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【新説】虹色の鱗【モンスターハンター】
19.
200:◆d2hCxOK7H.
02月28日07時16分41秒 0XoG2F4lO

(;'A`)「いてて…早く帰ろうぜ?体中が熱い……」


川 ゚ -゚)「…先程の傷が響いてるんだな…早く街に帰って手当てをしないと…」


ドクオ達はその場を離れようと、先程まで戦場だった場所に背を向けた。
目の前には今まで気付かなかったが、大きな湖があった。吸い込まれそうなほど澄んでおり、気を抜くと魂まで吸い込まれるかもしれない、そう錯覚させる程美しかった。

しかしその感覚は長くは続かなかった。

突然湖の中央が隆起し、水柱が発つ。無数の水しぶきが空へと舞い上がり、スコールの様に五人に降り注ぐ。
何が起こったのかもわからず混乱するドクオ達は、湖の真ん中にそびえ立つあるものの存在を認識した。


(;^ω^)「なんだお…今日は厄日ですかおwwwwwwwwww」


ξ;゚听)ξ「まずいわね…弾丸も尽きたし、絶体絶命って状態ね……」


川 ゚ -゚)「…大ボスの登場と言うわけか…」


(;'A`)「勝てる気がしないな…これまでかッ!!」


ドクオ達が見たもの…それはまるで古代魚を彷彿とさせる姿を持ち、マカライトの様な瞳は敵を威圧するために前方へと照準を合わせる。
しなやかな体を震わせ、その巨体を晒すかのように水面から浮上させる。

水竜 ガノトトス

低い唸り声をあげ姿を現した水の守り神に、ドクオ達は絶望した。体力も消耗し、武器を失ったドクオには荷が重すぎる相手だった。


(;'A`)「ガノトトス…か……最悪だ!!」


川 ゚ -゚)「これはもう…逃げ切れないな…」


(;^ω^)「こ、ここまで来たら覚悟を決めるお!!ブーンはこんな所で死ぬのは…絶対に嫌だおッ!!!」


(´<_`;)「兄者…あとの事は頼んだ…!!」


ξ;゚听)ξ「嫌よ…まだ…まだ、死にたくないもの…!!」


各々が武器を取り、陣型を整える。疲労困憊ではあったが、生きて帰る為に再び戦いへと身を委ねる。
しかし、事態は予想だにしない方向へと進み始めていた。

歯車が、動き始める。


201:◆d2hCxOK7H.
02月28日07時40分29秒 0XoG2F4lO

「…見ない顔が混じってるね…新人さんか何かなのかな?」


(;'A`)「…!?」


ξ;゚听)ξ「な…こ、声が…」


川 ゚ -゚)「なんだ…?頭の中には語りかけてくる……幻聴か?」


ドクオは自らの耳を疑った。この場に居るのは知った顔のハンターばかり、なのに知らない声が頭の中で問いかけてくる。周りに誰かが潜んでいるのではないか…そんな疑問を抱いたドクオは周囲に目をやる。しかし誰も喋ってはいない。


「はは…そんなに怯えなくても大丈夫だ。こちらに危害を加えるつもりは一切無いから」


だから安心しろ、そう言っているようにも聞こえた。


(´<_`;)「この武器でどこまで戦えるかわからんが…みすみす黙って殺されるわけにはいかないッ!!!」


(#^ω^)「この一撃に…10数年間蓄え続けた『童貞パワー』を全て注いで」


(;'A`)「待て、弟者!!ブーン!!武器をしまうんだ…!!」


ブーンと弟者は目を丸くした。それもそうだ。今までどんな飛竜にも臆さなかったドクオが、戦いをやめるよう促してきたからだ。
いつもなら先陣をきって飛び出していくドクオが、やけに慎重になっている。


ξ;゚听)ξ「まさか…この声の主は…」


川 ゚ -゚)「……」


ツンとクーは早々に武器をしまい、呆然とガノトトスを見ている。あまりにも巨大な体のあちこちには傷があり、数多くのハンターと死闘を繰り広げてきた事を忠実に表している。


(;'A`)「ガノトトス……お前の声…なのか?」


我ながらおかしな事をしていると頭で理解しつつも、ドクオは湖の中心に立つ巨躯に話しかける。
そして返答を待つ。
汗と血が肌を伝い、湿った地表へと落ちていく。拭う事はしない。


