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なかよしこよし
花言葉とか意識しても案外気付かれない
晋助様、晋助様、と高杉さんの名前を呼びながら追い掛けるまた子を見てふと思い出す。
……そういえば、今日誕生日だっけ?
そのことを側にいた河上さんに尋ねてみる。

「……そうでござるな」
「やっぱりですか……」

どうしよう、何も用意してない。
また子の欲しい物ってなんだろう。服?銃?……高杉さん?
でも正直に言おう。お金がない。高杉さんが無駄遣いするから鬼兵隊は常に貧乏だ。
祝いたいけど、金がない。中途半端な物を送られるのってある意味苦痛だと思う。うれしいけどどんな反応すればいいのか迷う、とか。

誕生日に消臭剤もらったときの自分はまさしくそれだった。
え、誕生日覚えててくれたんだ。うれしいな。でもなんで消臭剤?ねぇなんで?別に言うほど悪臭に困らされてるわけでもない。なんで消臭剤!?なんでェェェェェ!?っていうかもしかして嫌がらせェェェェェェェ!?
……というような感想を抱いたのは未だに覚えている。
消臭剤はあくまで例だけども。そんな物送る気はないけど。
どうしよう。
再び河上さんに尋ねてみる。

「………花はどうでござるか」
「花、ですか?」

安い花なら買えるだろうか。誕生日プレゼントを考えるときまず真っ先に金の心配をするのは自分でもどうかと思うけど。
うん、ぎりぎり買える、かな。少なくともたんぽぽを寄せ集めただけとかにはならないはず。たんぽぽ生えてないけど。

河上さんはもう考えたのか、と聞けば首を横に振る。花屋へ誘うと普通に肯定の返事をした。
早速花屋へ向かう私達を見てる人がいたなんて、そのときはまだ知りえなかった。っていうか知りたくもなかった。



「「おたんじょ「ハッピーバースデー!」とうございます」」

その夜。
開始の掛け声からいきなりグダグダだったけども、とりあえず規模は小さめ(費用削減のため)の誕生日会が開かれた。
折角だから、と河上さんが高杉さんの手でまた子に花を渡す、ということを提案して、頼んでみれば案外すんなりと高杉さんは許可をくれた。高杉さんに花(小さい花束くらいにはなってよかったと思う)を渡せば早速また子さんにそれを渡してくる。あ、また子顔ものすごく緩んでる。
まぁ、嬉しそうにしてるしよかったよかった、なんて酒を飲んでるまた子を見ながら柄にもなく思って私も酒を一気に飲んだのだった。
……酔った。





「そういえば梓、おめー万斉と付き合ってんのか?」
「付き合ってませんよー?まぁ鬼兵隊の中では一番頼れそうな人とは思ってますけどねー」
「ほォ」

こんな会話を高杉さんと交したことは酔っ払っていたせいか次の日にはすっかり忘れてしまっていた。

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