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32 生殺与奪権
今、その権利はスザクが握っているのも同じ。
スザクの考えが読めないときがある。
エメラルドの瞳の奥に隠された彼の考え、想いを読めなくなってしまったのは、とって不測の事態だった。
しかし、そもそも彼が現れたこと、彼がブリタニア軍に入っていたこと、そしてよりによって自分と対峙する立場にあったことなど、全く予測の事態だったのだ。
あらゆるパターンを瞬時に考えられる明晰な頭脳を、持っていたとしても。
だからコレも、予想の範疇にはなかったのだ。
「君が、好きだよ」
彼が、スザクが。自分の全てを狂わせていく。
「ぁ…あ、は…ぁん…」
もう何度中に白液が出されたかわからない。熱を持った身体はその液を受ける度に敏感になり、スザクの未だ余裕を見せる性器を甘く締め付ける。
「うっ…、ん…まだ、ヤれる？」
ルルーシュの身体の反応を感じたスザクはにたりと笑いながら、涙でぐちゃぐちゃの頬を舐め上げる。
まるで猫のようなその仕草にルルーシュはうんざりしながらも素直に身体を震わせる。
スザクはそのままちゅ、ちゅ、と優しく頬を吸い上げながら徐々に顔を降ろしていく。
「ん…っ」
そして耳の後ろにキスを落とし、舌を首筋に滑らせながら、ついに鎖骨まで辿り着く。
浮き出た鎖骨の形は美しく、スザクはそれを冷たい瞳で見つめながら強く噛んだ。
走った痛みにルルーシュは顔を顰める。
一連の、ルルーシュをさらに煽るような行為。そのせいでぐずぐずの後腔は少しずつ緩み始め、入れられたままのスザクを受け入れようと胎動させる。
ルルーシュ自身は既に疲労し、スザクとの終焉の見えない情交を半ば朦朧としながら行っていた。
止めろ、という言葉ももう出そうにない。先ほどまでの情交で喉がやられてしまっていた。
身体が快楽に跳ねるたびに、ギシギシと頭上に戒められた腕を縛った縄が鳴る。
縛られた腕は当初痛かったが、その感覚ももう既にない。
僅かにぬるりと温かい血が垂れる感触があるだけだった。
「ルルーシュ…」
「スザク…」
互いの名を呼んでもその部屋には甘い雰囲気など流れない。
スザクの声はさらに欲情に掠れ、低い。 ルルーシュの声は激しすぎる情事の結果で掠れ、痛々しい。
「いやらしい眺め。ココはもうさすがに元気ないみたいだけど」
そう言ってスザクは既に憔悴しきって元気のないルルーシュの性器に指先で触れる。
純粋な性器への刺激にびくっと一瞬ルルーシュは身体を震わせたが、その紫の瞳に欲情の色はみせなかった。
欲情すると少し色が濃くなるその宝石のような瞳は今や暗く影を落とし、充血してしまっている。
「ス…ざ…」
朦朧とする意識の中、ルルーシュは掠れた声で必死にスザクの名を呼ぼうとした。
目の前に居て、今身体を繋げているスザクを。
スザクはわかりやすい男だった。
自分より体力は優れている、ということは認めていたがそれ以外に関しては見下しているも同然だった。
考えが餓鬼っぽくて、荒くて、わかりやすい。
他愛も無いことで喧嘩して、殴り合って。
七年後のスザクは変わっていた。
…知りたい。それは、恋心？
それとも、不安？
「あは…ぁ、ああ、や…ぁっ…」
足を限界まで広げられ、少し広がる後腔に一気に性器を突き立てられ、出し入れされる。
挿入されるときは全身に圧迫感と共に快楽が押し込まれ、出されるときは臓物の全てを抜き去られてしまう
かのような壮絶な喪失感を感じる。
だんだんと早くなるアッチェランドのリズムで、スザクは腰を打ち付ける。
ルルーシュはまるでスザクの楽器のように甘い声を上げ続けた。
「もっと啼いてよ。ルル。僕…の、俺の、綺麗なルルーシュ…」
律動を止めないままにスザクはルルーシュの耳元に囁くように言う。
声色は陶酔しきっていて、ルルーシュはまた恐怖からくる寒気を感じる。
身体は熱に浮かされて酷く熱いのに。
「ひ…ぁ…あ…ん」
ああ、スザクだ、とルルーシュは心を震わせる。スザクは時々、情交の最中一人称が「俺」に変化する時がある。行為に没頭し続けている時だ。
その恐怖心は、変わってしまったスザクへ抱く、どうしようもない不安。
「気持ちがいいよ、ルルーシュ。ほら、しっかりして。…中に出すから」
そう言ってスザクは律動を強く、早めた。スザクは終焉へ向かおうとしている。
その欲望を、ルルーシュの中へ吐き出すため。
「ちゃんと、全部飲んでよね」
そう言うとスザクは性器を勢いをつけて昂ぶった性器を最奥に捻じ込む。
ルルーシュは甲高く声を上げ、腕を拘束されたまま背をのけ反らし、スザクの熱を受け止める。
ごぼごぼと、卑猥な水音を響かせながら、ルルーシュの腸内に精液は注ぎ込まれていく。
「あ…！ あっ…あ、…は…ぁ…」
ルルーシュは己の性器からほんのすこしだけ精液を垂らしただけで絶頂を終えた。
そしてそのまま限界だった身体は意識を混沌へ落としていく。
それこそルルーシュの終焉だった。
瞼が意識に反し、自然に落ちていく。
「…相変わらず体力が無いなぁ」
吐き捨てられるように言われたその言葉を聞いたのを最後に、ルルーシュは意識を飛ばした。
瞳から一筋の涙を零しながら。
スザクはルルーシュを殺す理由がある。
己の大儀のため、ブリタニアのため、スザクはゼロを殺す。
七年前のスザクは、スザク？
ルルーシュを抱くのは、スザク？
スザクがわからない。
意識を飛ばし、力が抜け切ったルルーシュの腕を漸く解放し、スザクは無表情で二の腕に滴る血をゆっくりと舐め取った。
>>9966リク「鬼畜スザク」でした。極楽人様ありがとうございました。
07.3.13 踏桜
07.7.7 加筆修正
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