[携帯モード] [URL送信]
.

53 気難し屋の猫










今朝、アーサーに噛まれた指。
今日はスザクの行動がいつもより彼の勘に触ったらしく、一層深く噛まれていた。
傷口から血が指を伝うほどにまで垂れる程で、あせったシャーリーが絆創膏を巻いたものの、しばらく血は止まらなかった。

すこしざらざらしたスザクの指とは違う、人工的なゴムの感触に、ルルーシュは目を閉じたまま顔をしかめた。
きゅ、と唇を結び、何かに耐えるように身をよじらす。 片手では必死にスザクの手首をつかみ、それを押し退けようとしている。

「や、めろ…ッ」

焦ったような彼の声。 スザクは細い背中を後ろから包み込むようにして温もりを求めた。
彼は震えていた。 しかし体温は高く、全身は桃色に上気している。
スザクは彼に大丈夫?と何度も問いかけながら、怪我をした指で十分に慣らした後腔に性器を挿入し始めた。
ルルーシュに痛みはなく、圧迫感も酷くは感じなかった。 ゆるやかに、じっくり時間をかけて情交は行われる。
スザクは優しさの滲み出るセックスをする。 その優しさにルルーシュはいつも泣きそうなる。
快楽を抉り出すような男同士の情交。 しかしスザクは違う。 
細い身体と身体を重ね合わせ、互いの体温でじっくりと温めあうような、ぬるま湯に浸かったようなセックスだ。

スザクとのセックスはまだ片手で数えるほど。

最初、自分らが交わるとき、スザクは「初めて」と言っていた。
俯き、顔を赤らめながら告白をするスザクを見て、ルルーシュは胸がさんざめくのを感じた。
暗い感情を内に秘めながら、それでもルルーシュはスザクの背中に手を回し、瞳を閉じた。
静かに降りて来る唇を、歓喜して受け止めていた。

最初のスザクとのセックスは酷いものだったが、それでもルルーシュはスザクに、感じた熱に、この上ない快楽を得ていた。

肉体面だけでなく、精神面でも。 ルルーシュは満たされてしまった。

今までとは違うセックス。 あんな、人権も、道徳も無視したセックスとは。

背後に吐息を感じる。 ゆっくり、ゆっくりと動くその吐息は時間が経つほど荒く、険しいものへとなっていく。
時々、その吐息が背中に当たると、震え上がるように感じてしまう。 
でもそんな自分が浅ましくて、目の前にある真っ白なシーツを握り締めて衝動を必死に耐えていた。

「く…ぅ…っ」

お陰で、泣きそうな声。 強く握りすぎた手は真っ白になり、シーツにはきつく皺がついてしまっている。
ルルーシュは、己の汗が一粒シーツに落ちて染みゆく様を呆然と眺めていた。

全身が揺さぶられる感覚。 ある一点を支点にし、灼熱と共に突き上げられる感覚。

何度も突き入れられた灼熱は背骨を這い、脳を焼く。
全身はスザクの放った熱の所為で上気し、どんなに汗を出そうとも冷めることなどできそうにない。
くらくらする。 眩暈に近い感覚がルルーシュを襲う。



違う。 

…けれど。



「ぅ…ぁ……あ…ッ」

ずるりと、胎内で律動を繰り返していたスザクの性器が引き抜かれようとしていた。
濡れた、敏感な内壁を逆さまに擦られていく。

「やめ…ッ おま…! 何する…ッ」
「ルルーシュ」

スザクは、未だ熱を持った性器を引き抜きながらルルーシュを静かに見つめた。

「スザク…?」

涙の溜まった紫瞳で後方にいる彼を睨みつけると、スザクは一瞬驚いた顔をして、ルルーシュの頬に手を当てた。

「大丈夫?なんかルルーシュ、すごく辛そう…」
「え…?」

さっきまでの勢いは何だったのかと唖然としていたルルーシュをよそに、スザクは心底不安そうな顔つきでそのまま律動を止めてしまった。中途半端に浮かされた熱にルルーシュは苦しげに眉を寄せる。

「うっ…ん…!」
「ルルーシュ!?」

しかし、スザクが驚き変に身を動かした所為で浅いところに挿入された性器が不自然に動き、ルルーシュは余計に苦しさを味わうことになった。

彼にはルルーシュの置かれている状況がわからないのだろう。
熱に侵され一刻でも早く絶頂を迎えたいルルーシュ。けれどその様子を心配して動かないスザク。
ルルーシュの部屋、ひとつの大きなベットの上、ルルーシュは四つんばいのこれほどないまでに恥ずかしい格好をし、それに圧し掛かる同体系の男が慌てふためいている。
そこには奇妙な悪循環が起こっていた。

「もう…今日はやめよっか」
「なっ…!」

スザクが組み敷く恋人にむけてぼそっと呟くようにして言ったのを聞き逃すはずもなかった。
しかし真っ当に働かない脳がその言葉に驚いている間にスザクはさらにその性器を抜こうとした。
ぴりぴりとした刺激がルルーシュを惑わしたが、それでも必死に彼を繋ぎ止めようと言葉を発した。

「や…やめろ!スザク…ッ!ぅ…っ」
「ルルーシュ…?」
「ぅん…っ、やめ、や…、ぬ、くな…ッ」
「どうし…」

スザクはさらに戸惑い、思わず動きを止めた。
ふと、手首に何かを感じ見ると、組み敷かれたルルーシュが必死にスザクを手を握り、自分の方に引き寄せていた。

「お前は…!知らないだろうが…っ、俺は、お前よりずっと……ッ!」
「……、」
「いいから…!早く…!クソっ! スザ…」
「ルルーシュ」

スザクはルルーシュの言葉を止めた。 そして伏せたルルーシュの顔を自分の方に向かせ、半ば無理な体勢でキスをした。
彼にしては珍しい、余裕のない激しいキス。
心臓から、冷たい血液が送られるのを感じた。

「ん、ふ…」

唾液が垂れ流れ、ぽたぽたとシーツに落ちていく。
無理な体勢の所為で首が痛んだが、それすらも忘れそうになるほどキスは激しい。
しばらくして漸くキスから解放されると、ルルーシュは肘が立たなくなり、がく、とシーツに突っ伏す体勢になった。

「ごめん、ルルーシュ。 挿れる、から――……」

じんじん、と熱が帯びる内壁を、スザクの性器が切り裂いていく。
ルルーシュは静かに歓喜の声をあげた。 スザクにあまり聞こえないように。
快楽に溺れた脳が再び蕩け始めた。

抱かれていても、求めるのは自分の方。
淫らに、貪欲に、もっと貫けと。








>>ルルーシュは過去に身体売ってます。ノット処女です。
マイ設定すみませ…

2006.1.9 踏桜 
2007.7.7 加筆修正




あきゅろす。
無料HPエムペ!