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61 隻眼狂人ギルド









「お前…っ」

背後からルルーシュの声が聞こえていた。彼は驚き、足がすくんでいるようだった。
そして同時に周りがざわめき。クラス中の視線が一気に二人に集まる。
そのことに対してスザクは何も感じていないらしく、ただ一心にその行為を続けていた。
にこにこといつもと全く変わらない表情で。

「ん?どうしたの?」

スザクはつい先刻まで背中に触れていたルルーシュの手が離れたことに気づき、そのまま後ろを振り向いた。
しかし、その光景を見て、ルルーシュはさらに顔を引きつらせ、後退した。

「うわぁ!お前っ…!気持ちが悪い…!こっちを向くな!」
「え?」

それは、スザクが得意で大好きな体育の授業。今日は雨が降っており、急遽体育館での授業となった。
広い体育館の中、スザクはルルーシュと組み、身体をほぐしていたのだが…。

「どうしてそんな事が出来るんだっ…!」

ルルーシュの目の前に居るのは両脚を180度(以上)開脚させ、さらにあろうことか
上半身を床にぺったりとつける、まるで軟体動物のようなスザク。
その状態で後ろを振り返られると、何だか人間じゃないような気がし、正直不気味だった。

「そんなに驚くことかなぁ…」
「当たり前だ!」

そう言いながらもスザクはさらに上半身を床につけて伸ばしたり、片足に身体を横に密着させたりして
ルルーシュの助けも必要なしに、自分自身で身体を限界まで曲げていた。

「いや、だって…子供の頃柔道とか合気道とか空手とかやってたし、なんかもう必然的に」
「ジュウドウ?アイキドウ?カラテ…?」

さらっとそのまま言葉を発するスザクだったが、
聞いたことのない単語の羅列に、ルルーシュは頭にはてなマークを浮かべる。

運動神経が超人並みに卓越したスザクにとって、身体が柔らかいことなど当然だと思ってはいたが、
実際見てみると、とても変な気分だった。

「まぁ、日本のスポーツで、護身術みたいなものだよ。ほら。次、ルルーシュの番」

そう言ってスザクは上半身を起こし、開いていた足をぐるりと背中の方に回して、ぴたりとつけると
そのまま少し身体を浮かせ、正座の姿勢になり、立ち上がった。

「あ…ああ…」

長座体前屈の姿勢から、事実上180度回転したスザクの脚。
あっけにとられるルルーシュをよそに、スザクは彼に自分の前に座るように指示をした。






+++





授業も終わり、今はもう夜更け。昼間降っていた雨は既にあがり、空には綺麗な月が浮かんでいる。
そして今宵も、二人の青少年が不自然にベットで絡み合い、シーツをうねらせていた。

「ひっ…」

突如あがった嬌声。それは既に甘く蕩けていて、スザクの耳を犯した。
真っ白なシーツに横たわるのは同じく真っ白な肌をしたルルーシュ。
交わるのはそれほど久々というわけではなかったが、それなりに二人は今から始まるであろう情交に
欲を高め、勢いに任せてベットに雪崩れ込んでいた。

「ん…。ルルーシュ…」

名を呼ぶスザクの声も低く掠れている。ルルーシュの胸の突起を食みながら息を荒げている姿は
さながら獣のようだった。
そんな彼にさらに欲情してしまうルルーシュも、相当獣に近いのだろうが。

「は…元気だな…っ、スザク…」

「ん?」

胸の突起への愛撫に夢中になっているスザクがそのままルルーシュを上目遣いに見る。
目が合い、その時さりげなくのぞいた赤い舌が、ルルーシュを人知れず煽った。

「今日、あんな体育で…走ったのに。お前は…」

快楽に息を切らせながらも、喋るルルーシュが可愛いなと思いながら、にこにことしながらスザクは舌で愛撫を続ける。

「ん。君は、相当疲れたみたいだったけど…。あ、今日シても大丈夫?」

今日の授業は体育館だったのにも関わらず、ひたすら持久走。
身体を動かすことを苦手とするルルーシュには地獄のような授業だった。

「はっ、何を今更…」

こんなになるまでしておいて、もう止められるはずがないのに。
しかし、スザクもルルーシュのことを知っていてわざと言うらしい。
彼はルルーシュが意思で己を求めるのを酷く好いた。
ルルーシュはそう言って、スザクを頭ごと抱きしめた。