「…物分かりの良い人で助かる…我はガノトトス、聖域の水辺を守護する者…そして一族をまとめる者……」


その言葉を聞き、ドクオは沈黙する。
そのあまりに突然の出来事に頭がついていかない、まるで脳をミキサーで掻き回された気分だった。

虹色の鱗が光り輝いている。


202:◆d2hCxOK7H.
02月28日08時45分24秒 tEOHpDj4O

「…ふむ、その様子だと『祝福』を受けたのは三人か…荒巻は『呪い』だって言っていたが……ジョルジュと同じ年頃が多いようにも見えるが…」


飛竜の声と思われる言葉に、聞いた事のある名前が挙げられていた。

荒巻とジョルジュ

なんの事かわからず、ドクオは自分の思いをストレートに言葉にした。


(;'A`)「な、何故ジョルジュや荒巻さんを知っている…ッ!?」


「簡単な事さ…彼等もハンターであり、『祝福』を受けた者達だからね。たまに此方に顔を出していたんだが、最近は忙しいからな…」


川 ゚ -゚)「信じられないな…まさか、飛竜の声を聞けるとは思わなかった…」


ξ;゚听)ξ「い、いたずらとかじゃ無いでしょうね!?もしいたずらだったら…殺すわよッ!!!」


冷静に物事を判断するクー、わけも分からずブーンに当たり散らすツン。二人の行動は違うものだったが、考えている事は同じだった。

水竜が優雅に身を湖に沈め、非常にゆっくりとしたスピードでドクオ達に迫ってくる。その行動で敵意が無い事を証明したかったのだ。
それは確かに効果的で、五人の緊張を解くには十分だった。


(;'A`)「本当に…戦う気は無いんだな?信じていいんだな?」


湖畔に静かに上陸したガノトトスにドクオは問いかける。

さっきから質問してばかりだな…

そんな事を考えられるくらいに、頭の中がクリアになっていた。
ガノトトスは軽く身震いし、体についた水滴を振り落とす。そして湖のように澄んだ瞳をドクオに向け、質問に対しての答えを言い放った。


「敵意は無いよ。あれば君達は今頃バラバラ死体になっている…そうだろう?」


(;'A`)「そうかもな…まあ、俺達もタダではやられないけどな!!」


「はは…!!いいね、そういうの好きだよ。……さて、立ち話もなんだし…ついておいで」


203:◆d2hCxOK7H.
02月28日20時48分18秒 6xdzqcCWO

四人が連れてこられたのは、湖畔に面する洞窟だった。湖に流れ込む川の上流に位置し、内部は薄暗く隠れるには最適だった。
ガノトトスはその中にある小さな泉に身を沈め、ただじっとしている。


「ここから水が湧き出ているんだ…冷たくて気持ちが良い…」


( 'A`)「しかし…いいのか?俺達人間をかくまったりして……」


ドクオは傷の手当てを受けながら話しかけていた。ブルファンゴとの戦いでギコ戦の傷口が開き、痛々しく血を流している。クーは持っていた布で血を拭い、湧水で傷口をすすいでいる。消毒も兼ねているのだ。


「まあ…駄目ってわけでは無いと思うが…やはり他の奴等にばれたら不味いだろうな……」


( 'A`)「なら何故…俺達を助けるような真似をするんだ?俺達はお前等の敵『ハンター』だぞ?」


ガノトトスは水面から顔だけを覗かせて、こう言ってみせた。


「そりゃね…悪質な奴は容赦しないよ。でも君達には悪意が感じられない…なんというか、荒巻と同じ匂いがするんだ…」


川 ゚ -゚)「荒巻さんと……同じ?」


「そうだ、彼はどんな事があっても『飛竜との共存』を貫き続けている…それは我々の考えでもあり、あの方の考えでもある…」


( 'A`)「あの方…?」


五人は首を傾げた。
話が見えてこないのもあったが、それ以上に飛竜が自分の意思をもって行動している事に驚いたのだ。
だからこそ、ドクオにはどうしても気になる事があった。


( 'A`)「さっき『我々の考え』と言ったな…だが現実には人間を襲う飛竜もいる……それはどう説明するんだ?」


「人間もそうだろう?一部で『共存』と叫んでも、それが全ての人間の耳に入る訳では無い……我々も一枚岩では無いという事だよ」


(;'A`)「ッ!!……確かにな…一部の悪質なハンターのせいで希少種のモンスターまで乱獲の被害にあっている……お互い様ってわけか…」


ドクオは視線を地面に落とし、考え込んでしまった。
それでもガノトトスは話を止めようとはしなかった。その口調は軽かったが、目には炎が宿り、高ぶる心をなんとか抑えている、そんな印象だった。


