだな」

「いいの?誤解されちゃうよ」

「それもいいかもな」

「いいかもなって…」



そんな風に言われたら、期待しちゃうじゃん。
どうせエースは冗談を言っているのだろう。そう考えると何だか辛くなってきた
エースはかっこいいし強いし優しいから、凄くモテる。
それに比べて私は本人にもモテないって言われるくらいだし…


もんもんと考えていると、エースが私の顔をのぞき込んでいた。
顔が近いっ!!


「何考えてるんだ?」

「あ、いや何でもないっ」

「何でもあるだろ」

「………」


まァいいや、


そう言うとエースは私を抱きしめていた腕を解いて私の前に立ち上がった。


「そろそろ部屋に戻るわ。皆も帰ってくるしもう船番しなくていーだろ」

「え…」


もう少し一緒にいたかった、
なんてチキンな私には到底言える訳もなく

「そうだね、さっきより寒くなってきたし」



「じゃあ目ェ閉じろ」

「え、何で?」

「いーから」


しぶしぶ言われた通り目を閉じる。
目の前にエースがいると思うと何だかすごい恥ずかしい


その瞬間おでこに一瞬の温もり



「エっ、エース!!」

「どーだ、悩みなんてどっか行っただろ」

ししし、と笑いながら船内へ戻っていくエース。


「な………」

完全に放心状態となった私
頭はフリーズ。

しばらくぼーっとしていると

またエースがひょいっと顔をのぞかせた。

「今の、一応告白のつもり…なんだけど。」


そう言って私を見つめて、
まあ返事はいつでもいいから、と言い残して船内へと消えたエース。


起こった事が整理できずにいた能がフルに回転し始め、
思わずエースの消えた船内へと走り出す。


「エースっ!」

愛しい彼の名前。

「わたしも、」



負けないくらい好き!





えた私をめて!



((お〜やっとくっついたか))
(おっ、お前ェら!いつから聞いてた!)
((さあな〜!ぷぷ))
(みんなありがと〜!)
(お前ェも呑気にお礼言ってんじゃねェよ!)





     






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