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14 狂わせて










シュン、と自動開閉のドアが開く音をルルーシュは静かに聞いていた。
静まり返った真っ暗なルルーシュの自室に、廊下からの明るい光が差し込む。
それを目の端で確認すると、彼に見えないことをいいことに、毒を含んだ笑み露骨にを浮かべた。
差し込まれた明かりは数瞬後、すぐに消えた。 それとともに、革靴が床を叩く音が断続的に響く。
今現在自分が居る場所に、確実に近づいてくるその、人。
待ちわびて、待ちわびて。
それこそほんの一日だったのだが、ルルーシュは今すぐにでもその人間に飛びつきたい衝動に駆られる。
しかし、そんなことは許されない。自分自身が許してはくれない。
ルルーシュはただベットの上で横になって待つだけ。

やがて近づいてくる足音は消え、ほんの少しの衣擦れの音が聞こえた後、ギシッとベットが軋んだ。
広いベットの端にルルーシュは彼がベットに上がってきた側とは反対に身体を向けて、眠った振りをしていた。
彼は、四つんばいになってルルーシュに近づいてきたようだ。
動くたびにギッ、ギッ、と小さくベットが軋む。

鼓動は思ったよりも静かだった。 冷静になっている自分に少し驚く。

目を閉じて静かに想う。 今、背中に感じる彼の生気、吐息、聞こえそうな鼓動。
たったそれだけで、自分が欲情しはじめたということがわかる。
そして次々に思い出す、今までの彼との情交を、接吻を、熱を。

黒い笑みはやがて消え、刹那、苦しげな表情に変わった。

「どうしたの? 部屋、こんな暗くして」

優しい声が耳に心地よい。彼は頬に軽く口付けをし、寝ている振りをしていたルルーシュを起こそうとした。
ゆっくりと、その甘美な目覚ましに酔うように瞼を上げれば、そこは暗闇。
 
「急いで来たつもりだったんだけど…ごめん、眠くなっちゃった?」

ルルーシュはゆっくりと目を覚ました振りをして、彼を見ようと寝返りをうった。
暗闇に慣れない瞳ではあまりよくその姿は見えなかったけれど、そこには確かに待ちわびた男がいた。

「スザク…」

舌足らずな声でわざとらしくルルーシュは彼の名を呼ぶ。 徐々に目が慣れ、彼の輪郭がはっきりと見えてきた。

「ルル、大丈夫?なんか体調悪い?」

凛としたいつもの彼が、今日は何故か疲れたようにおっとりとしている。それを不思議に思い、スザクは今度は額に口付けをしながら声をかけた。
一つ一つの動作や言葉が優しいスザク。 彼はいつも通りだった。

「いや…」

短くルルーシュは答える。

「急に連絡あるから…びっくりしたけど…。本当にいいの?」

それはつい一時間前のこと、夜中にもかかわらずルルーシュは彼の携帯電話に連絡を入れたのだった。
ただ一言、「会いたい」と。
その言葉が意味するものをわからないほどスザクはさすがに鈍感ではなかった。
全速力でルルーシュの家まで走り、誰にも気づかれないように彼からもらった合鍵で家へ入った。

いつもの、いつも通りの、今までとなんら変わりないスザクだ。
ルルーシュは甘く囁く。

「…抱いて、くれ」

と。


 



用意されていた潤滑油は粘度が高く、けれどある程度の熱を加えるととろりと蕩けるものだった。
人肌より少し熱めの腸壁にその液体は絡み、今や指では掬いきれないほどに粘度を低くし、ぽたぽたと
シーツに垂れ、しみを作ってしまっている。
ぐちゃぐちゃ、と卑猥な音を立てながら後腔を抜き差しする指の動きはだんだん激しくなり、もはや前戯という枠を越え、ルルーシュに快楽を与え続けた。
細くて長いスザクの指が、巧みに後腔を解しつつ、敏感な内壁をすりあげる。

「あっ、あ、あ、…あぁ…っ!」

スザクが的確にルルーシュの前立腺を引っ掻くと、彼の身体は途端に激しく痙攣し、精を吐き出した。
既にルルーシュの放った精液は、己の腹を汚し、彼が動くたびにとろとろとシーツに垂れていった。

「また…イったの…?ルルーシュ」
「ぁ…っ…ん」
「気持ちよかった…?」

何度目かわからない絶頂で、ルルーシュの理性は飛んでいた。羞恥すら快楽に変わってしまいそうなほど。
スザクの問いにルルーシュは素直に頷き、自らスザクにキスを仕掛けた。
首筋に手を回し、身体ごと彼を引き寄せる。 積極的に舌を絡め、深いものへとしていった。

