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【新説】虹色の鱗【モンスターハンター】
3.
25:◆d2hCxOK7H.
10月09日03時39分23秒 KFOJrXnPO

( 'A`)「おいお前…何をしている…」



(;^ω^)「ぶひゃwwwごめんなさいですおwwww殴らないでwwwwww」



いきなり声をかけた事にそうとう驚いた様子で、逆にドクオの方が驚いてしまった。そこには肩を震わせ、恐怖に怯えた表情でドクオを見る青年がいた。
彼は手にピッケルと呼ばれるつるはしを持っており、穴を掘ってその中に隠れていた。



(;'A`)「おいおい…俺はモンスターじゃないって……もちつけ…!!」



(;^ω^)「おお…お、だ…誰ですかお…、僕に何かご用ですかお…?」



話を聞くと青年は大型のモンスターに追われている最中、この洞穴を見つけ隠れこんだらしい。



(;^ω^)「そいつはランポスみたいだったけど、ランポスではなかったんですお……とても大きくて、飛竜かと思ったお…!!」


( 'A`)「飛竜のようなランポス…?……そんな馬鹿な…」



ランポスとつい先刻まで戦っていたドクオは不思議に思った。確かにランポスは人間と同じくらいの大きさではあるが、アプトノスなどの大型のモンスターに比べると小さい分類に入る。

ドクオは騙されているのではないかと疑った。だが青年の表情は真剣で、その事柄に信憑性を持たせた。



( 'A`)「とにかくここは危険だ…俺もランポスに追われている、追いつかれる危険性もある。一刻も早くここを離れよう…!!」



(;^ω^)「わ、わかりましたお…」



青年はそう言うと足元に転がっていたサボテンを手に持ち、洞穴を出る用意をし始めた。
武器はあるに限るが、何故青年がピッケルよりサボテンを選んだのかは不明のままであった。

そしてドクオと青年は洞穴の出口まで進み、今後の行動を話し始めた。


26:◆d2hCxOK7H.
10月09日12時19分57秒 KMyKV8zkO

( 'A`)「いいか…?今いる場所がここだ…。俺達はなんとかしてこのテリトリー内から出なければならない…」


(;^ω^)「はいだお…早く出たいお…」



( 'A`)「色々な方法はあるんだが、一番成功する確率の高いルートを選んでおいた……この川沿いのルートだ…」


(;^ω^)「ここは見た事があるお…確かアプトノスが水のみ場にしていたはずたお…」


( 'A`)「そうだ…ここは障害物が少ないから見つかる可能性もある。しかし、ランポスのテリトリーを越えれば奴等は追ってこないはずだ。」


(;^ω^)「わかったお…全力で逃げ切ってみせるお!!」


わ( 'A`)「よし、なら行くぞッ!!」



ドクオの掛け声と同時に、二人は洞穴から飛び出した。生き延びる為に全力でテリトリー外へと向かうドクオと青年は、途中で信じられない光景を目にした。

先程ドクオを追い掛けていたランポスの群れが、洞穴から出て100m程の場所で待ち伏せしていたのだった。

しかし二人は構わず先へと進んでいく。

ドクオはハンターカリンガを構え、飛びかかってくるランポスを次々と撃破しながら走っていく。
青年は手に持ったサボテンを器用に操り、まるでハンマーを振り回すが如く敵を薙ぎ倒していく。自然とその戦い方が様になってきていた。

青年がまずハンマーで敵陣に切り込み、討ち漏らした敵をドクオが倒していく、それは戦い慣れたプロのハンター達がよく使う作戦でもあった。


31:◆d2hCxOK7H.
10月19日00時38分17秒 adIlJPe7O

しかし予想外の出来事が起きてしまった。

ドクオ達の前に大きな木が一本立っている。その木を薙ぎ倒さんばかりの勢いで突撃する青年の体が宙に舞った。それは大木ではなかった。

目の醒める様な鮮やかな青色の鱗、鈍い輝きを放つ爪、涎を垂らし獲物を物色する牙、その姿は見ている者に恐怖すら抱かせる風貌だった。
その名は『ドスランポス』、ランポス達の王でこの辺一帯のテリトリーを束ねるボスである。