「んむっ」

いきなり硬い胸に顔を押し付けられ息苦しくなったスザクが思わず変な声を上げた。
そしてそれが彼の了承の合図だと理解すると、彼の腕の中で微笑んだ。
きつく抱きしめられている腕をそっとほどくと、彼の唇に触れるだけのキスを落とした。

「んっ…」
「ふふっ」

ベットの中で微笑み合う二人。そこに流れていたのは恋人達の幸福な時間だった。





「よいしょ」

身体への愛撫が終わると、スザクは少しルルーシュの身体から離れ、ベットの脇に置いてあった
小さな瓶に手を伸ばした。
それは二人が日々愛用している、情交を行うための潤滑油。
蓋を開けて中身を取り出して指に絡めると、ゆっくりとそのまま指を躊躇なくルルーシュの後腔へ差し込んだ。
入り口はいたわるように少しゆっくりと。そしてある程度内部まで進むと今度は速度をつけて抜き差しをする。
奥の腸壁は、指が戸惑いを見せると、彼に苦痛を与えるだけになる。

「んっ、ん、ん…」

中で轟く指の動きに合わせてルルーシュが身体をぴくぴくと震わせる。
先刻までシーツと同じ色のようだった白い肌は薄く桃色に上気し、胸の突起だけが一際赤く染まってその存在を示している。
スザクはそんなルルーシュを媚態に欲情を隠せないまま、挿入していた指を二本に増やした。

「そろそろ…いいかな」
「ひっ…ひぅっ…!」

感じる前立腺への愛撫をする頃には既にルルーシュの後腔は甘く蕩け、スザクの指を締め付け、ひくひくと喘いでいた。
頃合を見てスザクもその指を半ば無理やり引き抜き、昂ぶった性器を挿入しようと身じろいだ。

「ルル。脚開いてねー…、あっ」

ふと、スザクは何かを思い出したかのように行動を止めた。









彼にできるだけ負担をかけさせないためには、スザクもそれなりに考慮する必要があるのだが、一番影響するのは
やはり体位である。
快楽を楽しむための交わり。世界には古来から様々な体位が伝えられている。
性に疎いスザクだったが、彼でもそれなりの体位くらいは知っている。
それを何度か彼に試してはみたのだが、やはり一番楽なのは正常位らしい。
仰向けになったルルーシュがスザクの肩に脚をかけて挿入をさせる。
この体位はスザクも動きやすいし、彼の顔を見れて好きなのだが。


今日は少し違った嗜好を凝らしてみようかと思い立つ。
きっかけは今日の体育の授業。

「ん…?スザク…?」

突然動きが止まったスザクにルルーシュは少し不安げに声をあげた。
それに気づいたスザクがまたにこっと笑い、思い立ったことを素直に話す。

「ね、ルルーシュ。ストレッチしよ?」
「はぁ!?」

体育の前の準備体操で、ルルーシュの身体の硬さは異常だったのだ。
スザクが背中をいくら押しても「痛い」と叫ぶばかりで、真っ直ぐに伸ばした足の先に指さえも触れられなかった。

「効率いいと思うんだけど…。身体ほぐせるし、挿れやすくなるし」
「お前…何を…!」

そう言ってスザクは閉じたルルーシュの脚をシーツにつくくらいまでがばっと広げた。
突如、股関節に走った痛みにルルーシュは大きな悲鳴を上げた。

「いっ……!!!痛い痛い痛っ!!止めろ…!痛い!スザク…!」
「挿れるよー」
「ひいっ…!お前っ…!!」

そしてそのまま予告通りスザクはそのまま性器を挿入した。
脚を開き、後腔が広がって、挿入は幾らかスムーズになったようだった。
しかし尚もルルーシュの悲鳴は耐えない。

