時期的、憂鬱 長いようで僕たちが今まで生きている時間は短い。 この先僕たちはどう歩むんだろうね。 どうなるんだろうね。 電話越しに聞こえる声は軽く笑いを含む。 「岬?」 呼びかけてみると、ああ、ごめん、ちょっとね。とか返ってくる声。 「なにかあったのか?」 「たいしたことじゃないんだ。」 「うん」 「ただ、今日先輩が一人今シーズン限りで引退っていっててね、朝。」 「・・・・・・・ああ。」 そんな時期かと思う。 季節は11月。日本ならリーグ終盤。 移り変わりの激しい世界で、この時期珍しくはない話。 「それまでとても悩んでいたんだよ。でも今日すっきりした顔でね。」 「・・・・ああ。」 「すごく輝いてたよ。」 「・・・・・そうか。」 「知ってた?案外、若いんだ、僕たち。」 「だろうな。」 「僕は・・・・・」 そう途切れた声は、多分言わせてはいけない、聞いてはいけないものだと、突然名前だけを呼んだ。 ただそれしか思い浮かばなかった。 「岬。」 「何?」 「引退に花添えてやれ。」 「あはは、出来るかぎりそうするよ。」 どうなるのか解らないなんて言うな、なんて言えない。 あんまりにも不確かな関係を築いたのはお互いで。 でも少しだけ、電話越しでしか確かめられない距離に後悔した。 だから、帰ったら出来るだけ一緒にいよう。 そう、俺たちは案外若い。 時間はある。 共有する時間も、埋める時間も。 end はい、記念用sssのつもりだったんですが。小さくまとまっちゃいました。改めてアンゴラは日本語が不自由です。 [*前へ][次へ#] [戻る] |