(;'A`)「で、でかい…これがランポスなのか……!!」



ドクオは驚き、その歩みを止めた。瞬間、ドスランポスと目が合い体が凍りついた。状況は違えど、この感覚はリオレウスと対峙した時と同じものだった。
リオレウス程巨大では無いが、その大きさは既に常識の範囲を超えており、ドクオは恐怖と言葉には表せない不思議な感情に襲われた。


(;^ω^)「ちょwwガチで痛いおwwwしかも囲まれているおwwwww」



青年の声で正気に戻ったドクオは改めて周囲を警戒した。が、もはや手遅れだった。
ドクオ達を囲むようにしてランポスが円陣を作り、ドクオ達の逃げ道を塞いでいる。それどころか徐々にその円の半径を縮め、更に追い込みをかけていく。その瞳にはすでに『食糧』としてのドクオの姿しか映ってはいない。


(;'A`)「こうなりゃ…やれるだけの事はやってやる…!!」


(;^ω^)「くぅ…もう……もう破れ被れだおッ!!」



覚悟を決めて武器を握り締める。この数を相手に生きて帰れる保証はない。だが出来るだけの事をして、それで死ぬならそれが人生なんだろう。
不可思議な考えを頭に描きながら、ドクオは腰を落とし突撃の構えをとった。もう迷いは無かった。

あとは神に祈るだけだった。
万が一の可能性が成就する事を。


33:◆d2hCxOK7H.
10月20日01時05分17秒 IVUjuqauO

だがその時、聞き覚えのある乾いた音が聴こえた。同時に空から光の雨が降り注ぎ、その一滴一滴がランポスの体を貫き、地面へと吸い込まれていった。

光の雨がふる中、時折凄まじい炸裂音が鳴り響き、その度に数匹のランポスが宙へと舞っていった。


ξ゚听)ξ「逃がさない…そこねッ!!」


ドクオ達のいる草原を見下ろす位置にある高台の上、一人の女性が大きなボウガンを構えて腰を据えている。自分の背丈ほどあろうボウガンを器用に操り、次々とランポスを始末していくその姿はまるで、神話に出てくる女神『アルテミス』を彷彿とさせる。

光の雨を逃れた二匹のランポスがボウガンを構える女性に猛然と襲いかかった。
彼女は鉄製の砲身を盾にして鋭い爪での一撃を防ぎ、至近距離からランポスに向けて薬筴を発射した。
辺りに硝煙の匂いとランポスの血の匂いが漂う。


ξ゚听)ξ「ランポスは私に任せて……あなた達はドスランポスをッ!!」


(;'A`)「ありがたい…おい、いくぞ!!」


(;^ω^)「ちょ…ちょっと休憩させてくれても……ああもう、やってやるおぉぉ…ッ!!」


ドクオと青年はドスランポス目がけて総攻撃を仕掛けた。
だがドスランポスの鱗は彼等が思っていたよりずっと頑丈で、サボテンや切味の落ちたハンターカリンガでは弾かれてしまった。
次々と攻撃を繰り出すも全て弾かれ、決定的なダメージを与えられない。


(;'A`)「こいつも…硬い…ッ!!」


ドクオを絶望感が襲う。
しかしドクオはある事に気が付いた。ドスランポスの横腹、脇の下の辺りにほんの小さな傷を負っている事を。

先程の光のシャワーによるものであろうか、確かにそこには小さな傷があった。
ドクオはその場所目がけて一直線にハンターカリンガを刺しこんだ。
傷口から大量の血が吹き出し、ドスランポスは奇怪な叫び声をあげてよろめいた。


34:◆d2hCxOK7H.
10月20日07時50分20秒 +P8YjjJFO

傷を負ったドスランポスは逆上し、辺り構わず暴れ始めた。周りにいるランポスを蹴散らしドクオに襲いかかる。
不意をつかれたドクオは何とか刀身でドスランポスの攻撃を受け止めたが、向こうの力の方が強く、後方へとよろめき、体勢を崩してしまった。


