過去拍手
醒夏 番外F
「貴司の事になると、分からない事だらけだ」
「え?」
「まあ、放すつもりは無いけど……ね」
「そんな、俺……」
聖一は、いつも全てを見通していると思っていた。
気持ちが通じ合った後は大抵二人で過ごしていたし、何度も体を繋げて来たから、今日になるまで貴司自身は聖一の事が分からないなどと考えた事すらない。
「さっき……貴司が嫉妬してるのかもって思ったら、凄く嬉しくなっちゃった」
「それは、いつも二人だったから……」
互いしか見ていなかったから、知らない事に気付かなかっただけなのだ……と、今日初めて気が付いた。
「そうだよね。俺しか見えなくなれば良いって思ってたけど……」
「……んぁっ!」
「もうこんなにしてるのに、イくの我慢したのが妬いたからっていうの……たまんないよね」
ペニスをツッと指でなぞられ貴司の体がビクリと跳ねる。
昂ったそこは我慢した事で更に敏感になっていて……あと少し強い刺激があれば、簡単に爆ぜてしまう位に張り詰め小さく震えていた。
「セイ……俺……」
「イキたい?でもダメだよ。俺を疑ったお仕置き……ちゃんと受けなきゃ。それに、誤解も解けて無いみたいだし」
「なっ…や、セイっ」
傍らからネクタイを取った聖一が、こともあろうかそれをペニスの根元に縛り付けて来て……止めさせようと動かした腕はピシャリと跳ね退けられてしまう。
「動かないで、手は縛られたく無いでしょ」
「でもこんな……んぅっ」
ギュッと締め付ける感覚に、出かけた言葉は喉で詰まった。
本当はすぐに取りたいけれど、腕まで自由を失ったら……彼を抱きしめられなくなる。
それに、聖一がこれを望むのならば、受け入れたいと何時ものように思ってしまう自分もいて……。
「貴司好きだよね。出さないで、何度もイクの」
「好きじゃ……ないっ」
「そう?でもココ……縛られただけでパクパクしてる」
「いっ……あぁっ!」
尿道口に爪を立てられ喘ぐ貴司の細い体は、薄紅色に上気していてかなりの艶を放っている。
「ここ、好きでしょ?……もっと可愛がってあげる」
はだけたワイシャツ一枚と靴下だけという格好で、力無く座り込む姿に煽られた聖一が……小指の先を捩込むようにグリグリ刺激を与えてやると、まるで電気が流れたように貴司の首が大きくのけ反り、体がビクビク痙攣した。
「い、やぁっ!……痛っ……止め!!」
無意識の内にペニスへ伸ばした貴司の手は、またも弾かれシーツに落ちる。
「ダメだよ貴司。今度やったらお仕置き追加するからね……ほら、どんどん出て来る」
「いっ……あぁっ」
小指の先でほじくられ、目の前が白んでチカチカ霞む。
先端から竿を伝う先走りの感触さえ、気持ちが悦いと思える自分はおかしいと思うけど……。
「止め……あぁっ!変に…なる」
「悦すぎて?」
意地悪な質問にも頷く他に道は無くて……何度か首を上下に振ると、指が一旦動きを止める。
「此処にも……ピアス開けよっか?そしたらトイレも個室に入るしかないし、貴司が就職しちゃっても、誰にもココ、見せられないよね」
「やぁっ!あぁ……あ、いく、ああぁっ!」
先端の指はそのままに、カリの部分を反対の指で掴まれ激しく扱かれて……射精感が突き抜けたけれど達する事は叶わなかった。
「あっ、あぁっ!」
ギュッとシーツを掴んだ指には白くなる程力が篭り、目尻に溜まった涙が一筋頬を伝って胸へと落ちる。
「もうソコ、弄る……な」
頭がおかしくなりそうだ。
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