204:◆d2hCxOK7H.
03月01日00時33分19秒 auR6RHYfO

ガノトトスは語り始めた。
飛竜の歴史と、現在の状況に至るまでの道のりを。

飛竜が産まれたのは人間が誕生する数千年前まで遡る。当時の地球は今ほど大気が安定しておらず、厳しい環境であったとされている。
後に始祖竜と呼ばれる最古の飛竜はより良い環境を目指し、各地を転々と飛び回っていた。一匹、また一匹と自らの居場所を見つけ、最後の二匹がたどり着いた場所がこの島だった。


「二匹は互いに力を合わせる事が、この地球で生きていく為に大切だと思ったんだろう…だから協力し合い、足りない部分を補完していったんだ…」


( 'A`)「人間と同じだな…自分に足りない部分を他人に求める…もっとも規模が違うんだろうけどな…」


しかし二匹を予想外の事態が襲いかかった。
それが「人間」の誕生であった。
二匹は自分より優れた知能を持つ生物に恐怖した。驚くべき速度で進化していく人間は次第に行動範囲を広めていき、遂には二匹の始祖竜との対面を果たした。

そこで一番の被害を受けたのが、始祖竜に導かれこの島に移り住んでいた他の飛竜達であった。


「当時の人間は我々の事を『異端の生物』とし、様々な手段で根絶やしにしようとした…それこそ乱獲や捕縛の比では無い、殺戮と呼ぶにふさわしい蛮行だった…」


ξ ゚听)ξ「その話は聞いた事があるわ…てっきりおとぎ話だと思っていたけれど……」


「おとぎ話?そんな甘いものじゃないよ…見せしめや権力を誇示する為だけに、多くの仲間が殺された…嫌な事件だったね……」


ガノトトスは泉から出てこようとはしなかった。
同胞の無念や悔しさ等が込み上げてくる。感情を隠す為には今の状態が一番良かった。
そしてガノトトスは話を続けた。


205:◆d2hCxOK7H.
03月01日07時48分51秒 XFS7xIoSO

そして始祖竜の内の一匹はある決断を下そうとした。

人間の粛清

次々と虐殺されていく仲間達を目にし、怒りに身を任せた結果だった。街に降り都市機能を停止させ、逃げ惑う人間に慈悲なき死を与えていった。数ヵ月後には島の人口は三分の一にまで減少してしまっていた。
だが、その行動に唯一反論した竜がいた。それがもう一匹の始祖竜であり、虹色の竜鱗を持つ「あの方」であった。


「あの方は獅子奮迅した。人間と飛竜の共存を心から願っておられた。その意思に賛同する人間も現れ始め、他の飛竜達の考えも少しずつではあるが共存へと向かい始めていた……だが…」


もう一匹の始祖竜である黒い甲殻を持つ黒龍は、遂に最後の手段に出ようとしていた。彼は話し合いの余地など無いと考え、島全体に火を放とうと画策していた。彼の側につく飛竜の力を借りれば、それは一日で可能だった。
そして共存派と過激派との正面対決が始まったのだ。

戦いは予想以上に長引き、飛竜達は疲れ果て次々と力尽きていった。「あの方」は残った飛竜達に傷を治せとだけ言うと単身、黒龍に挑んでいった。彼にとってはこの不毛な戦いで仲間が傷つく事が、一番の苦痛だったのかもしれない。
そして黒龍と虹色の竜との一騎打ちが始まってしまったのだ。

結果は「相打ち」

黒龍は甚大な傷を負い、奥地の更に奥、高くそびえる活火山の火口へとその身を隠した。
虹色の竜は黒龍の爪により急所を射抜かれ、致命傷では無いにしろかなりのダメージを負ってしまった。その傷を癒す為、人気の無いこの島の何処かへ飛び、今もなお身を隠しているのだと言う。


「虹色の竜…「あの方」は時折この森にも飛んできているらしい…そして悪意なき人間が共存派の飛竜とコンタクトをとる為に、わざと自分の鱗を置いて帰っていく……我も信じられなかったが、鱗を持つ君達三人がこうして我と話しているのが証拠なんだろうな…」


