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なかよしこよし
家庭用のカラオケっておもしろいのかよくわからない
「カラオケパーティでもするか」

不意に高杉さんが口を開く。突拍子もないことを言い出すのはいつものことだけど、その割には普通の内容……だと思う。ひどいときはカラオケではなく仮装とか言い出すし。
でもなんでカラオケ?三味線をボンボンと弾いてることは知ってるけど歌うの?……何を?
っていうか三味線を聞いてる限りじゃ歌声に期待できないんだけど。チューリップ一つ弾けてなかったし。いや三味線でチューリップって時点でなんか違うんだけど。

「……カラオケの器具なんてありました?」

これも謎。これまで一度もマイク一つすら見たことがない。もしかしてアカペラ?それか伴奏・高杉晋助?
………。
いやいやいやいやナイって。これはアレ、ウン大丈夫だって。これはナイ。

「あったんだよ。何故かな」

まぁ大丈夫だったらしい。
なんかデジャヴを感じるような台詞だったけど気にしない。なんかこれから裏切りそうな台詞だったけど気にしない。
高杉さんがぱちんと指を鳴らすと、他の人達がカラオケを持ってきた。いつ打ち合わせしたんだろう。

「じゃあ歌いたい奴、前に出ろ」

………誰も動かなかった。
もともと私は歌を歌うのはそれほど好きではないし、河上さんだって歌う側じゃない。
武市さんとまた子は歌うかなと思ったけど、二人とも動く気配はなかった。
他の人達は多分遠慮してるんだと思う。
ノリが悪ィ、なんて舌打ちする高杉さんがマイクを持った。どうやらリサイタルでもする気らしい。

「じゃあ歌うぞ。金太の大冒け」
「「「「させるかァァァァァァ!!!!」」」」

あ、被った。
なんとなく予想はできてたさ!高杉さんは最近すぐ下ネタに走るから!!
おもいっきり不満な顔だったが何がなんでも歌わせないとしてるのが分かったのか素直に引いた。

「チッ。次、吉田しょう――」
「「「「だからやめろォォォォォォ!!!!」」」」

金太の大冒険の次は吉田松陰物語か!
二話連続下ネタ連発ってネタ切れみたいになってるじゃんか!
いや、全て悪いのは高杉さんなんだけど。

「何で邪魔すんだ。俺の十八番」
「十八番!?あなた普段何歌ってんですか!!」
「吉田松陽物語に決まってんだろォ」
「まさかの恩師!?」
「ちなみに作曲は万斉だ」

さっと河上さんを見ればおもいっきり目を反らされた。荷担したな、あの人。

「……とにかくこれ以上つ○イノリオさんの曲や、それに類する曲を歌おうとするならカラオケパーティは中止です!!」
「えー」
「えー、じゃないですよ!っていうかなんでまた子が言うんですか!さては何気に楽しんでますねあなた!!とにかく駄目です」
「……じゃあ一つだけ言わせろ」

何を企んでいるのかわからない。
ただ一言言えばやめるってことなら言わせた方が後は楽。多分。
しかも歌うとは言ってない。“言う”と言った。
渋々頷けば高杉さんはマイクを構えた。

「鬼兵隊は………明日、江戸に向かう」

…………。
…………………。

「「「空気読めェェェェェ!!!」」」



っていうか、その話こないだの会議で話し合ったことなんだけど……また独断かこの人は。

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あきゅろす。
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