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【新説】虹色の鱗【モンスターハンター】
12.
133:◆d2hCxOK7H.
12月26日08時06分14秒 zUMxdfFrO

/,'3 「…しぶといな、これは困った」


(;´_ゝ`)「ああ…これは手強いブラクラ並だ…」


(;^ω^)「く、くやしい…こんなやつに…ビクッ…ビクッ…」


荒巻達も苦戦していた。
蒼イャンクックは思った以上に頑丈で、並大抵の攻撃ではダメージを与える事が出来ない。その上他のイャンクックが蒼イャンクックに加勢する為、その対処もしなければいけなかった。


(;^ω^)「せ、せめて武器さえあれば…こんな奴らに……!!」


ξ ゚听)ξ「…弾も残り少ないし…こんな状態じゃ現地調達も不可能だわ…」


(;´_ゝ`)「……」


兄者は諦めていなかった。この絶望的な状況を打破する為にはどうすれば良いか…頭の中はそれだけだった。


/,'3 「これは厳しいかもしれんな…」


荒巻も今の気持ちを正直に口にした。嘘はつけない人柄なのだろう。


(;^ω^)「何か武器を……なんだお、あれは…」


ブーンが見つけた物は、古ぼけたハンマーだった。
使えなくなった物を捨てたのか、飛竜討伐の返り討ちにあった者の所有物か、どちらかは分からないが確かにそこに武器はあった。


(;^ω^)「……」


思いたったようにブーンは飛び出し、そのハンマーを拾いに行った。蒼イャンクックはその動きを見逃さず、ブーンに向かって走り出した。


(;´_ゝ`)「バカ…的になりたいのか、ブーン!!!」


兄者の呼び掛けも聞かず、一目散にハンマーのある場所へと走っていく。イャンクックもその後を追い掛ける。

だが、一向に追い付く気配が無い。

ブーンはイャンクックの追撃を振り切っていた。その驚異的な速度は兄者や荒巻を驚かせ、イャンクックもただ目を丸くするしかなかった。


(;^ω^)「うはwwwwwっうえwwwwwwww」


走りながらそのハンマーを拾い上げ、振り返りざまにイャンクックの顔面めがけて痛烈な一撃を放った。
その一撃はイャンクックの意識を刈り取り、イャンクックの顔面を潰してしまう程の威力だった。

ブーンは他のハンターに劣ってはいない。今、ブーンは自分の力を再認識した。


( ^ω^)「…いけるお!!」


135:◆d2hCxOK7H.
12月26日20時10分40秒 JjbBIf9HO

( ^ω^)「もう一丁だおwwwwwwwwww」


なおもブーンの攻撃は続く。
驚くように体が軽い。今まで感じた事も無かった力が、体の芯から湧き出てくる。緊張や劣等感から解放された今、ブーンはベテランハンターと比べても何ら遜色が無いくらいに強くなっていた。
手にしたハンマーからも不思議な力が湧いてくる。長い戦いをくぐり抜けてきた名器のみが持つことの出来る「何か」が、このハンマーにはあった。


(;´_ゝ`)「あいつ…あんなに動けたのかッ!?」


/,'3 「なんにせよ好機には違いあるまい、わしらも行くぞ…!!」


傍らで剣を研いでいた荒巻が号令をかける。
その号令を聞いた後、兄者と荒巻は一気に走り、ブーンの手助けに行った。ブーン一人では負担が大きく、消耗しきった所を迎撃されるからだ。


