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小咄
ある家族の一コマ
またしても変な設定!






「なぁ父さん。」
「何?」

「今日は彼氏さんの所いかねぇの?」
「ん〜…今日はあいつ、仕事何時に終わるかわかんねぇからなぁ。
帰ったって連絡があったら行くかも。」
「んだよ。家一人かと思って彼女呼ぶとこだったよ。あぶね。」
「お前彼女できたの?」
「そっ。先月告られて付き合い始めた。」
「まぁお前も高校生だもんな。
俺達も付き合い始めたのこれくらいだぜ。
高1の夏。」
「へぇ、そんなに長いんだ。もっと最近からと思ってた。
母さんと結婚してたし。」
「まっ色々あったんだよ。
今じゃ、俺も好きなやつと幸せだし、お前の母さんも好きなやつ追いかけてるし、めでたしめでたしってな。」
「ほんと、うちの家族って意味わかんねぇ。
よく俺スレなかったよ。自分をほめる。俺えらい。」
「俺の教育がよかったんだよ。」
「よく言う。自分、いっつも彼氏のところ行ってたくせに。」
「るせ。それはお前がおっきくなってからだろ?
小さいころはちゃんとお父さんしてたよ。」
「ほんとかよ…あっ、携帯光ってるぜ?」
「おっ、ホントだ。サンきゅ。」





「あ、もしもし?三橋?
仕事終わったのか?うん。うん。わかった。
じゃあ、今からそっち行くわ。」



そういって微笑む顔は、父親のそれではなく、完全な男としてのものだった。

好きな男を追いかけて、渡米した母親
一度別れた初恋の人とよりを戻し彼氏のいる父親


複雑な家族だが、親子っというより、友達っと言ったほうが良いような関係が結構好きだ。



「父さん三橋さんとこ行くの?」
「あぁ、仕事早く終わったらしいから行ってくる。
帰りは何時になるかわかんねぇから、適当に飯食ってろ。冷蔵庫に色々あるから。
あっ、彼女呼んでもいいぜ。ゴムなら俺の机の引き出しに入ってるから使え。
じゃ、行ってきます。」
「はいはぁい、行ってらっしゃい。
楽しんできてねぇ。」


親の発言とは思えない言葉を残して、俺には向けない笑顔で去っていった父親。


お言葉に甘えさせてもらおうかな。


ポケットに入っている携帯から、ワンプッシュで電話をかける。

「あっ、もしもし?阿部だけど。
今日家来ない?うん。…わかった。りょぉかい。じゃあまた後でね。」




さて、散らかってる部屋でも片付けますか。




そうやって、今日も阿部家の一日は過ぎていく。





おわり

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あきゅろす。
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