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【新説】虹色の鱗【モンスターハンター】
13.
140:◆d2hCxOK7H.
12月28日12時13分44秒 8gvnHiSyO

兄者達がイャンクックと戦っている時、ドクオ達も壮絶な戦いを繰り広げていた。
稲妻の光が辺りの景色を浮かび上がらせ、その光景が明らかになる。

その稲妻の主はドクオ自身によるものだった。リオレイアの顔面むけて幾度と無く斬りかかり、その衝撃によりサンダーベインが放電しているのだ。
その間隔の無いストロボの中を、まるでダンサーのような身のこなしで縦横無尽に跳ね回るクー。手に持ったサーベルを自在に操り、その姿は東南アジアの伝統舞踊を連想させる。


(;'A`)「ぐぁ…くそッ…!!」


川 ゚ -゚)「無理をするなドクオ、ここは私に任せて…」


(#'A`)「んな悠長に構えてられないっての…!!」


そう強がるドクオだったが、既に限界をとうに過ぎていた。体がバラバラになりそうな感覚に襲われながらも、気力のみで動いているのだ。
しかし戦わなければクーやジョルジュ、弟者と共にここで生き絶えてしまう。

ジョルジュとクーの言った言葉が脳裏に蘇る。


「生きて帰って旨い酒を呑もう」と

「君はまだ死ぬべきでは無い」と



(;゚∀゚)「よし、休憩終了だッ!!」


地面に剣を置き、あぐらをかいで座っていたジョルジュが立ち上がり、再び戦線へと復帰する。時間にして五分の休息だったが、これ以上は二人の体力が保たないと判断した。

鉄刀が妖しく輝き、今一度あの堅い装甲へと挑んでいく。


141:◆d2hCxOK7H.
12月29日08時04分51秒 f7VDDieeO

(#゚∀゚)「てやあぁぁぁぁぁぁぁぁッ…くらえぇいッ!!!!」


ジョルジュの鉄刀が凄まじい速さで弧を描く。それでもリオレイアにはあまり効果が無く、堅い装甲に弾かれてしまう。幾度と無く斬撃を繰り出した結果、刃こぼれをおこし切味がかなり鈍ってきていたせいだろう。
足元に入り込めないでいるジョルジュをよそに、リオレイアは構わず噛みつきにかかる。
長い首を伸ばし、その巨大な顎を開き牙での一撃を喰らわせようとしていた。
瞬間、ジョルジュの姿が消えていた。危険を察知したドクオに押し出され、1mほど吹っ飛んでいたのだ。


(;'A`)「危ない…!!」


(;゚∀゚)「うあ…ド、ドクオぉぉッ!!」


ジョルジュを安全な場所まで押し出したドクオはリオレイアと一対一の状況に陥り、改めて飛竜の強大さを知った。
未だに噛みつきモーションの途中のリオレイアを観察するドクオであったが、実際に行動に移すまで一秒もかかっていないだろう。
高速で接近する牙を最小限の動きで避け、リオレイアの目と目の間、人間で言うところの眉間にカウンターで一撃を放ったのだ。
するとリオレイアの顔を纏っていた甲殻が一瞬で砕け散り、その下の皮膚が露になった。リオレイア自身もこの事態に気付いたのだろうか、大きな雄叫びをあげながら空を仰いだ。


(;'A`)「なん……か、顔の甲殻が…!?」


(;゚∀゚)「いけドクオ、構わず斬り続けろッ!!!」


川 ゚ -゚)「装甲の剥がれた部分は比較的柔らかい部位だ、そこからなら重大なダメージを与えられるはずだ」


( 'A`)「mjd?だったら……これでどうだぁッ!!!!」


ドクオの渾身の一撃が、露になったリオレイアの額を直撃した。辺りにサンダーベイン特有の放電現象が起こり、その電撃がリオレイアにまで伝わっていく。
一気に生臭い血の匂いと焦げた肉の匂いが広がる。


142:◆d2hCxOK7H.
12月29日18時48分49秒 TjGFsIbMO

ドクオの放った一撃は見事に眉間に直撃した。甲殻の剥がれた部位に深い傷をつけ、傷口からは大量の体液が飛び散った。更にサンダーベインの刃から発せられた電撃が傷口を通して体内に流れ込み、二重のダメージをリオレイアに与えた。

悶え苦しむリオレイアはただ空を仰ぎ、悲痛の咆哮だけがその空間を支配している。その間にドクオは後ろへ下がり、次の攻撃に移ろうとしている。


( 'A`)「やったか!?このまま…ネジ込む!!!」


川 ゚ -゚)「…!!待て、ドクオッ!!!」


(;゚∀゚)「まじかよ…」


ジョルジュの見ている方向には、大きな影が空中に浮かんでいる。その影は徐々にこちらへと向かって近付いてくる。

ドクオは理解した。
前に一度だけ見た事のあるその姿の正体を。

青い大空をゆっくりと旋回しながら、その影はだんだんと赤みを帯びてきている。たまに聴こえる咆哮には王者の風格が漂っており、それがドクオの疑問を確信へと変えた。

アイツが来たのだ。


(;'A`)「…来たか……」


赤い王者はリオレイアの側にゆっくりと、威厳を漂わせながら地上へと降りてきていた。凄まじい風圧がドクオの体を後ろへ押し、周りの草木を薙ぎ倒す。
両脚が地面に着くと同時に影は大きな雄叫びをあげ、ジョルジュやドクオを威圧している。

