[携帯モード] [URL送信]

【新説】虹色の鱗【モンスターハンター】
20.
217:◆d2hCxOK7H.
03月27日07時37分21秒 z23kexR2O

(;'A`)「……」

(;^ω^)「……」

ξ;゚听)ξ「……」


「……という訳で、僕達ガノトトスには湖が与えられたってね…つまりガノトトスはある意味リオレウスと何ら遜色の無い王者の一人なんだよ、わかるかいッ!?」

(´<_`;)「……」

川 ゚ -゚)「…GJだな…ガノトトスは…」

「そうだろう!?流石クーは話がわかるなwwwww」


その頃ドクオ達は、ガノトトスの話を延々と聞かされ続けていた。始めの方は竜の成り立ちや性質、気性に関する重要な情報ばかりであったが、それ以外は自慢話や世間話などの他愛も無いものだった。
それがかれこれ三時間続き、ようやく彼等は解放された。


「悪いね付き合わせて…この道を通れば街にでる事が出来るよ、ただし条件がある…」

( 'A`)「ここの事を口外するな…か?」

「理解が早くて助かるよ…最近は『竜撃隊』ってのが幅をきかせているらしいからね…」

川 ゚ -゚)「『竜撃隊』…今大陸で一番の勢力を誇る、国家認定のハンターギルドだな?」

「ああ、少し前にリオレウスが大陸に様子を見に行ったんだ…酷いもんだったらしい」


ガノトトスはその様子をこと細かに話しだした。その声と表情には悲壮感が漂っている。


「彼等は目標となる子供の飛竜に複数で…機械仕掛けの槍を使い、息絶えるまで何度も執拗に攻撃したらしい…リオレウスが助けに入ったんだが、もう手遅れだった…彼等は見境なく殺し続けた…」


( 'A`)「…酷いな…」

ξ゚听)ξ「でも、大陸ではそんなの当たり前のように行われているわ…そして国もそれを黙認しているの……飛竜から採れる素材はとても貴重だから…」


「ツンの言う通りだ…恐らく近いうちに彼等はこの島に目をつける。正気を失った数多の飛竜は彼等に戦いを挑むだろう…勝ち目が無くても……」


水の流れる音が憂鬱な気分を消し去ってくれればいい、そんな願いを打ち消すかのように世界は加速を続け、そして遂に解逅の時を迎える。

止める術などありはしなかった。


218:◆d2hCxOK7H.
03月27日10時51分41秒 z23kexR2O

ドクオ達は無事に街へと帰還する事が出来た。満身創痍のドクオは即刻医者の所へ連れていかれ、充分な治療をうけた。

ツンとクーは事情をジョルジュに報告していた。
巡回中にギコと遭遇、ブルファンゴの群れの撃退、それらの状況を端的に伝えた。しかしガノトトスの事には一切触れなかった。それが彼のささやかな望みであり、願いだったからだ。


( ゚∀゚)「…なるほど、事情は把握した。散々な目にあったな…ゆっくり疲れを癒してくれ」

ξ゚听)ξ「まったくよ…あんたはいいわよね、昨日からずっと本部待機で」

( ゚∀゚)「いや…まあいい、ゆっくり休め…」


川 ゚ -゚)「……?」


クーはジョルジュの変化にいち早く気付いた。表情にどこか翳りがあり、覇気が無かった。今までのジョルジュは自信に満ち溢れており、こんな沈んだ表情を他人に見せる事は今まで一度も無かった。その要因となった出来事をクーは知らなかった。

ジョルジュもまた、その事象を話す事は無かった。例え話したとしても、ジョルジュはバリスタのリーダーとして過去の友人と対立しなければならなかった。それが怖かったのである。
もしかすると夢ではないだろうか…明日になれば考えが変わっているのてはないか、そんな淡い期待を抱いていた。

しかし現実はそんな思いを打ち砕くかのように加速し続けていく。

数日後、森を抜けたところにある山岳地帯で数匹の飛竜の死体が見付かった。
発見したのは地元のハンター達だった。

遺体は損傷が激しく、甲殻や翼膜が剥ぎ取られた状態で見付かったのだという。その体には鉛の銃弾が無数に撃ちこまれていた。

それはまるで、人間と飛竜の全面戦争を告げる死神のようだった。


219:◆d2hCxOK7H.
03月27日20時14分13秒 z23kexR2O

バリスタでは臨時会議が行われていた。議題はもちろん、飛竜の大量虐殺についてであった。


/,'3 「で、被害はどれほど出ているんじゃ?」

(;^ω^)「えっと…イャンクックが五頭、ゲリョスが二頭、あとリオレウスの子供が一頭……どれも見分けがつかない程損傷していたお」

川 ゚ -゚)「それに伴い山岳部の集落が壊滅、死者はまだ正確な数字では表せませんが…30名を下らないかと思われます」

ξ゚听)ξ「それと…それの報復活動と思われる『モンスター狩り』が行われています……ブルファンゴやモス、ケルビがその被害を受けて…」

/,'3 「もうよい…」


荒巻は頭に手を添え、時折襲ってくる偏頭痛を抑えようとした。
痛みを和らげようと荒巻は窓の外に目をやった。既に木々の葉は色彩を失い、新たな季節の到来を顕著に示していた。


