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【新説】虹色の鱗【モンスターハンター】
24.
261:◆d2hCxOK7H.
05月08日07時53分23秒 TgNq/ZqnO

翌日、彼等は次の行動に移ろうとしていた。
工房「渋沢」の前にはバリスタの面々が集い、互いに持ち物の確認を行っている。


ξ ゚听)ξ「ちゃんと食糧は持ったの?あと、傷薬も用意してるわよね?」

(;^ω^)「ば、馬鹿にしないで欲しいお!!誰が骨付き肉とハンマーを間違えるんだおッ!?」

ξ ゚听)ξ「…それはアンタしかいないわよ」


ツンは武器の整備をしながらブーンの世話を焼いていた。
ボウガンはいわば「精密機械」である。細かい機関が戦闘中に壊れる、という事もある。入念に油を注ぎ、動作を確認する。


(;´_ゝ`)「お前ら、研石忘れてるぞ!?あとツン…」

ξ ゚听)ξ「はい…?」


兄者がツンに布の包みを手渡した。
ツンのボウガンの弾丸は全て兄者が作成してくれている。
以前は全て自分で行っていたが自己流にも限界がある、更に上質な弾丸を作成しようとすれば、やはり専門職の兄者に頼らざるを得ない。


ξ ゚听)ξ「あ、ありがとうございます。いつもお世話になります」

(*´_ゝ`)「あ、いやいや…大した事じゃないんだ……これが俺の役目だから」

( ^ω^)「……」


更に兄者は別の弾丸を取り出した。
その弾丸は頑強な箱に納められており、厳重に鍵までつけられていた。いつもとは違う雰囲気をもった弾丸に、ツンは当たり前の違和感を覚えた。


ξ ゚听)ξ「兄者さん…この箱は?」

( ´_ゝ`)「ああ……この中には特別な弾が入っている。もし飛竜と対峙する事になったら…使うといい」


ツンは受け取った箱をまじまじと見つめ、ゆっくりと自分のカバンへとなおした。


( ^ω^)「…ドクオは…うまくやってくれるのかお?」

ξ ゚听)ξ「大丈夫よ、ドクオにはクーさんがついてる……それにドクオは、強い…」


( ^ω^)「…そうだお、心配なんて、そんな必要なかったんだお…」


( ´_ゝ`)「俺は…あいつに弟者を託した……だから、祈るだけだ…!!」


262:◆d2hCxOK7H.
05月10日01時41分46秒 h1wnUKiVO

( 'A`)「……」


川 ゚ -゚)「…確かここを曲がった所に…」


ドクオとクーは入りくんだ街の裏道を手探りで歩き続けていた。
理由は一つ、弟者の救出の為であった。

彼等は数時間前まで街で聞き込みをしていたが、あるハンターの証言でこのあたりに弟者がいるのではないかと目星をつけていた。
今まで誰も住んでいなかった家に、最近頻繁に食料と水が運び込まれているらしい。時期と照らし合わせると、弟者が失踪した明くる日から行われている。


( 'A`)「…どうやら、ここらしいな…」


口にくわえていた煙草を指で弾き、足で踏みにじる。
クーはドクオのその仕草が好きではなかったが、一時的なものと判断して黙認する。
街のはずれ、はぐれハンター達が我がもの顔で闊歩する裏道。決して治安の良いとは言えないような場所に、目的の空き家があった。
外から見ても、その古さに気付く。


川 ゚ -゚)「…では行こうか」

( 'A`)「さて、蛇が出るか何が出るか……どっちだ?」


目の前にある古くなったドアに手をかける。錆が内部にまで及んでいるのだろうか、鈍く高い音をあげて徐々に開かれていく。

中の澱んだ空気が内部から流れだして、新鮮な空気が次々と入り込んでいく。

そして勢いをつけ、一気にドアを開く。



( 'A`)「……」


川 ゚ -゚)「どうやら…蛇も鬼も出てきたようだぞ?」


( 'A`)「…だな、これはガチでマンドクセ…」


中に居たのはハンターくずれのゴロツキが四人、各々が奇妙な形をした武器を持って部屋のあちこちで待ちうかまえていた。
かなりの手練だろうか、ドクオ達は直感で理解する

だがすぐに交渉するわけではない。
場は既に「駆け引き」によって支配されかけていた。


264:◆d2hCxOK7H.
05月10日15時54分27秒 xRDf6IoB0

「…誰だ?勝手に人の家に入るとは、感心出来ないが…」


一番奥に座っている年長者らしき人物がドクオに言い放つ。
鋭い眼光はまるで鷹を彷彿とさせる。


「おい…こいつら、武器を持っているぞ?」

「…構うな、こっちは四人だ…いざとなったら……」


年長者を挟むように鎮座する二人はうろたえているようにも見える。
が、その目はドクオ達に逸らさず向けられており、戦意が削がれていない事を詳細に表していた。
残りの一人は奥の部屋へと駆け出した。
手には何らかの薬が入った瓶が握られていた。