側にいるリオレイアをその身でかばいながら、鼓膜を破らんばかりに咆哮を続ける。


(;゚∀゚)「こいつは…リオレイアに対と成す空の…王者!!」


川 ゚ -゚)「話には聞いていたが…これが…」


(;'A`)「久しぶりだってのに機嫌悪そうだな……リオレウスッ!!」


ドクオは無意識のうちに剣を構えていた。
それに呼応してリオレウスも口から高温の火炎を漏らし始めた。

約一ヶ月前の再現が行われ、その続きが今にも始まらんとしている。

相手は赤い甲殻に鋭い牙を持つ空の王者、リオレウスである。


146:◆d2hCxOK7H.
01月03日03時35分03秒 +dwSOnIzO

リオレウスとリオレイア、二頭の火竜を目の前にし、ドクオ達はもはや生きては帰れないだろう…そう考えていた。
すでに全員が限界を迎えており、これ以上の先頭は不可能に近かった。


(;'A`)「どうやらこれまでのようだな…」


(;゚∀゚)「まあ…善戦したよな、俺達は…さ?」


川 ゚ -゚)「……」


そんな事を言いながらも武器を構える三人。最後までハンターとして戦って死にたい、そう無意識の内に思っていたのかもしれない。
しかしその三人の予想を裏切るかのように、一歩足りとも動こうとはしないリオレウスとリオレイア。ただじっと三人を睨みつけ、低く唸り声をあげるだけだった。

すると彼方から聞いた事のある声が聞こえてきた。それは実際に鼓膜を通して聞こえてくるものとは違い、頭の中に直接語りかけてくる感覚だった。


「彼らは貴様らに危害を加える事は無い…早々に立ち去れ…」


(;゚∀゚)「なん…だ、この声は…?」


川 ゚ -゚)「聞いた事のあるような…そうでは無いような……」


( 'A`)「この声…あの時の夢に出てきた…あの竜か…?」


辺りを見回してみるが、そのような影は見当たらなかった。だが気配はする。
リオレウスやリオレイアよりも強大で凄まじい威圧感、それだけが大気を通してドクオ達の皮膚、そして第六感を直接刺激する。


(;'A`)「どこにいる…!?ここにいるんだろうッ!?」


川 ゚ -゚)「ドクオ…どうしたというんだ!?」


青空に向けて叫ぶドクオを見ていたクーは不思議な感覚に捕われた。ドクオの視線の先に目には見えない、何か特殊な空気が存在している…そんな錯覚に襲われていた。


「彼らは貴様らを傷付ける事は無い…彼らはただ、自らの生きる場所を守りたいだけなのだ……彼らは未だ正気を保っている…」


(;'A`)「正気を…?それは一体どういう…」


「…今はまだ話す時では無い…彼らは私が連れていく、貴様らも早く町に戻るんだな…」


その言葉の後、リオレウスとリオレイアはその巨大な翼を広げ、再び大空の向こう…山の麓へと飛び立って行った。


147:◆d2hCxOK7H.
01月03日04時27分37秒 Tzwr8QHDO

(;゚∀゚)「…これは…これで良いんだよな?」


川 ゚ -゚)「少なくとも撃退…という形だが、任務は成功したと考えていいんだろう…」


(;'A`)「……」


ドクオはリオレウスとリオレイアの飛んで行く姿を見つめていた。そして先程の声の主の事を思い描いていた。
少し前ドクオの夢の中に出てきた七色に光る飛竜、それと今回の声の主は同一のものなのか…そして何故ドクオ達に語りかけてきたのか…


( 'A`)「…ん?…あれは…」


ドクオはある物を発見した。
それは七色に輝く、飛竜のものらしき鱗だった。その鱗は不思議な光を放っており、まるでドクオに自身の存在を教えるかのように輝きを増していく。


( ゚∀゚)「…これは『虹色の鱗』だな…しかも二つも落ちているなんて…」


川 ゚ -゚)「…私達の物と同じ鱗だな…一体どんな飛竜なんだろうな…」


( 'A`)「……」


( ゚∀゚)「とりあえず任務は達成した…ドクオ達の課題だった『虹色の鱗』も手に入った……まあ良しとしようじゃないか?」


楽観的な意見を述べるジョルジュだったが、誰も反論しようとは思わなかった。
精神的にもかなり疲弊しきっていたのもあったが、今はその楽観的な考えがドクオ達の気持ちを予想以上に落ち着かせる結果となったのだ。


( 'A`)「…そういえば、イャンクックを討伐に行った…ブーン達はどうなっているんだ?」


川 ゚ -゚)「確かに…それも気になるな、一度合流してみようか…?」


( ゚∀゚)「よし…なら少し下がっていろ…」


ジョルジュは少し離れた場所に置いてある鞄まで走り、中から打ち上げ花火のような筒を持ち出してきた。
そしてポケットから火打ち石を取り出し、それを打ち付けて導火線に火を灯した。

そして勢い良く筒から何かが発射され、それが空中で綺麗に弾けた。
それぞれの任務が完了した時にはこの信号弾を打ち上げる事になっていたのだ。
その信号弾が長い戦いの終りを告げ、そして新たなる戦いを呼ぶ狼煙になった。

ドクオの手には薄い虹色の鱗が握られていた。
それがこれからのドクオの人生を変えるものになるとは、誰も想像していなかった。



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