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久々知くんに教わりたいな、いろんなこと




僕の先輩は、火薬委員会委員長代理の五年生で、歳は僕よりもひとつ下の男の子

でも、真面目で冷静で僕なんかよりもずっとしっかり者で、そんな彼に尊敬の眼差しを向けていた

僕は、町の元髪結師で、最近この忍術学園に四年生として編入してきた。だから、五年生の同じ委員会の彼は僕の先輩なんだ

まだ、忍術学園の生活に慣れない僕は、忍術の授業も勉強も、委員会のことも、学園のこともわからないことだらけで、何だか一人浮いている気分だった

四年生に編入したのだって、六年生と同じ年齢だからであって、本当は一年生よりも忍術は下手だし知識もない

だから、低学年に混ざって基礎的な忍術の授業を受けている

そのためか、同学年の同級生と話をする機会は少ないし、仲良くなるにはまだまだ時間がかかる
同級生といっても二つも歳が違うし、彼らも編入生で年上な僕に距離を置いているような気がした

そんな、疎外感を抱いていた矢先、一年は組の授業を終え、四年長屋に戻ろうとした時、一年は組の教科担当の土井先生に声を掛けられた


「タカ丸、ちょっといいか」

「はい、何ですか?」


何だろう、授業中、ちょっとだけ上の空だったことを注意されるのだろうか、それとも…


「委員会は決めたか?」

「いいえ、まだです。委員会といってもたくさんあって…」

「それなら、火薬委員会に入らないか?」


僕は二つ返事で答えた。特別、入りたい委員会というのもなかったし、火薬委員会は人手不足らしいと聞いて、それならと思った

それに、土井先生が顧問で一年は組の伊助くんも一緒と聞いて安心したのもあった。

そして、そのまま、火薬倉庫に連れられた


「兵助、新しい火薬委員を連れてきたぞ。いろいろ教えてやってくれ」


火薬倉庫には、薄暗い火薬庫に溶け込むような漆黒の長い髪が綺麗な男の子が立っていた


「四年は組の斎藤タカ丸です。よ、よろしくお願いします!」


ぺこりと頭を下げた。頭を上げるのが少し怖い。ちらりと見えた紺色の制服は五年生だったけ…


「あ…、五年い組の火薬委員会委員長代理をしています、久々知兵助です。こちらこそ、よろしく」


やっぱり、五年生なんだ、代理ってことは六年生はいないんだと少しがっかりした。同い年の六年生の方が気楽だと思ったんだ


「じゃあ、兵助、あとは頼んだぞ」

「わかりました」


えっ、土井先生いなくなっちゃうの?初対面の彼と二人っきりになってしまい、緊張と不安が一気に押し寄せた

しかし、久々知くんは、僕と距離を取ることなく丁寧に火薬委員会の仕事を教えてくれた

後に、僕が一つ上の編入生だとはわからなかったようで、五年生の中でその事実を知らなかったのは久々知くんくらいだったらしい

彼は周囲に無頓着で、どうして今時期に新しい委員が入ったのだろうとそれくらいの疑問しか抱かなかったようだ

他の火薬委員のみんなも久々知くんのあまりの無頓着に驚いていた。でも、僕はそんな無頓着くらいの久々知くんが嬉しかった

他の同級生や上級生、低学年生は、ちょっと変わった編入生という見方で僕を意識していて、そんな環境が居心地を悪くしていた

けれど、ここ(火薬委員会)は居心地が良い。暖かくて、楽しくて、僕を含め四人という少人数だからかな、団結力があってまるで家族みたいだ

委員会中にその本音をぽろりと口に出した、「久々知くんはお父さんみたいだね」って

そしたら、伊助くんが「じゃあ、タカ丸さんはお母さんみたいです」て言うから、ちょっとびっくりしちゃった

そんな、お父さんの久々知くんには、委員会以外でも勉強を教えてもらうことも度々あった。同じ火薬委員会だから、話しやすいし、頼み易い

他の上級生はよくわからないし、僕はひとり部屋で同室者がいないため、同級生にも頼みづらくって、そのことを委員会中に言ったら久々知くんから勉強を教えてくれると申し出てくれた

そんな彼の優しさに甘えて、僕は久々知くんに勉強を教えてもらった

久々知くんに勉強を教えてもらう時間も委員会と同じくらいに心地良い時間で、まるで実家にいるように落ち着いた

もしかしたら、本当に久々知くんに父さんの面影をみているのかもしれないと可笑しくなった


「何笑ってるんですか?」

「ふふ、なんでもないよ」


ちゃんと集中して下さいと怒られてしまって、僕は再び勉強に集中することにした


「久々知くん、ここは…?」


「どこですか」と久々知くんが僕の教科書を覗き込んだ時に、二人の顔が近付いた

3秒くらい目が合って、思わず僕らは体を離れた

この3秒という短い時間に、僕の脳内では、不埒な考えが浮かんでしまったと同時に心臓が飛び跳ねた

体を離れた今でも動悸がして脈打つのがわかる

どうして、こんなにどきどきするんだろう、お父さんなのに…


「えっと、どこがわからないんですか?」


再び、久々知くんが近寄って来て、木机の上の教科書に目線を戻した


「ここ」

「え、どこ…?」


僕は自身の胸に手を当てて、久々知くんを見つめた


「今、久々知くんに近付いてどきどきしちゃったんだ」

「どうしてかな…教えてくれる?」









久々知くんにわりたいな、いろんなこと









くくタカ素敵企画「上下関係」様に参加しました!


うわぁ…、何を書きたかったのかうまく表現できず残念な出来になってしまいましたorz

とりあえず、くくタカは夫婦!そして、勉強以外のことを教えてもらっちゃいなよ!っていう内容でした




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