約束の最終回 これは決して終わりじゃない。 そう、終わりじゃない。 ローレライの剣は、オリジナルから奪った。 俺の体に混じっていたローレライの宝珠は、もう取りのぞいてある。 準備は万端。 塔の天辺、レプリカ達が犇めきあう最上階。 俺はただ一人…いや、ブタザルも付いてきたから一人と一匹か。 「おい、ブタザル」 「なんですの?ご主人様!」 相変わらずだな。 俺が俺であった時もコイツは変わらなかった。俺が偽物でも、人形でも。 「色々、ありがとうな。すまなかった」 「ご主人様…」 真ん丸い目から、ボロボロと涙が溢れてくる。俺はそれを少し拭ってやった。 ほんのりと暖かい。 「お前は俺達の最期を、ちゃんと見ててくれ。お前は証人になるんだ」 俺達、レプリカがちゃんと生きていて、そして、死んでいった事の。 何も残せない俺達の代わりに。 「ルークの事、頼むな」 一度だけ、その小さな頭を撫でて背を向けた。 「ご主人様も、ルークですの!」 小さく嗚咽を上げていたそいつは突然大声を張り上げる。 ……なんだってんだ、いきなり。 「僕にとって、今のご主人様も前のご主人様もルークですの!他の誰でもない、僕が出会って一緒に旅したルークですの!!」 ……ミュウ。 最期まで本当にありがとう。 ああ、もっと優しくしてあげればよかった、なんて思いながら。 俺は振り返らなかった。 「さぁ!他の同志達のために!!」 響け、レプリカの音よ。 我らは我らの屍を以てして我らの国を。 ただひとつの願い。 生きるために。 ←→ |