208:◆d2hCxOK7H.
03月06日07時28分22秒 m/2fLjhEO

ドクオ達がガノトトスと話をしている間に、街に一隻の船が停泊した。普段は物資の貨物にしか使われない寂れた港だったが、イレギュラーな客人の到来で賑わっていた。


( ゚∀゚)「あ、それロン。…リーチ一発ドラ4…悪いな、俺の一人勝ちのようだ!!」


/,'3 「こんなところで運を使いよって…肝心な時に困るぞ?」


(;´_ゝ`)「あー…今のでハコテンだ……畜生…」


三人は暫しの休息を十二分に味わっていた。息つく暇も無く動き回っていたせいか、疲れが表情に出ていたが、遊びに興じている内に顔に陽気が滲み出してくる。

ふと、バリスタの入口が勢い良く開かれた。同時に鉄製の槍を持った兵士のような者達が、慌ただしい足音を立てながら中に侵入する。そして三人の座っている机を取り囲むようにして待機している。
空気が一気に張りつめたものに変わった。


( ´_ゝ`)「…なんだなんだ騒がしい…寝起きドッキリにしちゃ人数が多いな…」


/,'3 「モテモテじゃのう…しかし野郎ばかりなのはちょっと…」


( ゚∀゚)「アッー!!って事になるってのか?返り討ちだろうぜ…」


冗談を飛ばしながらも、三人は武器をしっかりと構えていた。一種の防衛本能が働いた結果だろう。すでに臨戦態勢に入っている。

実際、バリスタでは今回のような事は珍しくない。
過去にも恨みをもつハンター達の襲撃が度々あった。数十人を超える数の人間が押し寄せてきた時もあった。
しかし彼等はそれらをことごとく撃破し、変わらずに活動を続けているのだ。

しかし、今回は様子がおかしかった。

いつもなら有無を言わさず襲いかかってくる連中が、ずっとその場で待機している。誰かの到着を待つ、そんな風にも見えた。


( ゚∀゚)「…誰だ…俺たちになんの用だ?」


問いかけても返事がない。沈黙を答えとして受けとる事にする。


/,'3 「…主が来るまで…待つとするか…」


211:◆d2hCxOK7H.
03月17日20時06分58秒 tkwnodtBO

数分後、集団のリーダーらしき人物がバリスタ内に侵入してきた。一人では無い、数にして五人の人間が肩を並べている。
統一された漆黒の鎧を身に纏い、重厚な戦槍を携えジョルジュ達の前に立った。


( ゚∀゚)「暑苦しい連中だな……なんならこの場で昇天させてやってもいいんだぜ?」


険しい形相で相手を威圧するジョルジュだったが、相手は怯む事無くジョルジュ達を見据えている。その視線はまるで物を見るような、無機質な眼差しだった。


(=゚ω゚)ノ「ぃょぅ、久し振りの再会だってのにご挨拶だな……」


( ゚д゚ )「まったくだ…昔から態度の悪さだけは一人前だったからな…」


( ・(т)・)「剣の腕前は昔のままだクマー」


五人のうち、三人が身に付けていた兜を脱ぎ、ジョルジュと顔を合わせた。
そこには懐かしい面々が軒を連ねていた。


(*゚∀゚)「モニュ…ミルナにクマーじゃないか!!…どうしたんだよいきなりwwwww」


/,'3 「んふ、ジョルジュの知り合いかね?」


(*゚∀゚)「昔大陸に居た時に厄介になった連中だよ…ksk騎士団っていう奴らさ!!」


嬉しそうにジョルジュは話す。久し振りの仲間との再会がよほど嬉しかったのか、顔は紅潮し、目にはうっすらと涙が浮かんでいる。
しかし、その様子を見てもなお、荒巻は武器をしまおうとはしなかった。長年培ってきた勘が、この時だけは警鐘を鳴らしているのだ。


