頂き物
3
「…ヒナ、さっきから思ってたけど……なんか匂い違うな、」
「……え、に、匂い?」
浩也が日向の肩に顔を埋める。
ドキドキしながらも、なにか変な匂いがするのかと焦る日向。
「……なんか、服…」
「あ、あ……これ、新品だから、」
おろしたてのカットソー。
柔らかい布地を撫でられると、少しくすぐったい。
「……可愛いな、似合ってる」
「………、あ、よ、良かった…」
「…ごめんな、行けなくて……」
「え、い、いいって…あの、もう謝らないで、」
優しいな、ヒナは…と目を細める浩也。
「本当、良く似合ってる…ヒナは優しい色が似合うな、本当可愛い、」
「……こ、浩也くん、なんか…褒めすぎだよ、」
服…ではなく、日向の顔を見つめながらつぶやく浩也に、日向が困ったように顔を赤くする。
何も言わずに日向の髪を撫で続けていると、膝の上に座る日向が顔をあげる。
目が合うと優しく微笑まれて、思わず暖かい気持ちになってしまうのだけど……
「……ヒナ、どした?」
「あの…、もう、重いから…降りないと……」
内心降りたいとは思っていないけれど、申し訳無さそうにつぶやく日向。
そんな日向を見つめて、浩也は優しい動作で目を細めた。
「重くないよ、ヒナは……、」
「…え、…ぁ……」
「……腕だって…、こんなに細いし…」
するするとカットソーの上から撫でられると、くすぐったくて、
…じわりと熱が生まれる気がした。
「……っ、こ、浩也くん、」
「…身体も、足も……」
じっと見られながら、確かめるように身体をなぞられる。
服の上からでも、直接、骨までだって触られてるみたいで……
…くすぐったいを通り越しそうになって、太ももを撫でる浩也の手を慌てて掴んだ。
「……も、もう…あ、足痺れちゃうから、駄目だよ、」
「………分かった、」
微笑んだ浩也が、まつ毛をふるわせながら訴える日向を抱き上げる。
今度は横に抱き上げられて…お姫様抱っこというやつで運ばれて……
何度も夜を明かしたシーツの上に降ろされると、されるがままになっている日向が不安気に浩也を見つめた。
「ヒナがして欲しい事がしたい、」
………それは、命令?
自分がお願いしてるのかされているのか、分からなくなる。
して欲しいこと……
浩也が望んでいることも分かる、
そしてそれを自分が望んでいることも、ちゃんと、わかっている。
「……浩也くんが、したい事がいい、です……、」
「………ヒナ、それじゃあヒナのしたい事じゃないだろ?」
「……でも、僕はそれがいいから…、浩也君と同じがいいから……」
一生懸命伝えると、浩也がため息のようなものを吐く。
上手く言えなかったのかと慌てようとすると、いきなり浩也に抱きしめられてしまった。
「……こ、浩也く、」
「ヒナはずるいな、」
「え、ずる…?」
「可愛いすぎだ。」
ぽつりと嘆きながら覆いかぶさる浩也に、日向は固まって、ゆっくりとベッドに体を預けた。
「ヒナ…この後は?」
「……ぇ、え、」
「ヒナがお願いして、」
優しく頬を撫でられて、優しい声が身体に響く。
「っ、えっと…続けて欲し…」
「…服の上から?」
「……ぁ…ちょ、直接……」
頬を赤く染めて、ぎゅ、とシーツを握る日向の腕を、平らな胸を、浩也の手の平が滑っていく。
新品のカットソーの中にもぐる手を、伏せた目で追っている日向。
ちらちらと動く細かな睫毛に、浩也が口づけた。
「ヒナ、可愛い、」
「……可愛くな、ぁっ…、浩也くん、」
「ん?ヒナの好きなとこ、」
浩也の指先が、胸の突起を弄りはじめた。
撫でるというよりは強く、ねぶるようにゆっくりと動く指先に日向の息があがる。
「……、ん、ふ…っ、」
「…ヒナ、次は?」
いつもと違う、自分の指示を待って行動する浩也に戸惑う日向。
自分の口から言うのは恥ずかしいけれど、お願いして欲しいという浩也の期待には答えたくて、
どちらが命令されているのか分からないまま日向が口を開く、
「……も、もっと…」
「…もっと?」
「………直接、して下さぃ、」
恥ずかしさに目を背ける日向に、浩也が楽しそうに白い布地を捲った。
胸の上まで捲りあげられて、すぐに浩也の唇と指が、薄い胸の上を這っていく。
ちゅ、とわざと音をたてられて乳首をしつこく舐められると、熱い舌に痺れそうになって思わず浩也の頭を抱きしめる日向。
「んっ……はぅ、こ、や、くん、」
「…もっと?」
「……ぁ、も、もう…、」
もじもじと動く太ももに気付いている浩也、
意地悪く笑って、開発されつくした日向の身体を更に蝕んでいく。
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