過去拍手
醒夏 番外D
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「俺も……けど、痛いのは……嫌だ」
確かに自分も昂ぶっているとようやく貴司は認めるが……いきなり中に入るのだけは止めて欲しいと、途切れ途切れに言葉を繋いで言い募る。
ピアスの事もそうだったけど、懸命に……受け入れようとしているのが伝わって、きっと今も自分がごねれば痛みに耐えてくれるだろうと、分かっているから尚更貴司が愛おしくて堪らない。
「入りたい、あんまり痛くしないから……ね?」
「ああっ」
片手を伸ばして左のピアスを指に掛けて軽く引くと、触れている尿道口がヒクリヒクリと開閉した。
痛いのは嫌だといつも口にしてはいるけれど、貴司の体は刺激する程に感度を増して淫らになる。
「いいよね」
念を押すように尋ねながら、ペニスを強めに扱いてやると、
「痛くない…なら……」
と望んだ答えが貴司の口から零れ出る。
その事に、心の底から言いようの無い熱い何かが湧いて来て……聖一は、細い体を背後から強く抱きしめた。
本当は、優しくしたいといつも聖一は思っているが、大抵激しく攻め立ててしまい貴司に負担をかけてしまう。
彼を試してるつもりは無いけどいつも自分を受け入れて……赦してくれる貴司へと、完全に甘えているのは聖一自身も分かっていた。
最初の頃は疑うばかりで不安をぶつける毎日だったが、今はもうそうじゃ無い。
「あ……ああっ」
鬼頭からぬめりを拭って肛門へツッと塗り付けると、それだけで貴司の体が悦ぶように打ち震える。
「凄いね、どんどん出てくる」
「やっ……セイ、そこ……触るなっ」
先端を擦る手を止めようと、必死に腕を伸ばす様子が可愛くて堪らない。
直ぐにでも貫きたいとはやる思いを押し止め、一旦貴司の体を離すとまだ潤いの足りないアナルに聖一は顔を近付けた。
「あっ……セイ!なっ…ああっ!」
腰をしっかり掴んでから、アナルにピトリと舌を這わせると、驚いたような声が上がって貴司が前へ逃げを打つ。
そんなに時間を掛ける余裕など今の自分には全く無いから、何も告げずに片方の手で貴司のペニスをギュッと握り、逃げられないよう追い詰めてから、アナルに舌を深く突き入れそこから唾液を送り込んだ。
「い……やぁっ!」
これにだけは慣れないようで、シーツを爪で引っ掻く音が聖一の耳に滑り込む。
だけどアナルは悦ぶように伸縮を繰り返していて……。
「もうダメ……入るよ」
舌をツプリと引き抜いてから手早く片手でベルトを外し、窮屈だった下着の中から硬く猛った自身を出す。
「くぅっ、うぅ……」
細かく体を震わせながら、前に逃げようと動いているのはきっと無意識なのだろう。
「逃げちゃダメだよ」
腕から力が抜けてしまい、尻だけを高く掲げた形の貴司の体を抱き締めて、肩に犬歯を食い込ませると、切っ先を彼のアナルに添えて一気に中へと分け入った。
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「いっ!うぅっ!!」
咬み付かれている肩も熱いが、それより身体を深く貫く聖一のモノが酷く熱い。
いくら唾液で湿っていても、殆ど馴らしもしなで入れれば痛いに決まっている筈なのに、悦い所を最初に突かれて良く分からなくなってしまった。
「大丈夫、切れて無いよ。貴司のココ……俺の形に広がって、凄く気持ちいい」
「やっ、やめっ!……動くな!」
咬んでいた肩をペロリと舐められ耳元でそう囁かれ……力がクタリと抜けた所で律動が開始されてしまう。
「んっ……あっ、あぁっ!」
押し出すような喘ぎが上がり、体の芯に響く快感に意識がどんどん混濁してゆき膝がカクカク震え出す。ずっと張り詰めていたせいなのか、緊張が解けた貴司の体が堕ちていくのは速かった。
「あっ、ひっ……ああっ!!」
一度目の放出は、前立腺を激しく突かれてあっけなく訪れる。
極めた時の締め付けで、低く唸った聖一の声と中に注がれた温かさに……彼もまた、達したのだと悟った貴司はそのまま意識を絶とうとしたが、胸のピアスを強く引かれて現実へと戻された。
「もう一回」
感情の読めない声が耳の後ろに響いて来るが、これは甘えた声音なのだともう貴司には分かっている。
「や……少し、休みたい」
「ダメ、まだ足りない」
子供みたいな言い草に、怒りも全然湧いて来ないのは彼がこうして甘えるのが自分だけだと知ってるから……そんな聖一を愛おしいと、心の底から思えるからで……。
「……なら、後ろからじゃなくて……」
貴司に負担を掛けないように、背後から貫いたのは分かってる。だけど貴司はこの体勢がはっきり言って好きじゃ無い。
「いいよ、どうしたい?」
「くうっ……んぅ」
首筋にチュッとキスを落とされ背中をしならせ喉を反らせると、
「可愛い」
の声が聞こえて、そのまま体を起こされた。
「いっ……セイの、顔……見たい」
更に深まった接合に目の焦点が合わなくなる。それでも必死に舌を動かして願いを彼に伝えると、脇の下へと腕を差し込まれて少しだけ体が浮いた。
「あぅっ!」
突然ペニスが引き抜かれ、中を擦られる強い刺激に頭を振って悶えた途端、身体がヒョイっと反転させられそのまま膝に乗せられる。
向かい合わせになった形で貴司が頭を上げて見ると、視線の先に口角を上げた端正な顔が映り込んだ。
「セイ……」
思わず身体を抱き締める。
縋り付くという言葉の方が正しいような光景だけど、ようやく自ら触れられた事に貴司は安堵し微笑んだ。
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