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小咄
非日常と日常の間*
阿部君の所に行く日は決まっている。
毎週金曜日の6時
自宅とは正反対の彼の家
音のない静かな部屋
小さいソファーに二人
彼が淹れた香りのよいコーヒー

好きか?と聞かれたら、うんと答える。
そんな俺に阿部君は安堵の表情を浮かべるのだ。



君は変わらないな。
心の中だけで呟いた。



高校を卒業して何年たったか。もう、両手では足りない月日が過ぎてしまった。
時の流れは様々なものを変える。状況も、環境も、関係も、そして人も。

あの頃の、純粋なままの自分であればよかった。
そしたら、彼にこんな想いはさせずに済んだろう。





俺は、ズルイ







どんなことになっても、阿部君が好きだ。
あの時の言葉は嘘ではなかった。
好きなのだ。好きだから離したくない。
そうやって、彼に鎖をつけた。決して俺から逃げられぬように。誰にも取られぬように。

どんなに彼を傷つけても。













二階からドタドタという元気の良い気配
台所からおいしそうな夕飯のにおい
大きいソファーに一人
奥さんの淹れた香りの良いコーヒー


あぁこれ阿部君の所のと同じにおいだな。

俺はそんなことを思った。

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あきゅろす。
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