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再演チケット一枚





世界は美しいが、醜くもある。
その世界で生きるには、彼は余りに純粋すぎた。





久しぶりのユリアシティは、やはり別世界の街の様だった。
俺とジェイドがアルビオールから降りて直ぐ、駆け寄ってくる人影が二つ。

「ようこそ、ユリアシティへ」

相変わらず教団の軍服に身を包むティアと、その祖父のテオドーロ市長。
今回、二人の要請で俺達はここへ来たのだ。
挨拶を済ませると、そのまま街の中心にある会議室へと通される。

「早速ですが本題です」

市長は椅子へ座ると、そう切り出した。

「先日、異常な数値の第七音素収束が観測されました。アッシュ殿が帰還された時と同じ、否それ以上と見られます」

ティアがデータの記された資料をジェイドに手渡す。ジェイドはそれに目を通しながら、市長に続きを促した。

「それと時期を同じくしてレムの塔付近に未確認の魔物が多数出現した、と。レプリカ達から救援依頼が届き、信託の盾が動いているのですが…」
「苦戦中、ですか」

レムの塔周辺にはマリィレプリカのように、刷り込みを完全にされたレプリカが独自に集落を作っている。
オリジナルの世話にはならない、というのが彼等の言い分だ。
その彼等が救援を頼むのだ。よっぽどの事だろう。

「そうです。どうやらその魔物には特殊能力があるようで…そしてこの第七音素の事もありますから、カーティス大佐へとご連絡したのです」
「…この第七音素が魔物とどう関係するか…」

ジェイドから手渡された資料。そこには収束地点、レムの塔と記されていた。

「なぁジェイド、これが…ルークと関係あるって事はあり得るか?」

資料を持つ手が震える。
ティアも同じ事を聞きたかったのだろう。ジェイドをじぃっと見ていた。

「…これだけでは何とも。しかし第七音素が減少傾向の今、これだけの量です。憶測でものを言うのは嫌いですが、相手が相手ですからね…ルークでなくともローレライの関与している確率は高いでしょう」

ジェイドの言葉にティアは口を両手で覆う。
どんなに可能性が低くとも、唯一のルークへの手掛かり。

「ですが、やはり情報が少なすぎる。一度陛下へ報告して調査許可をもらいましょう」
「ああ、ティアも一緒に来てくれ。何か…嫌な予感がする」





それはただの予感。

だが報告に帰ったグランコクマで、それが思い過しではない事を俺達は知った。







あきゅろす。
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