「ん、ふ…ぁ…」

その動きに答えるように、スザクも必死に舌を絡めた。 何度も何度も角度を変え、互いの唾液と、吐息を味わう。
やがて、舌先を突付き、名残惜しげに唇を離すと、スザクはルルーシュの頬に軽く口付けをし、高ぶった己の性器をルルーシュの後腔の入り口に触れさせた。

「ぁ…あ…ん」

それだけで甘い声を上げるルルーシュ。快楽にこれほど従順な彼は珍しかった。
一抹の不安を抱えながらも、スザクは今目の前にある壮美なルルーシュに欲望が抑えられるはずもなかった。
熱く、腫れぼったルルーシュの後腔にほんの少しだけ、性器を入れる。

「奥まで…入れるよ…」

余裕のない声でそう言われ、ルルーシュは一気に熱が背筋を這い上がるのを感じた。
快楽の期待が身体中を支配していた。

「いいか、ら…、スザク…早、く…」

その言葉を最後まで聞いたか、聞かないかのタイミングで、スザクは勢いをつけてルルーシュの後腔に性器を挿入した。

「ぃっ…ぁぁあああ…っ!」

途端、叫び声のようなルルーシュの甘い嬌声が響いた。搾り出すようなその声はスザクを一層刺激し、欲望をより深くする。

潤滑油のおかげでルルーシュの後腔はどろどろに蕩け、スザクの宣言通り性器は一気に根元まで埋め込まれた。
これ以上ない、身体を一気に突き刺された快楽にルルーシュは身悶え、枕元のシーツを強く握った。
目には生理的な涙を浮かべ、口の端からははしたなく唾液を零している。

「あっ…あ、あ…スザク…っ…はぁ…っ」

息も絶え絶えに必死にルルーシュは名を呼んだ。 今、目の前に居る人間の存在を確かめるかのように。
スザクはその声に答えるかのように激しく律動を開始した。
ぎりぎりまで性器を抜き、それを再び最奥まで押し込む。
挿入する角度を変えながら、何度も何度も繰り返した。
その度にルルーシュは泣き叫ぶように声を上げ、スザクに縋り付いた。逞しい背中に手を回し、もっと近くに、と言わんばかりに引き寄せ、顔を首筋に密着させた。

「ひっ…ひぁ…あぁっ…」

耳元でルルーシュの甘い声を聞きながら、ただただ必死に絶頂を追い求めた。
腸壁を縦横する熱い性器の脈動、首筋からほのかに感じるスザクの汗の匂い、背中に回した腕全体で感じる彼の体温、
密着した腹と腹の間で擦られて走る快楽。
そのすべてが一気にルルーシュに襲い掛かり、やがて絶頂という終焉を見せようとしていた。

「ぁあ…!スザク…っ!ぁはぁ…っ!」

名を呼ぶことすらもう辛かった。息が上がり、頭がついていかない。
ただ、スザクと共に迎える絶頂を待っていた。その訪れはもう近い。

「は…、は…っ、ルルーシュ…」

少し息を荒げたスザクが律動を繰り返したまま、ルルーシュの耳朶を食んだ。
そしてそのまま一言、溜息混じりに「出すよ」と言い、ルルーシュをきつく抱きしめた。
性器は最奥に捻じ込まれ、熱い迸りを腸の奥深くに吐き出した。
ルルーシュは首を仰け反らせ、快楽に身を任せるようにして同時に果てた。壮絶な絶頂感だった。

「あぁ………」

欲望を互いに吐き出し、甘い疲れが襲い掛かる。とろんと蕩けたルルーシュの瞳は今にも眠りに入ってしまいそうだった。

「いいよ…ルル。おやすみ…」

疲れきったルルーシュを見て、スザクは労わりの言葉をかけた。
汗で額に貼り付いた髪の毛を掻き分け、スザクは再びキスをした。
そして耳元で「後始末は僕がやっておくから」と言い、ゆっくりと性器を引き抜いた。
どろりと後腔を逆流するスザクの熱い精液に身を震わせながらも、ルルーシュはスザクの優しい言葉を聞いて、
本能に任せるままに眠りに落ちようとしていた。

「す…ざ……っ」

スザク、と呼ぼうとしたが叶わなかった。そのままルルーシュは深い眠りの底に落ちていく。
ゆっくりと目を瞑ると、目尻から一筋の涙が流れた。



情交の名残の、生理的な涙だった。








>>スザクに言わせたかった言葉満載!
2007.2.13 踏桜
2007.7.7 加筆修正








あきゅろす。
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