notting
ハジマリ。(Days設定)
「冗談?」
「冗談。」
聞いてホッとする気持ちとどこか痛む胸は、怒りに変わった。
「ざけんな、離せ。」
すでに足も腰も限界だ。
プルプル笑う膝が、日頃の運動不足を咎めているようで泣ける。
それもこれも不自然なこの体勢のせい。
何でだよっ、ホント。
すっかり忘れてたレポート。
案の定、居残りで命じられての提出。
夕日が目に目に染みる放課後に薄情な友達は皆帰ってた。
教師に散々嫌みを言われ、うんざりしながら帰ろうとしたら、現れたのはよくつるむダチの一人。
たまった鬱憤に相手が現れたと喜んだ俺は今考えると相当馬鹿。
「忘れもん?」
「ま、な。」
笑って近づくそいつに疑いもなく笑いかけて、机がずれる音に気が付いた時には、俺の視線は見事に反転していた。
両手をあっさりと一つにまとめられ、不自然に寄せられた机二つに縫いとめられる。
元々、体がデカイ方じゃない。とは言え、足は当然はみ出す訳で、不安定な姿勢にちょっと焦る。
「なに考えてんの?お前。」
押しても引いてもずらしても、変わらない体制に諦めて、とりあえず元凶を睨みつけて、・・・・・・・で、冒頭に戻る。
いや、冗談にもほとがあんだろ。
第一、笑えねぇし。
「ん〜、お前がバカだから悪いんじゃね?」
そんな表情を察したのか、察してないのか、こいつの言葉は見事に俺の緊張感も苛つきも無視したもの。
口調さえ、言葉通り。
逆に普段から少しユルめの口調が更にユルまってる気さえする。
なんか逆に怖ぇし。
「訳わかんねぇよ。」
あっ、ちょっと声震えたし、俺、格好わるっ。
対象的に目の前には一層深く喜色を称えた笑み。
「神様に任せたんだよね。お前がさっさと帰ってたら、諦める。まだ居たら、ヤる。神様とか、俺、案外乙女?」
「はっ?俺、そんな嫌われてんの?」
ちょっと俺、ショック。話もノリも合うと思ってたやつにボコられんのか・・・・・
「好きすぎて困るけど?」
「だって殺るんだろ?」
「だから犯るんだけど?」
「ヤる・・ヤる・・・・・っっ犯る?セックス的な?」
「うん、そーね、やろー。」
「た、勃つのかよ?」
「えっ、そこ?むしろ、もうお前じゃなきゃ無理的な」
「・・・・・・・で、俺、いつ突っ込みゃいいのよ?」
「いや、突っ込むのは俺っしょ。」
「冗談なんだろ?」
「冗談、って言葉に冗談って返したんだけど、だって本気だし?・・・・・・・それより」
「な、なんだよ?」
「拒ばないの?気持ち悪くね?おんなじもんついてるヤローに迫られて。」
「そう言えばっ!!」
「お前、ホント天然ちゃんだよね。可愛いわ〜」
いきなり引き寄せられたと思ったら、もの凄い力で抱き寄せられた。
「俺、天然じゃねぇしっ!」
混乱した頭から出た突っ込みは情けないもんで。
「硬い、でもそそるわー、エロいわー、お前」と耳元に響く興奮したような声は華麗にスルーした、・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・つもりだったんだけど、な。
◆◇◆◇◆◇
逆に些細な抵抗をスルーされたなんて、口が割けても言えない。
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