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小咄
子ども+彼氏=
「ある家族の1コマ」設定




毎日毎日彼氏の所へ通う(泊まりの時もあるが)父親に
いっそ一緒に住めばいいのに。
っと言ったのは一度や二度ではない。

だが、その度に父親は奇妙な顔をするのだ。
嬉しそうな、申し訳なさそうな、残念そうな
なんとも言えない顔。

その理由を知ったのは、父親の彼氏(彼女ではない)こと三橋さんに一緒に住めばっと提案した時だった。





俺の提案に、父親と同じような顔をする彼。

父さんと一緒に住むのはいや?
っという言葉は、自然とおれの口からこぼれおちていた。

かえってきた答えは否定。
でっ出来る事…なら、一緒に住みたいよ。
小さく漏れた本音

じゃあ
っと言おうとしたところで、大きくてまあるい目にとらえられ、言葉を失ってしまった。

俺は、もう少し…
阿部くんにお父さんしてて、ほしいんだ!

その言葉に、自分が邪魔ものなのか
っという考えが頭をよぎる。

しかし、そんな俺の考えなどお見通しなように、三橋さんはクスクスと笑った。

俺、阿部くんが父親してる顔も、好きなんだ。
子どものこと考えて、悩んでる姿、かっこいいんだ…よ!



なるほど。

俺はその時、父親のあの顔の理由を理解した。

あれは

男としての、嬉しさと
父親としての、俺に対する申し訳なさ
三橋さんの彼氏としての、同居できない残念さ


それが一気にあらわれているのだ。


そんな父親がおかしくて、思わず笑った。
三橋さんもつられて笑う。



俺達がいるリビングに入ってきた父さんが、不機嫌そうな表情をした。

俺の笑いは収まらなかったが、ごめんねっと一言を父さんに贈り邪魔ものは退散した。



今日は友達の家に退散しとくのに免じて
俺が成人するまでのあと数年、我慢してね。


そう心の中で呟いて、宿泊道具をカバンに詰める作業を開始した。




おわり


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