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【新説】虹色の鱗【モンスターハンター】
9.
112:◆d2hCxOK7H.
12月18日07時49分36秒 eNhKliFJO

第三キャンプ


森の一番奥地にあるベースキャンプであり、これから先へ進む者の最後の休息所である。キャンプと呼べるほどの規模は無く、幾度となく繰り返される飛竜の襲来でその原形は殆んど残ってはいない。


/,'3 「さて…私は薬草を摘んでくる、君達は食事の準備を頼むよ?」


荒巻は手慣れた表情で周りを片付け、一人かごを担いで外に出ていった。全てを熟知している様子だった。

( ゚∀゚)「よし、待ってろよ?今から暖かいモン作ってやるから…」


そういうと背中のバッグから包丁を取り出すジョルジュ。その包丁も年季が入っており、慣れているという印象を与える。


( 'A`)「すまない…なんか迷惑ばっかりかけちまって…」


川 ゚ -゚)「今回は仕方ない、今はゆっくり休め…」


(*'A`)「あ、ああ…ありがとう……」


ドクオは赤面していた。
目の前の女性「クー」は驚く程美しかった。今まで生きてきて、これほどの美貌の持ち主は見た事が無かった。その女性の前でほとんど裸に近い姿で座るドクオ。
うろたえるのも仕方がなかった。


( ´_ゝ`)「しかし俺達二人はあまり外傷はないようだな…よく避けきったものだな?」


(´<_`;)「全くだ…流石だよな、俺たいた痛たたたた痛い痛いぃッ!!!」


ξ#゚听)ξ「ああもう、静かにしなさいよ!!手元が狂っちゃいじゃないッ!?」


(;゚ω゚)「もう狂うっていうレベルじゃねえぞ!!あ、嘘ですお嘘でいぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


こちらも変わらず、賑やかだった。
生きている事を確かめるには十分だった。


113:◆d2hCxOK7H.
12月18日07時50分58秒 r2iF9UJzO

石と石の擦れる音が部屋の中に響く。

日が暮れたキャンプの中で八人は座り込み、それぞれに話をしていた。ブーンと弟者は戦いの疲れからか既に寝息をたてており、どれほど消耗していたか一目でわかるほどだった。
比較的ダメージの少ない兄者とジョルジュは外へ出て、見張り役として座り込んでいる。スープを持って出たからだろうか、二人のいる所には湯気が立ち上っている。