「うわぁっ…あ、あぅ…!痛い痛い痛い!脚っ…!付け根……!!!」
「本当に硬いんだねー…」

そう言いながらもスザクは性器をずんずんと奥へと進めていく。
ルルーシュは快楽と痛みで生じた涙で顔をぐちゃぐちゃにしながらも、入り込んできたスザクを受け止めていた。
やがて全てが収まると、スザクは律動を開始しながら、その動きに合わせてルルーシュの硬い股関節の筋肉を
徐々に広げていった。
脚を大きく開かされているという羞恥より痛みの方が勝り、ルルーシュも混乱していた。

「ん、ん、…いっ…!」

スザクは脚をぐいぐい広げると同時にその脚をそのまま持ち上げ、膝が顔の横につくくらいまで身体を曲げさせた。
しかしやはりルルーシュには痛みが激しいらしく、手をバタつかせてどうにかスザクを離そうとした。
けれど身体全体に乗っているスザクを退かすことなど到底無理だった。

「あ、こら、ルル…っ、暴れないで…」
「あ―――…っ!いたたたっ!!スザク…!止めろ!馬鹿ッ!身体が折れるぅっ!!」

そこまで非道くしているつもりはないのだが、スザクは混乱したルルーシュを見て少し可笑しくなって、
ついくすりと笑ってしまった。
完璧主義な彼が、よもやこんなところに弱点があったとは。

でも、こういう体位を続けたらいずれ彼の身体も柔らかくなってあんな体位やこんな体位が
できるのだろうな、と
苦しむルルーシュを見ながらぼんやりとスザクは思っていた。

「大丈夫だって。ほら、次はこっちに集中して?」
「ひぁあ…ん」

スザクはすっかり萎えてしまったルルーシュの性器をやわやわと握りながらそのまま律動し、彼を徐々に追い上げていった。
ぐちゅぐちゅと接合部から卑猥な音が漏れ、ルルーシュはスザクの性器を甘く締め付ける。

「ん、ルル…っ!」
「あ、は、…スザクぅ…っ!」

やがてルルーシュも時間がたつにつれ身体の痛みも忘れ、中に轟くスザクを感じて身悶えた。
性器も熱を取り戻し、後は絶頂を瞬間を共に待つだけだった。

「っ、ルル…イっ…」
「スザク…!あ、イ…っ!」

達したのはほぼ同時だった。最奥まで押し込まれた性器はびくびくと震えながらルルーシュの中に熱い精を放っていく。
絶頂を果たすと疲労の所為か、眠気が一気に彼を襲い、そのまま引きずり込んで行った。






「ほら!ルルーシュすごいよ!」

そう言って嬉しそうにぱちぱちと手を叩くスザクの憎たらしいこと。
スザクのお陰なのか、ルルーシュはさっきまでは全く出来なかった前後屈が、見事に出来てしまったのである。
ベットの上に座って脚を伸ばし、身体を曲げ、その指が足の先に触れられるようになっていたのだ。
不覚にも身体が柔らかくなってしまった自分に、ルルーシュは小さく舌打ちをした。

「身体が柔らかくなったとて、何も嬉しくはないがな」
「そんなこと…あ、いや…まーたそんなこと言って意地張っちゃってぇ…」
「張ってない。全く…もうあんな体位は懲り懲りだからな。痛いし恥ずかしいし、最低だ」

溜息を吐くルルーシュに元気はない。未だ広げられた股関節には痛みがあるらしい。

「えー。ストレッチは毎日やらないと効果ないんだよ?」
「毎日するつもりか!この体力馬鹿が!」


次の体育の授業。
ルルーシュの身体が目に見えて柔らかくなっていることに教師やクラスメイトが驚いていたのは、また後の話。









>>ネタは相互サイトの管理人であり、メル友でもあるのみそちげさんと膨らませてました。ありがとうでした!
書くのたのしかったなぁ…!
07.3.27 踏桜
07.7.7 加筆修正




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