ぽっかぽか
くくタカ←綾
「助けて兵助君!」
「わっ、何だよ!?いきなり」
斎藤は俺を見つけるなり後ろから走って飛び付いてきたものだから、転びそうになってしまった。
ま、まさか綾部になんかされたんじゃないだろうな?しかし斎藤は首を横に振る
じゃあ、何なんだ?
「うぅ…」
「どうしたんだ?斎藤?」
「寒い…」
「は?」
「寒いの!温めてよ、兵助君!」
「こ、こんな所でそういう台詞を言うなっ!」
「そ、そんなぁ。兵助君冷たい。寒くて死んぢゃうよぉ」
「そうだな。寒さくらい堪えられないんじゃ死んでしまうな」
「うわぁん。兵助君は僕が死んでも良いんだぁ」
やれやれ。こんなにへなちょこだったとは…またそれが可愛いのだけど。けれど、ここで甘やかしては、本当に忍びになった時にコイツは生き残れるのだろうか?そもそも忍になれるのか不安だらけだ。
「タカ丸さんは私が死なせません」
ん?なんだかタカ丸が急に重くなったと思ったら聞き慣れた(慣れたくはないのだが)声が聞こえた
「タカ丸さんは私が温めて差し上げましょう」
「うえ?本当、綾ちゃん?」
「ええ」
綾部は怖いくらいに満面な笑みを湛えていた。その微笑みの裏側には綾部の思惑が目に見えるというのに、斎藤は微塵もわかっていない。きっと綾部を救世主にでも思ってるに違いない。
「綾部、斎藤から離れろ」
「離れません。離れたらタカ丸さんが死んでしまいますから」
お前まで言うか。
「兎に角、斎藤も綾部から離れろ」
「え〜、二人に挟まれてすごく暖かいのに」
「いいから!」
「だったら、久々知先輩が離れたらいかがですか?」
「何だと?」
綾部をキっと睨みつけるが効果なし。綾部は白々と斎藤の背中にぴたっとくっついて離れない
ていうか、さっきよりも重くなってきてないか?
「う…重い」
そして、俺はこの重さに堪えられなくなって、ドサァっと将棋倒しになって俺達は地面に雪崩込んだ。
「お前達、何やら楽しそうな事をしてるじゃないか?」
この声は…と思い、何とか後ろを見上げた。作法委員長の立花先輩が綾部の上に胡座をかいて見下ろしているではないか。道理で思い訳だ。
「立花先輩、降りてもらえますか?」
「おお、悪いな」
全然悪びれている様子がないのだが、立花先輩には逆らえない。学園でも恐れられているS法委員の委員長だからな。障らぬ神に祟りなしだ。
「てか、綾部も好い加減退けろ!」
「綾部遊んでないで委員会に行くぞ」
今回は立花先輩に助けられた。先輩は委員会に綾部を呼びに来たのだろうけど、もっと普通に呼び戻して欲しいものだ。
「タカ丸さん、また寒くなったら私のところに来て下さい。添い寝してさしあげます。」
「う、うん?ありがとう」
この野郎、さりげなく誘ってやがるし、斎藤はわかってないし…
「はぁ…」
「あ、ごめんね!兵助君!重かったよね?」
「あ?ああ、斎藤くらいどうってことない」
「そ、そう?ごめんね、我が儘言って。今度からは綾ちゃんに…わぁっ」
俺は思わず斎藤を正面から抱き締めた。
「綾部のところには行くな、絶対にだ。俺が添い寝だろうが何だろうが、お前を暖めてやるから」
「う、うんっ!兵助君、大好きだよ!」
兵助君と居るだけで温かくなっちゃった
心も身体も
ぽっかぽか
〆
げろ甘になってしまった(^p^)
←→
無料HPエムペ!