川 ゚ -゚)「待たせたな、お前の剣だ…どこにも異常は無い、まだまだ使えるぞ?」


( 'A`)「ああ、ありがとう…悪いななんか……こんな事までしてもらって…」


川 ゚ -゚)「構わないさ…私もこういう作業が好きなんだ…」


クーからサンダーベインを受け取り、笑みを浮かべるドクオ。


ξ ゚听)ξ「でもあんたって馬鹿よね…この前だって一人でリオレウスに向かっていったし……自殺願望でもあるんじゃないの?」


( 'A`)「そんなんじゃ無いけど……確かに飛竜とはよく遭遇するけど…、それで逃げるってのも…」


/,'3 「その気持ちはわかるな…逃げずに立ち向かうその正義感は素晴らしいと思う…」


石が擦れる音が止まった。
荒巻が石の擦り鉢で薬草を調合している音だった。
作業する手が止まり、ドクオを見つめこう言い放った。


/,'3 「しかし退く事も必要だよ……一歩退いた位置から全体を見直し、考え、行動する…」


( 'A`)「……」


/,'3 「それがこのハンターという職業で、長生きする為の術なんだよ…?」


114:◆d2hCxOK7H.
12月18日21時29分23秒 /LivkyRfO

( ゚∀゚)「……」


( ´_ゝ`)「………」



( ゚∀゚)「…静かだな」


( ´_ゝ`)「…ああ…」


二人の間に沈黙が続く。
何が起きた訳でも無い、これが二人にとっての日常なのだ。話はしなくても互いの言いたい事は理解できる、そういう間柄だった。


( ´_ゝ`)「…やっぱり若い奴らには負けるな……勢い…意思の強さ…情熱……どれも勝てる気がしない…」


( ゚∀゚)「兄者…」


( ´_ゝ`)「俺も…もう潮時なのかも知れない……もう狩りに出る事も無いだろうな…」


湯気の出ているスープを飲みながら、兄者は顔に笑みを浮かべた。その表情は晴々としていて、逆にジョルジュの胸を締め上げた。


( ゚∀゚)「まだお前には…最後の役目が残っているだろう…?」


( ´_ゝ`)「最後の…役目…?」


( ゚∀゚)「ああ…」


スープを飲み干し、目の前の焚き火を見つめながら呟いた。まるで虫でも鳴くような、小さな声だった。


( ゚∀゚)「…ドクオもブーンもまだ素人同然だ…あいつらを育てていく有能なハンターが必要になる……」


( ´_ゝ`)「……」


( ゚∀゚)「お前に…その役目に就いてもらいたい……将来有望なハンターを育てる…重役だぜ…?」


( ´_ゝ`)「…教官みたいなものか……」


再び沈黙が続く。
しかし、今度はすぐにその沈黙は破られた。


( ´_ゝ`)「俺は鍛冶屋だ…簡単に捨てるわけにはいかないんだ…」


( ゚∀゚)「…」


( ´_ゝ`)「少し…考えさせてくれ……」


115:◆d2hCxOK7H.
12月18日21時55分20秒 xviM7unLO

( 'A`)「……」


皆が寝静まった後、ドクオは独り外で佇んでいた。
頭の中はあの「蒼いイャンクック」との戦いで一杯だった。
あの堅い皮膚を突き破るにはどうすれば良いか、そんな事ばかりを考えていた。


( 'A`)「…違うな……もっとこう…」


川 ゚ -゚)「熱心だな…良い事だ」


(;'A`)「うおあぁッ!!!!」


ドクオの後ろにはシャツを一枚はおった姿の女性が立っていた。よく目を凝らして見てみると、ようやくその影がクーの姿だと確認できた。


川 ゚ -゚)「どうした…私はランポスでは無いぞ?」


( 'A`)「ああ…それは解ってるんだ……でも静かに近付かないでくれ…」


川 ゚ -゚)「すまないな、これは昔から直らないんだ…我慢してくれ…」


( 'A`)「……」


ドクオは聞こえないフリをしていた。鍛練の際には外の世界を入れたくなかった。
自分の世界を作りたいのだ。故に相手がクーであっても相手にはしなかった。


川 ゚ -゚)「…君は死に急いでるような気がする…」


( 'A`)「……」


半分は事実だった。
いつ死んでもかまわない…そういった心の持ち方が、今のドクオのように猪突猛進な戦い方をさせるのだろう。ドクオはそれには気付いていた。


川 ゚ -゚)「君はまだ死ぬべきじゃない…」


( 'A`)「……」


川 ゚ -゚)「少なくとも私は…そう思っている…」


クーの声が心に響いた。

クーがキャンプの中へと戻るとドクオは近くの石に腰を落とし、月を見上げた。
丸い満月が辺りをほのかに照らしていた。


116:◆d2hCxOK7H.
12月18日22時24分33秒 sCeuy9r7O

/,'3 「さて…全員揃ったな?では会議を始める…」


早朝

まだ日も明けきってない時間に、八人は丸いテーブルを囲んで話し合いをし始めた。
議題はもちろん「蒼いイャンクックの討伐」および「リオレイアの討伐」であった。


/,'3 「今日確認したんだが…やはり間違いなく奥地には「リオレイア」が棲息している……だがイャンクックも、もう放っておくわけにはいかない…」


( ゚∀゚)「リオレイアはまだ島民に被害を加えていないが…イャンクックの被害は日に日に増える一方だからな…」


/,'3 「そこでだ…今この場にいる八人でチームを組みなおし、各個撃破を狙っていこうと考えている…」


( 'A`)「そんな事…可能なのかよ?」


/,'3 「うむ…まずはこれを見てもらいたい…」


荒巻がテーブルに広げたもの、それは新しいチームの編成表であった。
そこには、こう記載されている。



蒼イャンクック討伐部隊
荒巻
兄者
ツン
ブーン

リオレイア討伐部隊
ジョルジュ
クー
弟者
ドクオ



/,'3 「これがベストメンバーだと考えている…イャンクック討伐部隊は私について、リオレイア討伐部隊は無理なら撃退するだけでいい…」



( 'A`)「…マジかよ…マンドクセ……」


川 ゚ -゚)「…厳しいな…何の用意もないのに討伐、または撃退…か…」



( ´_ゝ`)「あいつを…今度こそは…!!」


(;^ω^)「こ、怖いお…でも……やるしかないんだお…」


ξ ゚听)ξ「……そうね」



/,'3 「では皆、健闘を祈る…!!」




(´<_`;)「…結局俺は触れられなかったか…流石だな……俺……」



あきゅろす。
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