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過去拍手
醒夏 番外C



「んっ…ふうっ!!」


自分も軽く触れるだけのキスにしようと思ってたのに、片手で頭を抑え付けられて離れる事が出来なくなる。


「うぅ……ん」


歯の裏側へと舌を這わされ上顎までを舐められると、場所も弁えず貴司の体は酔ったように熱くなり……流されそうになってしまうが、そこはどうにか堪えなければと空いた掌で胸を叩く。


「っセイ、お前……」

「行くよ」


思いの他簡単に体を離した聖一に、文句を言おうと口を開くけど、それは手を引く彼の言葉にあっさりと跳ね退けられた。


「どこに行くんだ?」


公園を出て進む先が、住むマンションとは違う方向と気づいて貴司が声を掛けると、
「今日はホテルを取ったから」
と何食わぬ顔で返事をされる。


「な、なんで?」

「明日朝から業者が来るから、部屋にいたら邪魔でしょ?」

「あ……そうか、でも居なくて平気なのか?」

「うん、小林に頼んであるから……あれ?貴司顔赤いけど、どうかしたの?」


"ホテル"という彼の言葉に、過剰反応してしまった自分がかなり恥ずかしい。
きっと分かっている筈なのに、素知らぬ顔で尋ねて来る聖一の事が恨めしくなって思わす貴司が俯くと、珍しい事にプッと吹き出す声がした。


「どうしてそんなに可愛いの?」

「可愛くなんか無い。セイが、変な事言うから……」

「期待した?」

「違っ」

「貴司は間違ってないよ……あんな風に煽るから、俺もう限界だもん」


一旦緩んだ手の平が、今度は指を絡めるように貴司のそれを握り直す。手の甲を撫でるようなねっとりとした指の動きに、貴司の顔は益々赤みが濃くなって、鼓動がどんどん激しくなる。


「部屋でヤッたらシーツが洗えないでしょ?」


耳元で低く囁く声に眩暈を起こしそうになるのは、先程までの緊張で不安定になってるせいもあるのだろうが、聖一との関係が崩れなかった安堵の気持ちも貴司の中では大きかった。





****





最上階にある部屋へと入った途端ベッドの上へと縫い付けられ、
『まだ明るいから』
と、羞恥に思わず紡いだ言葉は完全に無視された。


朝一番に聖一の目を盗んで部屋を後にしたから、今の時刻はまだ昼前で事に及ぶには早いと思う。
もちろん一緒に暮らしているから休みの日には朝から抱き合う事もあったが、状況と場所が違うだけで勝手が大分違っていた。


「ごめんなさいは?」

「え?」


両手を頭上で一纏めにされ瞳を伏せて耐えていると、柔らかい口調ではあるが、低い声でそう問われる。


「分からない?」


瞼にキスを落とされて……促されるよう瞳を開くと、唇の端を器用に上げて意地悪な笑みを浮かべる顔がそこにあった。


「あ……」


もしかして……もしかしなくても、大切な事に気付いた貴司が小さな声を上げて身じろぐと、手首から指が離される。


「ごめん、俺……」

「分かってる」


頭の中が一杯になってしまってたという事もあるが、何より引き止められるのが嫌で今日は付けて貰わなかった。


「でも、今日だけだから……次やったら、今度はずっと外せないようにするよ」

「うん……本当にごめん。今から、付けてくれる?」

「じゃあ自分で脱いで」


貴司がコクリと頷くと……一旦体を離した彼が、腹を跨いで膝立ちになりポケットから布を出す。袋状になってるそこから二つの小さなピアスを取ると、ボタンを外し終えた貴司に袷を開けと促して来た。


「震えてる……まだ恥ずかしい?」

「いつもと、違うから」


夜寝る時に外されて、毎朝彼に付けられるのにはもう大分馴れてはいたが、完全に羞恥を捨て去る事は今も出来ていない。


「くぅっ……あっ」


固くしこってしまった乳首を、執拗に捏ねる聖一の指に思わずあえかな喘ぎを漏らすと、膝を使ってズボンの上からペニスをグッと押し上げられた。


「あっ……痛っ!!」

「乳首だけで、もうこんなになってるの?」


グリグリとそこを圧迫されて体が自然と逃げを打つが、途端に乳首へ爪を立てられ痙攣のように体が跳ねる。


「やっ……止め!」

「貴司が動くからでしょ?ほら、付けるから手ぇ離して」

「あ、ごめっ」


無意識の内に聖一の腕を強く握ってしまっていたと、ようやく気付いて指を離すとペニスから膝が退けられて……傍らに置いたピアスを手にした指が胸へと伸びて来た。


「就職活動するって言ってたけど……夏になったらシャツに透けちゃうね。どうするつもりなの?」

「んっ……そんな事、考えて……ない」


金具が芯を通る感触に小さく体を震わせながら、素直な気持ちを口に乗せればピアスがクルクル回されて……そこから生まれる甘い疼きに貴司がクゥっと喉を鳴らすと、今度は体を伏せに返されてズボンと下着を一気に引き抜かれてしまう。


「ちょっ……セイ、なにすっ!」

「少しお仕置きしてからって思ったけど、我慢出来ないや……貴司、容れて」

「なっ、まだ……無理!」


正気に戻って抵抗すると腰から腹へ腕を差し込まれ、強い力で引き寄せらて四つん這いの形にされた。


「ここ、こんなに溢れてる。場所が変わって興奮した?」

「ちがっ……あっ、あうぅ!」


チュクチュク……と、ペニスの先を指で擦られて、快感に腰がユラユラ揺れる。


「違うの?俺は興奮してるよ。公園で……貴司があんな事するから、我慢出来なくなっちゃった」

「あぅっ」


臀部に当たる昂りに、臍の辺りがズクリと痺れた。





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あきゅろす。
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