[携帯モード] [URL送信]

notting
It's Heavens will.


・神様×平凡/ギャグ









「カツラギマサヤ、享年17歳、間違いないですか?」

「・・・・・・・はい」



ああ、俺死んじゃったんだな。言われて実感する。


なんせ、いきなり強い光りが注したと思って目を開けてみれば、目の前には煌々と広がる雲・雲・雲。


呆然とした俺の前に現れたのは、今俺の死を確認した人だ。


全身白い衣装を身に纏い、さながら大天使なんとか様みたいな恰好。街であったら確実変な人だけど、違和感ないのは多分もう俺の中で世界が変わったせいだろうと思う。



「ショックですよね。」

「いや、それほど……解りません。すみません。」



実際、急激すぎてショックとかそんな事は全然湧いて来ない。よく解らなくて俺は素直にそう答えた。


目の前の人は「いいですよ。」と労る様に言ってくれて、低い心地の良い声と柔らかな雰囲気に俺は凄く安心感を覚える。その声に誘われて改めてその人を観察してみた。


大天使なんちゃら様みたいなのに、意外にもストレートの黒髪。女でも滅多にいないだろう位延ばされた髪は、決して女性的じゃなく綺麗な顔立ちを余計に際立たせている。美人だけど男らしいんだよな。それはもう、ちょっと一線越えた感じで。羨ましいとか、モテるだろうとかではなく、出るのは感嘆。あの世の人は外見からして違うんだなぁとそんな感じだ。



「これからの事ですが。」



不躾に俺が見てたのがばれたのか、少し苦笑気味にその人が切り出した。ああ、そういえば、死んだ後ってどうなるんだ?転生?まさか、こんな雲とか白い天使みたいな人出て来ててここ地獄です。お前は、血池地獄行だ〜〜!とかないよな。




「はい、俺どうなるんですか?」

「まぁ、一応ですが、教えておくと転生するとか、雲の中でのんびり暮らすとか選べるんですけどね。」



よかった、普通に天国っぽい。しかも、転生とか出来るんだそれもいいな。




「じゃあ、俺、転生したいです。」

「ああ、教えただけです。貴方に選択権はないですよ。マサヤは私の側に居て頂きますから。」




はっ?どういう事。いきなり訳の解らない事を言い出す目の前の人を見れば、凄い笑顔で笑ってる。表情は柔らかいけど、なんか雰囲気が、さっきの安心感は?って探したくなるほどだ。俺が若干その雰囲気に引いてると、それを気も止めない様子で一気に口を開いた。



「案外ショックを受けてないので驚きました。ショックを受けているのに付け込んでそのまま心も身体も慰めようかと…。ああ、それにしても長かった。下手に下界は覗くものではありませんね。いや、覗いたからこそマサヤを見つけられたんですが、貴方の寿命があと一年長かったりしたら、理性ぶち切れて迎えに行くところでしたよ。始末書は面倒臭いですし、そんなもので、せっかく手にいれたマサヤとの時間を割かれるのは堪えられませんからね。本当に日頃の行いは誰か見ているのかも知れませんね。って私が神様なんですけど。愛してます、マサヤ。」



か、神様?この人が??


いや、待て待て!それ以前にものっそいいろんな事言った。この人いろんな事言ったよ。しかも、しかも………………はぁぁ?




「俺、男………」

「もう、離しませんからね。愛してますよ、マサヤ。」





凄みが増した笑顔で囁かれた言葉に心臓が跳ねた気がしたけど、これはきっと死んだショックが時間差で来たものと信じたい。



カツラギマサヤ享年17歳。ただいま、神様の目を盗んで転生すること画策中。










◆◇◆◇
せめて抵抗できる隙を下さい。




.

[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!