/,'3 「街の人間には私からきつく言っておこう…問題は飛竜のほうじゃ…」

( 'A`)「違うだろ?問題は今、こうしている間にも飛竜を虐殺してる輩が存在しているって事だろ?」

( ゚∀゚)「……」


バリスタの面々には、今回の事件の当事者を既に確定している者もいた。

竜撃隊

彼等こそが今回の事件の犯人であり、飛竜との共存の前に立ちはだかる最大の壁なのである。それ故にそれを黙認する態度の荒巻やジョルジュにくってかかる者まで出ていた。


(´<_`;)「何故足踏みばかりしているんだ!?飛竜の体についた傷を見れば竜撃隊が犯人なのは明確な事実じゃないか!!なのに何故…」

( ´_ゝ`)「もしそうなら俺達の敵は『国家』という事になる…この小さなギルドの力じゃどうにもならない相手なんだ…」

(´<_` )「なら兄者はただ見ているだけか!!なんの為のバリスタなんだッ!?」


そんな言い争いが何度も繰り返されていた。
しかし話はまとまらず、早くも暗礁へと乗り上げてしまった。


221:◆d2hCxOK7H.
03月30日07時20分02秒 w7Vm26m4O

(´<_`#)「…畜生!!」


蹴り飛ばしたバケツが壁で跳ね返り、乾いた音を立てて地面に転がった。誰も彼の憤りを止めようとはしなかった。


(´<_`#)「なんなんだ兄者は…こんなに日和見を続けて何になるってんだ!?」

( 'A`)「確かに…そろそろこちらも何らかのアクションをしないと、手遅れになりかねないぞ…」


ドクオ達は町外れにある公園で意見を交していた。彼等は弟者の憤りの理由を十分に理解していた。個人での暴走を抑制する為にも、こうした意見交換の場が必要だったのだ。


( ^ω^)「最近ジョルジュの様子がおかしいお……まるで覇気が感じられなくなったお…」

ξ゚听)ξ「そうね、塞ぎこんでるわ……」

( 'A`)「年長組は何を考えているのか……こんなんで竜撃隊とやらに対抗出来るのか?」

川 ゚ -゚)「何か手を考えないとな……今のジョルジュは抜け殻だ、あてにはならない…」


全員が肩を落としてうなだれる。いつもなら強大なリーダーシップを発揮するジョルジュが頼りにならない今、彼等は路頭に迷っていた。

空気が乾き、冷気を帯た風が彼等の頬を赤く染めていく。森の風景も徐々に緑を失い、紅い葉がちらほらと見え隠れしている。


(´<_` )「俺は…たった一人でも抵抗してやる……醜くても足掻いてやる…!!」

( 'A`)「やめておけよ…一人で何が出来るってんだ」

(´<_`#)「これ以上何を待ってればいいんだ!!ジョルジュは腑抜け、兄者は日和見…荒巻さんに至っては諦めているんだ……畜生、こんな時こそバリスタが…!!」

( 'A`)「そう…こんな時こそ俺達が動かなければならない。だが俺達はたった五人しかいない…なら『協力者』を募るべきだ」

(´<_` )「協力者…?」

( 'A`)「…弟者は街のハンターに協力してもらうよう言ってくれ…俺達も協力者を探してくるから…」

(´<_` )「そりゃ一体…誰を探してくるんだ?」

( 'A`)「…今の事態に一番憤慨している…あいつらにな……」


222:◆d2hCxOK7H.
03月30日08時07分58秒 w7Vm26m4O

後日、弟者は街で自分達に協力してくれるハンターを募っていた。街の住人には少なからず飛竜との共存派が存在しており、彼等を賛同させる事が彼の使命だった。『流石兄弟』の名前は絶大で、あっという間に20名近いハンターが我こそはと雄叫びをあげた。

一方ドクオ達四人は、ある地下水脈を歩き、とある場所を目指していた。薄暗く冷気を帯びた空気が肺を満たし、四人に危機感が植え込まれる。
半時間ほど歩くと薄暗い洞穴が終わり、非常に広い空間にでた。一見ただの地下湖に見えるこの場所は、特殊な神々しさがあった。不可侵を保とうと、冷えた空気がドクオ達を押し出していく。
しかし歓迎はされていると、ドクオは確信した。一度訪れといる場所への安心感だろうか。


「…君達か、騒ぎを知っているからもう来ないかと思っていたよ…」


湖の底に狡猾な双眸が輝き、こちらの様子を伺っている。水竜ガノトトスである。
彼は数回湖を周回すると、その顔だけを湖から出し、答えを求めるような眼光でドクオ達を照らしている。


