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小咄
真実はベッドの中で*
15禁です。一応。
純粋な二人が見たいかたはお引きとりください。
ある方が大層かわいそうなことになっています。
それでも いいってかたはどうぞ。




「もし、お前に俺と寝てって言ったらどうする?」
そんな俺の言葉に、三橋は大層楽しげにいいよっと答えた。


それが、俺と三橋の関係の始まりだった。
正直なところ、特別三橋が好きだったわけではない。
なんというか。
只の興味本位。そして奴への嫌がらせ。

三橋はそんな俺をどう思っていたか知らないが、好きではなかった。


これだけは宣言できる。



遊びに誘うように家に呼び、遊ぶように寝る。
これが俺達の関係だった。

それが壊れたのは、寒い、寒い冬の日の朝。


セックスのあとのピロートークっというには、あまりにも甘みを帯びない世間話の後に、三橋はのそのそと衣類を身につけると今日で終わりっと一言を残して部屋を出て行こうとした。

いきなりの事に、いつもは帰っていく三橋の方など見向きもしないのだが、その時ばかりはドアの前で引きとめてしまった。


「放して、   」
「なんなんだよ、さっきの。今日で終わりって」
「そのまんま、だよ。今日で…この遊びは終わり。」
「んなの納得できねぇよ!」

掴んでいた腕に、無意識に力を込めてしまった。





「やめてよ、泉くん。」


その声は、三橋から想像できないような冷たい声だった。



「痕に、なったら。阿部くんに、バレちゃうで…しょ?」
表情は楽しげな笑顔だったが、声はとても冷たかった。
冬の外のすべてを包むような冷たさとは逆の、
突き放すような冷たさ。


とっさに俺は腕を放した。
「ごめん。」
小さいつぶやきは、今までの行為へか、腕をつかんだ事へか、自分でも理解できなかった。


三橋はそんな俺の言葉など聞こえていないように、じゃあね。
っとにこやかに部屋を出て行った。

行先はわかっている。
阿部のところ。

三橋は言ったことないが、知っていた。
自分と寝たあと、決まって阿部のところに行くことを。
そして、俺と阿部を比べて、
阿部くん、好き

っと奴の腕の中でのたまっていることを。

俺は知っていた。



誰から聞いたかなんて、わかりきっている。



阿部から。

阿部から聞くのだ。





阿部を愛して、俺と寝る
そして、阿部の愛を確認する三橋。

三橋を愛し、俺と寝ている事を知りながら
自分の所へ帰って来るのに愛を確認する阿部。




俺は勘違いしていた。


三橋を利用して、阿部を傷つけ、自分が優位に立っていると思っていた。
しかし、逆だったのだ。
使われていたのは、俺。







これで、三橋を失なった悲しみに、今気づいた俺は
完全にあいつらに遊ばれて捨てられた
かわいそうなおもちゃだ。



















阿部は三橋の髪を梳きながら楽しそうに三橋の話を聞いていた。
「今回、は。楽しかった?阿部くん?」
阿部の上に横たわり、胸に頭を預けていた三橋が阿部の顔を向いた。

「まぁまぁかな。でも、お前は楽しそうだったな。」
すこし、意地悪く言う阿部に、三橋は大層不満げに眉をひそめた。
「そんなに、楽しくなかった、よ。」
そいって、阿部を感じるように、胸にすり寄った。
三橋の髪ってさらさらで気持ちいと阿部は思う。
そして、同時に、こいつは俺のものだとも。

「何?やっぱり俺の方がいい?」
「阿部くん、それ、質問になってない、よ!だって」
「「答えは一つしかない」」

そして二人は笑いあい、再びベッドの中で溺れて行った。

















「次のヒトは、誰がいい?」
「そうだなぁ、榛名とか。いいんじゃね?
今度、試合の勝った祝いに遊びにいって、お前のこと紹介するよ。
あいつ、俺の恋人ですっていえば絶対ちょっかいだしてくるから。」




さぁ、次のおもちゃを、探しにいこう。



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あきゅろす。
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