過去拍手
醒夏 番外G
「疑って、悪かったから、もうっ……」
「ダーメ。貴司が安心出来るまで、止めてあげない」
『止めてくれ』との懇願は、聖一によって一蹴された。
この行為の何処に安心出来る要素があるのかと、悪態を吐きたくなるが、再度襲った快感に……無意識の内に腰を浮かせて貴司は僅かに後ずさる。
「い…あっ…も、止めっ!」
容赦無い彼の指の動きに貴司は思わず手を動かすが、聖一の腕を掴むのだけはしちゃいけないと思い直して、ギュッと空気を握り締めた。
「こっちも欲しそうだね」
「ひっ!」
アナルをトンッ……と指で突かれて、体がビクリと跳ね上がる。
「どうせなら……さっき貴司が見てたアレ、使ってあげよっか?」
棚を指差した聖一が意地悪な笑みをニヤリと浮かべ、ぼんやりとそれを目で追って……貴司は体を震わせた。
「それは……やだ」
棚の上、卑猥な玩具が並べられている販売機は、初めて見たから驚いただけで欲しいなんて思ってない。
玩具自体、使われた事はほとんど無いが、無機質なそれに高められるのはハッキリ言って好きじゃ無かった。
「どれがいい?」
そんな貴司の気持ちなんて、知らぬ素振りで問い掛けて来る聖一が恨めしい。
「それだけは……ヤだ。セイ以外……容れたく無い」
精神的に切羽詰まって直裁な言葉になってしまったが、そんな自分に気付く余裕は今の貴司にはまるで無くて……。
「……ったく、そんな可愛いコト言って……どうなっても知らないよ」
「あっ…あぁっ!」
途端……太股辺りをガシリと掴まれ仰向けに倒されて、衝撃に喘ぐ貴司の上に聖一が覆い被さった。
「此処、自分で持ってて」
「え?……な、できな……」
今の貴司は二つに体を折り曲げられた体勢で、これで腿(もも)を掴んだら……自ら彼に股間を晒すような形になってしまう。
「オモチャはヤなんでしょ?」
「……っ」
額にチュッとキスを落としてそう告げて来る聖一に、最終的に逆らえないのは悔しいけど……自分が一番分かっている。
それに、玩具とこれとの二択であれば、従う他に道は無いように思われた。
「……わかった」
「離しちゃダメだよ」
「んっ……やっ、やめっ!!」
言われるがままに自分の腿を持った瞬間、今度は尻を鷲掴かみにされそこを上へと引き上げられ……流石に貴司は身をよじる。
「セ、セイ!なっ……」
「手ぇ離したら、縛るよ」
「止めっ、あっ……あぅっ」
所謂……まんぐり返しの体勢に、貴司は身体を真っ赤に染めて止めるようにと訴えるが、言葉の途中で尻をギュッと左右に強く引っ張られ、アナルが空気に触れる感覚に身を震わせて目を見開いた。
「ヒクヒクしてる」
声と共に、ザラリと濡れた物が這う。
「やっ…それ、ひっ…あぁっ!!」
それが何か分からない程鈍くない。
アナルの縁を舌が這い、ツプリと中に入る感触に、貴司の口から艶を帯びた喘ぎが遂に漏れ出した。
「いっ…やめっ」
いつもは指に唾液を絡めるかローションが殆どで……時々舐める時もあるが、こんな体勢は取らされない。
「あ、あぁっ……ん」
視界に映り込んで来るのは、戒められても勃ち上がっているはしたない自分のペニスと、舌でアナルを弄びながらこちらを見詰める茶色の瞳。
「……セイっ、ねが……や、ひ……んぅっ」
視線にまで感じた貴司の思考は途切れ途切れになり……苦しい体位なのにも関わらず、舌を深く差し込まれる内に拙く腰が揺れ出した。
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―――反則だよ。
力の篭らぬ両手で必死に自らの脚をギュッと掴み、快感に喘ぐ恋人に……アナルに唾液を送り込みながら聖一は胸で舌打ちをする。
本当はもっと時間をかけて、伝えたいと思ってたのに……こんな健気な姿を見たら、余裕なんて持ち続けられる筈も無い。
「も、ねがっ……」
「いいよ、挿れてあげる」
「……ちがっ…あふぅっ!」
止めてくれと言いたいのは分かっていたが、あえて無視して指を二本濡れたアナルに突き立てる。
ズブリと中をえぐるように、奥まで一気に差し込んでやると「ひっ!」と息を詰めた貴司が無意識だろう……手を離し、こちらにそれを伸ばして来た。
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