( 'A`)「ああ…すまん、これは俺達人間の仕業だ…本当にすまない…」

「…ドクオ、君に言ったって仕方ないのは分かっているんだ……この事態がどれ程由々しき問題かは分かっているつもりだ…」

( 'A`)「なら率直に言おう…今の乱獲を防ぐには、飛竜達の力が必要なんだ…手伝ってくれ、頼む!!」

「……」


ガノトトスは目を閉じ、静かに思案し始めた。天井から落ちてくる水滴さえ、今は煩わしいとしか思えなくなっていた。


「私…いや、ガノトトスは了解した…力を貸そう……だが」

ガノトトスは大きな体を揺らし、小さく溜め息を吐いた。


「他の飛竜はどうなのか分からない…彼等を説得出来る可能性は低い…特にリオレウスは自分の子をそれで失ったばかりだからね」


冷たく言い放つ。
その言葉には同族に対する同情と、人間に対する憎しみが込められていた。それは仕方のない事だった。
いつ自分が狙われるかわからない、その時は容赦なく殺す…そういう意味も含まれているのだろう。


「しかし、完全にお手上げ…と言う訳ではない…方法はある。…それはお前達次第になるだろうけどね」


225:◆d2hCxOK7H.
04月02日07時23分39秒 PkeotxNgO

「確かに他の飛竜を説得するのは不可能に近い…ならばあとは簡単、力でねじ伏せてしまえばいいんだ」

( 'A`)「力で…」

「そうだ、君達人間だって能力のある者へとついていくだろ?つまり相手に『自分より優れている』と思わせれば良いんだ…」


その言葉には痛烈な皮肉も含まれていたが、彼等にそれを気にする余裕などは一切無かった。


ξ゚听)ξ「でも、それって下手すれば…」

「ああ…命の保証は無い…一対一の真剣勝負だけど、命を賭けるだけの価値はあると思うし、それ以外には選択肢は無いはずだよ…?」


ガノトトスが提案した策は常軌を逸していた。つまり飛竜という存在、この島のヒエラルスキーの頂点に立てという内容だった。しかもそれはドクオの一番嫌う『力での支配』を実行しなければならないのだ。


( 'A`)「…他に方法があるはずだ、そんな無茶な…」

「ならどうするんだい?そうしない限り、これからずと島民は飛竜の襲撃を受け続けなければならないんだ。それにそうする事で、この島の無法者達を追い出す事が出来るかもしれない。それは飛竜側の願いでもある…」

( 'A`)「……」


勿論その問いかけへの即答は抑えた。
自らの嫌う方法でしか島を、飛竜や他の生物を救う手段が無い。それは安易に実行できるものでは無かった。だが、今はそれしか方法が無かったのだ。


(;'A`)「…わかった、やる。やってやるさ…」

川 ゚ -゚)「ドクオ…本当にいいのか?今からでも別の可能性を探す事だって…」

( 'A`)「いや、やるしかないんだ…時間をかければ被害が広まる一方だ…それをみすみす見逃すわけにはいかない……」

「…よく決心した。ならば他の飛竜の棲み家を教えておく…他言は無用だ…」


226:◆d2hCxOK7H.
04月02日07時56分08秒 PkeotxNgO

(;^ω^)「ほ、本当にできるのかお?僕らの力なんてちっぽけなもんだお…」

( 'A`)「できるできないの問題じゃない、やるのかやらないのかだ…」


「では説明する。何かメモでも書いた方がいい…地図があれば具体的な場所を示す事ができる…」


そして四人はガノトトスの説明を受けた。
内容は飛竜の棲み家の場所、性格、特徴等の詳細なデータだった。

ツンはそれを一字一句、逃さず書き記した。



リオレウス
火山火口付近
赤い甲殻に発達した翼
性格は獰猛・激情
空中戦・地上戦のどちらも得意とする火竜
火炎の息には注意が必要

リオレイア
森の奥地・ジャングル
リオレウスよりも更に大きい同属種
性格は激情・好戦的
自らのテリトリーを侵す者には容赦なく制裁を加える
リオレウスより地上戦を得意とし、毒性の強い尻尾には注意が必要

ゲリョス
森の奥地・ジャングル濃霧地帯
性格は臆病・狡猾
凄まじい脚力と無尽蔵のスタミナをもつ地上型の飛竜
毒性のある体液と頭にある発光器官には注意が必要

グラビモス
火山内部
性格は不明
普段はマグマの中で活動しており、滅多に姿を見せる事がない飛竜
噂では黒い甲殻をもつ亜種も確認されている

モノブロス
山岳地帯・岩地
性格は温厚
最もおとなしい部類の飛竜ではあるが、一度逆鱗に触れると凶暴化する
その姿はあまり確認されていない
頭にある巨大な角が特徴

ディアブロス
先述のモノブロスの亜種
性格は狂暴
俊敏な動きとモノブロスを凌駕する怪力の持ち主
これも未確認
頭部には角が二本ある


それぞれの群れには彼等を統率するリーダーが存在する
亜種の確認も認められているので、それらがリーダーである可能性は十分に有り得る

※リオレウス・リオレイア、ディアブロスは対になって行動している場合もある。戦う際には十分に警戒する



あきゅろす。
無料HPエムペ!