ξ ゚听)ξ「もう…手段は選んでられないわねッ!!」


ツンはポケットからいくつかの弾を取り出した。それを銃身に収め、素早くイャンクックに照準を合わせる。そして引き金に指をかけ、力一杯に引いた。

放たれた弾丸はイャンクックを貫通し、傷口から血が噴き出した。何度も何度も銃撃を繰り返し、ツンは森を地獄画図へと変化させていく。


(#^ω^)「むおおぉぉぉぉぉぉ…!!!!」


荒巻達が時間を稼いでいる間に、ブーンは全ての力をハンマーに込めていた。これ以上戦いが長引くとこちらが不利になる、ブーンは本能でそれを感じとっていた。


(;´_ゝ`)「てやぁッ!!」


/,'3 「ふん…ッ!!」


荒巻と兄者は息の合ったコンビネーションを惜し気もなく発揮している。荒巻が双剣で連続斬りをした後に出来る隙を、兄者の絶妙な連撃で埋める。
イャンクックに反撃の余地を全く与えない、完璧な戦い方である。


138:◆d2hCxOK7H.
12月28日00時28分10秒 y0oyG1AKO

(#^ω^)「逝くおぉぉッ!!」


ブーンの中で何かが切れ、イャンクックに向かって一直線に走り出した。全身全霊をハンマーに込めて最高の一撃をおみまいするために。


/,'3 「兄者君、今だッ!!」


( ´_ゝ`)「把握した!!」


兄者達は後ろへ引き下がりながら、その手で黒い小さな玉を取り出し投げた。
その玉がイャンクックの目の前でいきなり弾け、凄まじい閃光を放ち一時的に視界を奪っていった。「閃光玉」と呼ばれる特殊な道具で、その光をくらえば飛竜といえどもひとたまりもない。

閃光に目がくらみ左右も分からずにうろたえるイャンクックがとった行動は、逃走だった。
本質的には臆病な部分が残っているようだった。


(#^ω^)「逃がさないおwwwwwうはwww力がみなぎりまくりんぐwwwwwwww」


ブーンのテンションは最大限にまで上がっており、もはや何を言っているのかわからない状態に陥っていた。
ある意味、非常に危険な状態だったが、今はその方が好都合だった。恐れる事が無い為、躊躇なく攻撃に踏み出せるからだ。


(#^ω^)「だおおおぉぉぉぉぉぉッ!!!!」


力一杯にハンマーを振り下ろし、イャンクックの脳天めがけて最大の一撃を繰り出した。
その一撃は今までの攻撃の中で一番の、最高の攻撃だった。


139:◆d2hCxOK7H.
12月28日01時04分36秒 4D/nBEMSO

ブーンの持っている鎚がイャンクックの脳天へと吸い込まれていく。
その光景は傍目にはひどくスローモーションに見えた。不思議と周りの音が消え、全てが一瞬だけ静寂に包まれていた。

一際大きな衝突音が響きわたり、すぐに消えた。
それから間を置かずに今度は凄まじい轟音を上げながら一つの命が、その灯を消した。
その影はもう動く事は無かった。


(#^ω^)「はぁ…はぁ…」


(;´_ゝ`)「やった…のか?」


/,'3 「……うむ、見事な一撃だった…」


あっけにとられる兄者と荒巻だったが、すぐに事態を把握し、目の前の光景が現実のものであると再認識した。


ξ ゚听)ξ「あいつ…あんなに凄かったんだ…」


構えた銃を下ろしながら、ツンはその様子をじっと見ていた。銃身には最後の薬筴が装填されたままだった。


(;^ω^)「ゼェ…ゼェ…か、体が…重い…お……」


最後にそう呟き、ブーンは固い地面へと倒れこんだ。
イャンクックを無事に狩った満足感と解放感からか、そのままの体勢で夢の世界へと直行してしまった。
残りの三人も緊張の糸が切れたようで、その場に座り込みしばらくは言葉を発しようとはしなかった。


( ´_ゝ`)「終わったのか…やっと…」


/,'3 「うむ、早くジョルジュ達に合流したいところだが……如何せん体が言う事を聞いてくれなくてな…」


( ´_ゝ`)「…それは皆同じさ……俺も流石に腰が抜けたよ…」


討伐したイャンクックを囲むようにして座り込む三人と、寝ている一人…
この時だけ、全ての時間が止まっているような感覚であった。


蒼イャンクック討伐

成功



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