( 'A`)「いや、あんたらに用は無い…用があるのは奥の部屋にいる奴なんだよ」

川 ゚ -゚)「最近ここに越して来た者を探しているんだ。どうやらそいつは自分がそうなった事に気付いていないらしいんだ」


「それが…どうしたんだ?」


川 ゚ -゚)「…いや、それだけだが…何か引っかかるのか?」

( 'A`)「自分達が拉致った…からだろ?」


あまりにも直接的な言葉だった。
その一言で場が凍りつき、三人の顔から一気に余裕が消えてゆく。
冷たい汗が背中を伝い、足元に水溜りを作っていくような感覚、そんな不愉快な感覚が三人に襲い掛かった。


「…いい加減な事を言うとどうなるか…分かっているのか?」


( 'A`)「分かっているつもりだが?」

川 ゚ -゚)「お前達の邪魔にはならないさ…私達が勝手に不法侵入するだけだからな。問題があるのか?」


緊張が走る。
既に彼のそばにいる二人は武器を出し、殺気をあたり構わず撒き散らす。
その様子を確認し、二人は剣を抜いた。
確証を得たからだ。
「弟者はここにいる」という確証を。


265:◆d2hCxOK7H.
05月11日01時13分36秒 wAAVhsF+O

( 'A`)「話し合いの余地は無しか…仕方ねぇな……」


ドクオは独特の低い構えをとる。いざとなれば強攻手段もやむを得ないという事を、彼は胸に秘めていたのだ。

彼が手にするはハンター界の至宝「オデッセイ」、以前ジョルジュから受け継いだ由緒正しき剣である。


( 'A`)「ここは…まかりとおる!!!」


一瞬の間をおき、一気に三人との距離を縮めていく。ドアから三人までを遮る物は何も無かった。
躊躇する事無く、一直線に敵に向かって突撃を開始する。


「こんの…舐めるんでないぞ、小僧ッ!!!」

「行かせるなぁぁッ!!意地でもここで息の根を止めるんだッ!!!」


男達は事態に気付き、クモの子を散らすかのように四散していく。
相手も手慣れているのか、行動が素早い。
しかも相当訓練したのか動きに無駄が無く、統率がしっかりと為されていた。

場合によってはランポスの群れよりも厄介な相手である。


( 'A`)「…いいのか?まとまってなくて…」


意味深な台詞を吐くドクオなどには構わず、三人はドクオの周囲をぐるりと囲んだ。
その素早い動きに翻弄されたドクオは驚嘆の声をあげ、だが冷静に三人の顔色を伺っていた。


( 'A`)「こりゃすげえな…やっぱ年季が違うから為せる技なのかね…」


「もう諦めろ…今すぐ挽き肉にしてやるよ…!!」


静かに凄む三人の長を睨みながら、ドクオはその場に待機している。


( 'A`)「焦った奴ほど、足元がお留守になるもんだせ…?」


「なにを…ッ!!?」


一人がある事に気付く。
それに気付くとすぐさま後ろを振り返り、その考えが正しいかどうか確かめた。
それは、概ね正解だった。


「な、なにぃ……ッ!!!!」


( 'A`)「…な?言っただろ…足元がお留守だって…」


そこには可憐に舞を踊る女性がいた。
見るものを圧倒し、魅了する舞は激しさを増して更に続いている。

それはまさに「剣の舞」


川 ゚ -゚)「どこを見ている…この三下…!!」


266:◆d2hCxOK7H.
05月11日01時52分57秒 wAAVhsF+O

川 ゚ -゚)「はあぁぁぁッ!!!」


更に回転を増して勢いをつける。そして遠心力を存分に活かした斬撃を繰り出した。
不意を突かれた攻撃を、男達に避ける手だてなどは無かった。


「うぅ…あ…!!」


辛うじて持っていたランスでその斬撃を防いだが、その為に振り返ってしまったのが彼の失敗だった。

いつの間にか彼の背中には大きな一文字の傷跡が出来上がっている。

その正体はドクオの斬撃、鋭く振り下ろされた刃の軌跡であった。


( 'A`)「…何回も言わせるなよ……足元がお留守だってよ…ッ!!!」


ぐらりと男の体が揺れ、そのまま床へと激突する。
うめき声が聞こえるので命に別状はなさそうだった。それを確認するとドクオはふっと一息つき、残り二人の目をじろじろと見る。

今度は男達がドクオの視線に射抜かれている。徐々に鋭さを増すドクオに加え、更にクーも威圧するような眼差しを二人に送る。

普段は感情を表に出さないクーであったが、戦いになると自然に感情が噴き出してくる。それは本人も理解している。
だからそれを隠さず、逆に巧く利用しているあたりがクーらしかった。


川 ゚ -゚)「さて…まだ足掻くのか?」

( 'A`)「さっさとどいてくれ……邪魔だ」


「…なるほど、でかい口を叩くだけはある…なかなかの使い手とお見受けした…」


覚悟を決めたのか、男達は武器を構えてドクオ達をじっと見据えた。
特に年長者らしき男からはただ事では無い殺気が溢れ出しており、それだけでこの男が相当な使い手である事は一目瞭然だった。


「若者のこれからを壊したくないが…あの方の為だ……死んでもらおうか…ッ!!!」


川 ゚ -゚)「…面白い、やってみろ……!!」


( 'A`)「のんびりしてらんねぇ……一撃で終わらせる!!!」



あきゅろす。
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