(;'A`)「くぅ…ち、ちくしょう…ッ!!」


絶体絶命の事態に陥ったドクオを救ったのは、共に戦っている青年の一撃だった。


(;^ω^)「ほわあぁぁぁ…こね野郎めえぇぇぇぇッ!!!!」



力を溜め振り下ろしたその一撃はドスランポスの頭部を的確に捉えていた。凄まじい轟音と共に放たれた一撃によりドスランポスはたじろぎ、顔面の半分が潰れ、怒りに震えていた。


ξ゚听)ξ「弱っている……今がチャンスよ二人共!!一気に畳み掛けて!!」



彼女の援護射撃を受け、二人はドスランポスを倒す為の最後の特攻に出た。
もはや双方にスタミナはなかったからだ。


光の雨の降る中、ドクオは全速力でドスランポスに近付き、その懐へと飛び込んだ。先程ダメージを与えた傷口にもう一度ハンターカリンガを突き立て、更に体内へと刃を進ませる。
痛みに悶えるドスランポスは激しく抵抗したが、そのどれもが不発に終わり、再び顔面に青年のハンマーを受け入れた。


(;'A`)「ぐあぁぁぁああ…この、早く死んでくれぇぇえぇぇぇぇッ!!!!」


切味の落ちたハンターカリンガでは対したダメージは期待できないが、それはドクオも理解していた。
ドクオはドスランポスに突き刺さっている剣の腹に手を当て、そのまま押し斬ってしまおうと考えていた。しかしドクオの剣には今までの戦いで付いた脂や血のりがベッタリ付着している。
切味などという以前の問題だった。


ξ゚听)ξ「…ここからじゃ遠すぎる……狙いがつけれないわ…!!」


(;^ω^)「この…ッ、この…ッ、このおおぉぉぉぉぉおぉッ!!!!」


(;'A`)「だあぁぁぁぁぁぁ、これで終わりだぁぁぁぁあぁぁあぁぁッ!!!!」


37:◆d2hCxOK7H.
10月20日21時22分07秒 H+l1cPnFO

ドクオは更に奥へと刃を進ませる。しかし激しく抵抗するドスランポス相手では、これが限界だった。
ドスランポスは体を大きく揺らし、ドクオを払いのけようとした。が、ドクオはガッチリとしがみつき離れようとはしない。それどころか突き刺した刃を横に捻り、更に追い撃ちをかけた。

ドスランポスの悲痛な叫びが響き、足元には血の海が完成していた。


(;'A`)「こ、この……なんて力だ…うおぁッ!!」


ついにドクオの体に限界が訪れた。
握り締めていたはずの剣はドクオの手を離れ、直後その体は地面にたたき付けられた。立ち上がろうとしても手に力が入らず、その場で呆然と暴れるドスランポスを見つめていた。

急にドスランポスの様子がおかしくなった。

先程までの鋭い眼光は消え去り、空を見上げて動かなくなった。一度だけ小さく鳴き、草の生い茂る大地へとその身を任せた。
倒れたドスランポスの口からは大量の血が吐き出され、青い絨毯を赤く染める。

そして息絶えた。



(;'A`)「どうだ…や、やったの…か?」


(;^ω^)「どうなんだお……いきなりガブッ!!ギャーwwwwwwww…なんて事はないかお…?」



(;'A`)「……大丈夫だろ…大丈夫…だ…」



息を切らして座り込むドクオは未だに疑っている様子の青年に呟いた。ドスランポスの瞳孔は開き、二度と動き出す気配が無かった。

ドクオ達の勝利である。



(;'A`)「そういや…助かったぜ、姉ちゃ……ッ!?」


ドクオは助けてくれた女のハンターに礼を言おうと振り返ってみた。
だがもう姿は無く、そこには大木が一本、悠然と立っているだけだった。


(;'A`)「さっきの女は…なんだったんだ…?」


そんな事を頭に巡らせながら、ドクオは青年の肩を借りて街へと戻り始めていた。

ξ゚听)ξ「…あなたはいずれ……いや、今はやめておくわ…新米ハンターさん……」


静かになった平野に、撃鉄を起こす音だけが静かに響いた。



あきゅろす。
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