( ゚д゚ )「…そろそろ本題に入らせてもらう…あとそこの老人、こっち見るな」


(=゚ω゚)ノ「そうだな…いつまでも昔話してたら日が暮れちまうょぅ」


(・(т)・)「ク、クマー!!」


ふと周りの空気が一変し、張り詰めた空気が変わりに空間を満たしていく。
三人の表情からも笑いが消え、もう一人の…まるで別人格が現れたかのように態度が急変する。


( ゚∀゚)「…なんだよ本題って…」


ジョルジュもその変化に気付いていた。
今まで見た事の無い友人の無機質な顔に、ジョルジュは恐れを感じた。

今から行う事に、友人等のしがらみは必要ない…むしろ邪魔なだけだと、彼等の目が語っていたからだった。


212:◆d2hCxOK7H.
03月20日21時05分11秒 pcI/5UXAO

そして静かに口を開いた。
その内容は衝撃的なものだった。


(=゚ω゚)ノ「いや、内容というのはょぅ…」


(・(т)・)「我々はこの島に現存する飛竜を掃討する為に来たんだクマー、嘘じゃないクマー」


(;゚∀゚)「な…飛竜の掃討だって……!?」


(・(т)・)「そうだクマー、聞けばこの島は飛竜の被害に悩まされているらしいクマー…でもそんな餌では釣られないクマー」


( ゚д゚ )「俺達は飛竜を狩る…それでこの島は平和になり、倒した飛竜の素材を私達がいただく……互いに利益の出る話をしに来たんだ…あんまこっち見るな」


ジョルジュは半ば放心状態だった。久々の友人との対面、しかしその裏には彼の予想を裏切った答えが待っていたのだ。
何かを言おうとした口はだらしなく開き、唇が乾く。喉の奥でヒリヒリと、まるで出さなければならない物を無理矢理押さえ込んでいる、そんな感覚だった。


(;゚∀゚)「し、しかし飛竜を狩って…どうするつもりだよ!!この島には悪意を持たない飛竜だって、まだ沢山いるんだぞ!?」


(=゚ω゚)ノ「…全て抹殺せよ…これが我等に託された使命であり、絶対たる命令なんだょぅ」


(・(т)・)「今の僕らなら容易い事クマー」


( ゚д゚ )「…時間をかけるつもりは無い、せめてもの情けだ…」


彼等はそう断言した。
そうした掛け合いが続く中で、荒巻は苛立ちを隠せないでいた。その目には殺意が宿り、食い殺さん程の勢いで三人につっかかった。


/。゚3 「…話はわかった。だがそちらの用件を認める訳にはいかない」


( ´_ゝ`)「悪意の無い飛竜まで狩り取ろうなんて真似、俺達が許すとでも思っているのか?」


( ゚∀゚)「もう一度だけ忠告する…この島の飛竜には手を出すなッ!!」


もはや話し合いの余地無しと考えた荒巻達は、それぞれの武器を取り出した。それを真っ直ぐに、目の前の敵に向け構えた。


( ゚∀゚)「この名刀『神楽』の餌食になりたい奴からかかってこい!!お前らを…修正してやるよッ!!!!」


213:◆d2hCxOK7H.
03月24日07時34分21秒 dw9mhH5qO

(=゚ω゚)ノ「…今日は戦いに来たわけじゃなぃょぅ。そのつもりなら今頃、この店は残ってなぃょぅ」

( ゚д゚ )「今日は警告のつもりだ…我々の行動を邪魔する事は、直接お前の死に繋がるとな…」

(・(т)・)「もし邪魔をするなら、このガンランスの餌食にしてやるクマー」


三人の態度は変わらず、尚もジョルジュの神経を逆撫でする発言を繰り返していた。彼等は手にガンランスと呼ばれる機械式の戦槍を手にし、更にジョルジュを威嚇する。


( ゚∀゚)「…帰れよ…」

(=゚ω゚)ノ「……」


(#゚∀゚)「帰れ…帰れ帰れ帰れ帰れ……帰れよぉぉぉぉぉぉぉぉッッ!!!!」


空間に静けさだけが残り、誰一人として動こうとはしない。互いに目を反らさずに相手を見据え、武器を握る手にも力が入る。
騒ぎを聞き付けた街の住人がいつもと違うバリスタの雰囲気を察したのか、入り口付近で彼等の動向をじっと見つめていた。


(=゚ω゚)ノ「わかった…帰るょぅ……でもこれだけは聞いておくんだょぅ…」

(#゚∀゚)「……」

(=゚ω゚)ノ「今お前のとろうとしている行動は、結局は自己満足だ…少数派の意見なんだょぅ…飛竜との共存なんて所詮絵に描いた餅、有り得ないんだょぅ」


( ゚д゚ )「大陸では『飛竜の根絶』の為の活動も始まった…もう止まらんのだ、一度車輪の外れた馬車はな…」


再び静けさが辺りを支配する。いつの間にか陽は傾き、物憂な夕焼けの光が三人の顔の輪郭をくっきりと映し出す。その表情に迷いなどは無かった。
数分後、彼等はバリスタを後にした。兵士達が次々と外へ出ていき、急激に乾燥した空気がバリスタに流れた。
彼等の残した言葉だけが、ジョルジュの胸の中でこだまする。


「どんなに綺麗事を言っても、所詮はハンターなんだょぅ…昔のお前なら理解しているはずだょぅ……飛竜の危険性と、その商用性は…」



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